生命保険
収入保障保険の非喫煙者割引は何で判定される?受動喫煙とコチニン検査の関係

自分でたばこを吸わないことと、検査で反応が出ないこと。この2つは別の話になります。
検査で測るコチニンという成分が、他人の煙を吸い込んだ場合の目安としても使われているためです。
だから「受動喫煙は喫煙に含まれない」という説明も間違いではなく、「受動喫煙でも反応が出る」という説明も正しい。どちらも成り立ちます。
この記事では、なぜ説明が食い違って見えるのか、そして何を確認すればいいのかを説明します。
そもそも何の割引なのか
まず、この割引がどんな商品にあるものかを確かめます。
収入保障保険は、定期保険の一種です。
収入保障保険は定期保険の受け取り方のひとつ
定期保険で保険金を受け取る方法には、一時金と年金の2つがあります。
このうち年金で受け取るタイプが、一般に収入保障保険という名前で売られています。
受け取れるのは死亡保険金と高度障害保険金の2種類です。
割引には2種類ある
定期保険には、保険料が安くなる区分が2つあります。
・非喫煙者料率:たばこを吸わない場合に安くなる
・健康体料率:生命保険会社が決めた健康状態の基準を満たす場合に安くなる
この2つは別々のものです。
たばこを吸わないだけで、両方の割引が自動的に付くわけではありません。
何を満たせば安くなるのかは、商品ごとに確かめてください。
吸わないことをどう確かめるのか
確認の仕組みは2つに分かれます。
自分で申告する「告知」と、体内の成分を測る「検査」です。
まず告知がある
保険に入るとき、契約者や被保険者には告知義務があります。
職業や現在の健康状態、過去の病歴などを、事実のまま伝える義務です。
方法は告知書に記入するか、生命保険会社が指定した医師の診察を受けるか。
喫煙の有無をどう確かめるかは、この告知と検査の組み合わせで決まります。
出典:生命保険文化センター「生命保険の契約にあたっての手引 その2」
コチニンは喫煙の目安になる成分
検査で測るのがコチニンです。
たばこの煙にどれだけさらされたかを知る目安には、いくつか種類があります。
厚生労働省の報告書によれば、最も広く使われるのが血液・唾液・尿の中のニコチンやコチニンでした。
血液や尿と並んで唾液が挙がっている点が、検査の場面と結びつくところでしょう。
同じ報告書には、ニコチンが体内でCYP2A6という酵素によって分解されるという記載もありました。
出典:厚生労働省「喫煙の健康影響に関する検討会報告書」(平成28年8月)
判定の基準は公開されていない
ここは正直にお伝えします。
次の項目は、いずれも生命保険会社ごとの決まり。公的な資料では確認できません。
・対象になる期間
・検査を実施するかどうか
・判定に使う数値の基準
・結果が想定と違った場合の取り扱い
具体的な条件は、申し込む商品のパンフレットや約款、担当者への確認で押さえるしかありません。
ネット上には手順や基準を具体的に書いた情報もありますが、根拠が示されていないものは商品ごとの一例。そう受け止めてください。
受動喫煙はどう扱われるのか
ここが質問の中心です。
結論から言えば、言葉の意味の話と、検査の性質の話が混ざっています。
同じ成分が受動喫煙の目安にも使われている
厚生労働省の同じ報告書には、たばこの煙にさらされた度合いを測る章があります。
その中で、自分で吸った場合と他人の煙を吸い込んだ場合が、それぞれ独立した項目として扱われています。
受動喫煙を評価する場面でも、同じ種類の目安が使われているということです。
自分でたばこを吸っていないことと、検査に反応が出ないことは、同じ意味ではありません。
「受動喫煙は喫煙に当たらない」というのは、たばこを吸う行為をしたかどうかの分類の話。体内にコチニンがあるかどうかとは、別の次元です。
2つの説明はどちらも成り立つ
この点を押さえると、食い違って見える説明の関係もはっきりします。
・「受動喫煙は喫煙に含まれない」= 吸う行為をしたかどうかという分類の話
・「受動喫煙でも反応が出ることがある」= 検査という測定の性質の話
どちらも同じ現象の別の側面です。
矛盾ではなく、着目している場所が違うだけと考えると理解しやすくなります。
分解の速さには個人差がある
もうひとつ知っておきたいのが、体質の差です。
厚生労働省の報告書は、ニコチンを分解する酵素の働きに、遺伝的な個人差があると記載しています。
同じ環境で過ごしても、体内に残る量は人によって同じとは限りません。
「同僚は問題なかったから自分も大丈夫」とは言い切れない理由が、ここにあるわけです。
加熱式たばこの扱いも確かめる
紙巻きたばこ以外にも触れておきます。
厚生労働省の報告書は、電気で加熱するタイプのたばこ製品を、たばこ葉を熱して出る成分を吸うものだと説明しています。
たばこ葉を使う以上、ニコチンを含む製品です。
これらが割引の判定でどう扱われるかは、告知の前に確認しておきたい項目になります。
検査に通ることと告知が正しいことは別
ここは見落とされやすい論点です。
割引を受けられるかという話と、契約が有効に続くかという話は、性質が違います。
告知義務違反は契約の解除につながる
告知義務違反があると、契約や特約が解除されて保険金や給付金を受け取れなくなることがあります。
ただし例外もあります。生命保険会社の営業職員や代理店の担当者から告知を妨げられた場合、事実でないことを告知するよう勧められた場合などです。
つまり検査の結果がどうであれ、告知書には事実を書くのが前提になります。
吸っているのに吸っていないと書けば、検査を通ったかどうかにかかわらず問題が残ります。
担当者に口頭で伝えても告知にならない
生命保険会社の営業職員や保険代理店の担当者には、告知を受け取る権限(告知受領権)がありません。
そのため口頭で伝えただけでは、告知したことになりません。
受動喫煙の環境について担当者に説明していても、それだけでは足りないということです。
伝えるべき内容は、告知書に記載するか、生命保険会社が用意している方法で伝えてください。
申し込む前に確かめること
ここまでを、実際の手順にします。
公的資料でわかる部分と、保険会社に聞くしかない部分を分けて考えます。
保険会社に確認する5項目
次の点は公開資料では確認できないため、直接尋ねてください。
・非喫煙者料率と健康体料率のどちらが適用される商品か。両方ある場合の条件はそれぞれ何か
・喫煙の有無を確かめる方法と、対象になる期間
・加熱式たばこや電子たばこの取り扱い
・結果が想定と違った場合、どんな選択肢があるか
・割引が適用されなかった場合の保険料はいくらか
とくに最後の項目は、先に確かめる価値があります。
割引後の保険料を前提に契約内容を決めてしまうと、適用されなかったときに設計を組み直すことになるからです。
割引より先に決めることがある
保険料の区分は、同じ保障を用意するときの価格差にすぎません。
必要な保障額と保険期間を先に決めておかないと、割引が付くかどうかに判断が引きずられます。
遺族年金など公的な保障で足りる部分を差し引いて必要額を出す。そのうえで各社の保険料を比べる。
この順序なら、割引が付いても付かなくても検討がぶれません。
まとめ
非喫煙者割引について、公的資料から言えることは次のとおりです。
・収入保障保険は定期保険の年金受取タイプ。非喫煙者料率と健康体料率は別の区分
・検査で測るコチニンは、たばこの煙にさらされた度合いを知る目安として最も広く使われている
・同じ目安は受動喫煙の評価にも使われており、吸わない人も対象になりうる
・ニコチンを分解する酵素の働きには、遺伝的な個人差がある
・判定の期間や基準は生命保険会社ごとの決まりで、公的資料では確認できない
・告知義務違反があると契約が解除され、保険金を受け取れなくなることがある
「受動喫煙は喫煙に当たらない」と「受動喫煙でも検査に反応することがある」は、どちらも成り立ちます。
前者は行為の分類、後者は測定の性質を述べているからです。
確かめるべきなのは、加入を検討している商品の条件そのもの。
そのうえで、告知書には事実をありのまま記載する。
この2つを押さえておけば、割引が付いても付かなくても、契約後に困ることはありません。
本記事の執筆者は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司です。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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