損害保険
妊娠糖尿病の予備軍と言われた後にやるべきこと|将来のリスクと保険の話

妊娠中に妊娠糖尿病、あるいはその予備軍と言われ、産後は数値が戻った。それなら生命保険に入れるのか。
加入できるかどうかを決めるのは、生命保険会社です。健康に問題があっても、条件付きで契約できる場合があります。
ただし申し込む前に確かめたいのが、自分は診断基準を満たしていたのかどうかです。
妊娠糖尿病と診断された方は、将来糖尿病を発症するリスクが7倍高いといわれています。
「元に戻った」で終わらせない

保険の話より先に、確かめておきたいことがあります。
妊娠糖尿病は、体質を知る手がかりでもあるからです。
「予備軍」だったのか、診断されたのか
相談の場では「予備軍」という言い方をされることがあります。
ただし妊娠糖尿病には、血糖値による診断基準があります。
自分が診断基準を満たしていたのかどうかは、母子健康手帳や検査結果で確かめてください。
次に挙げる7倍という数字は、妊娠糖尿病と診断された方についてのものだからです。
将来のリスクは7倍
日本産科婦人科学会は、出産後の注意点としてこう述べています。
妊娠糖尿病になった方は、将来、糖尿病を発症するリスクが7倍高いといわれているので、出産後も定期的なフォローアップを受けてください。
妊娠糖尿病の原因は、不健康な食生活というより体質的な部分が大きいとされています。
もともとインスリンの働きが弱め、という体質。
だから産後に数値が戻っても、その体質がなくなるわけではありません。
産後6〜12週間の再検査を受けたか
同学会は、出産の6〜12週間後にブドウ糖負荷試験を再検査して、妊娠糖尿病から回復したか確認するよう促しています。
「産後の健診で問題なかった」という方も、確認したい点があります。
産婦健康診査で行われるのは、母体の身体的機能の回復、授乳状況、こころの健康状況の確認などです。
検査の項目は市区町村ごとに定められており、血糖の検査が標準で含まれているわけではありません。
産後の健診を受けたかどうかと、血糖の再検査を受けたかどうかは別の話になります。
母乳育児でリスクは下がる
同学会は、こうも述べています。
赤ちゃんを母乳で育てると、将来糖尿病を発症するリスクが母児ともに低下することがわかっている、と。
また将来の糖尿病や生活習慣病を予防するために、長い目で食事や運動、体重管理に気を配ってほしいとしています。
妊娠糖尿病はどう診断され、どう治療するのか

あらためて、診断の中身を確かめておきます。
どんな検査で、何を基準に判断され、どう治療するのかという話です。
妊婦の7〜9%が診断される
妊娠中に初めて糖の代謝異常が見つかった場合を、妊娠糖尿病といいます。
診断されるのは、妊婦さんの7〜9%です。
血糖値を下げるインスリンの働きは、妊娠が進むにつれて弱まります。
もともと働きが弱めの方が妊娠すると、後半に血糖値が上がることがあります。
診断の基準
妊娠の初期に血糖値を測り、高ければブドウ糖負荷試験を追加します。
75gのブドウ糖液を飲む検査で、次のどれかを超えると妊娠糖尿病という診断になります。
・飲む前:92mg/dL
・飲んで1時間後:180mg/dL
・飲んで2時間後:153mg/dL
検査は妊娠中期(24〜28週)にも、もう一度。
妊娠糖尿病が潜んでいないかを確認するためです。
治療は食事療法から
診断された場合、まず行うのは食事療法です。
1日の食事を4〜6回に分けて食べるなどして、血糖値を適正に管理していきます。
食事療法で血糖値をうまくコントロールできない場合は、インスリン注射による治療。
この注射が赤ちゃんに影響することはありません。よほどのことがない限り、出産後には中止できるものです。
食事療法だけだったのか、インスリン注射もあったのか。
受けた治療の内容も、告知書に書く事項のひとつです。
生命保険には加入できるのか

ここから保険の話です。
結論から言えば、加入できるかどうかは生命保険会社が判断します。
決めるのは保険会社
保険に入るとき、契約者や被保険者には告知義務があります。
職業や現在の健康状態、過去の病歴などを、事実のまま伝える義務です。
申し込む側がやるのは、事実を正確に書くこと。
それをどう評価するかは、告知書を受け取った生命保険会社の判断になります。
健康に問題があっても加入できる場合がある
健康に問題があると、生命保険会社が申し込みを引き受けないこともあります。
ただし全員が断られるわけではありません。
治療を受けるほどでもない症状の人や、病気が完治して一定の年数が経った人は、無条件で契約できる場合もあるからです。
また保険料を通常より高くする、一定期間は保険金を減らすといった条件付きでの加入もありえます。
医療関係の特約では、特定の部位や病気だけを保障の対象から外す条件が付くケースも。
「入れる」「入れない」の二択ではなく、条件を調整して引き受ける仕組みが用意されているということです。
条件を提示されたら、その内容と、条件が続く期間を確認してください。
保険金が減る期間や、対象から外れる部位がどこかによって、受け入れるかどうかの判断は変わります。
それでも通常の保険が難しい場合、告知項目を少なくした保険もあります。
引受基準緩和型・限定告知型と呼ばれるものです。
もっとも保険料は、通常の生命保険より割高になります。
だからまずは通常の生命保険を契約できるかどうか確認する、という順序が大切です。
出典:生命保険文化センター「健康上問題があると、生命保険は契約できないの?」
基準は公開されていない
通るかどうかを先に知りたくなるのは自然なことです。
ただし加入を認める基準は、生命保険会社ごとに決まっていて公表されていません。
そのため「この状態ならこうなる」という説明には、裏づけが取れません。
ネット上で断定的に書かれた情報は、実務の一例か書き手の推測と受け止めてください。
告知で気をつけること

申し込むときに、押さえておきたい点が2つあります。
いずれも見落としやすい部分です。
担当者に口頭で伝えても告知にならない
生命保険会社の営業職員や保険代理店の担当者には、告知を受け取る権限がありません。
つまり口頭で伝えただけでは、告知したことになりません。
伝えるべき内容は、必ず告知書に記載してください。
書かないという選択は成り立たない
告知義務に違反すると、契約が解除されて保険金や給付金を受け取れなくなることがあります。
ただし例外もあります。営業職員や代理店の担当者から告知を妨げられた場合、事実でないことを告知するよう勧められた場合などです。
迷ったときは、書いておくほうが安全でしょう。
書いた結果として条件が付くことはあっても、告知しなかったことによる問題は避けられます。
出典:生命保険文化センター「生命保険の契約にあたっての手引 その2」
進め方の順序

ここまでを、実際の手順にします。
保険の申し込みは、最後の工程に置いてください。
5つのステップ
・自分が診断基準を満たしていたのかを、母子健康手帳や検査結果で確かめる
・産後6〜12週間の再検査を受けたか確認する。受けていなければ受診する
・診断時期・数値・治療内容の記録を手元にそろえる
・生命保険を検討し、告知書に事実をありのまま記載する
・条件が提示されたら、内容と期間を確認してから判断する
この順序なら、健康の確認と保険の検討が同時に進みます。
再検査で問題がないとわかれば、告知に書ける内容も増えます。
結果は最終的なものではない
仮に条件が付いたとしても、それが最終結論とは限りません。
完治して一定の年数が経てば、無条件で契約できる場合もあるからです。
また加入を認める基準は生命保険会社ごとに違うので、一社で断られても他社では結論が変わる可能性があります。
まとめ
妊娠糖尿病の後にやるべきことは、次のとおりです。
・7倍というリスクは、診断基準を満たした方についての数字。まず自分がどちらだったかを確かめる
・産後に数値が戻っても、将来糖尿病を発症するリスクは7倍高いとされている
・出産の6〜12週間後に、ブドウ糖負荷試験の再検査を受ける
・産婦健康診査の検査項目は市区町村ごとの定めで、血糖の検査は標準で含まれていない
・母乳育児は、母児ともに将来の糖尿病リスクを下げることがわかっている
・生命保険は、加入できるかどうかを生命保険会社が判断する
・加入不可のほかに、条件を付けたうえで引き受ける仕組みもある
・通常の保険が難しい場合は引受基準緩和型もあるが、保険料は割高。まず通常の保険を確認する
・加入を認める基準は非公開で、断定的なネット情報には裏づけがない
保険に加入できるかどうかは、告知して結果を見るしかありません。
ただ、それより先にやることがあります。
自分が診断基準を満たしていたのか。産後の再検査を受けたか。
この2つを確かめるほうが、保険の加入可否より優先度は高くなります。
保険は、その事態が起きたときにお金で対応するための道具にすぎないからです。
体質を早く知ることができた。そう捉えて動くほうが、長い目で見て有利になります。
本記事の執筆者は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司です。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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