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フラット35の団信と収入保障保険はどちらがいい?費用・保障・税金の違い

健康状態に問題がなく、住宅ローン以外に用意すべき保障が少ないなら、団信をそのまま使うのが手堅い選択になります。
手続きが借入に組み込まれていて、更新も解約も要らないからです。
比べる意味が出てくるのは、団信に入れない場合か、住宅ローン以外の保障とまとめて設計したい場合。
この記事では、両者の費用・保障・税金の違いを並べて、判断の材料をそろえます。
フラット35は団信が任意加入
そもそも比較が成り立つのは、フラット35に特徴があるからです。
団信に入らなくても借りられます。
入らない場合は金利が0.2%下がる
住宅金融支援機構は、健康上の理由その他の事情で団信に加入しない場合もフラット35を利用できると明記しています。
その場合の金利は、団信付きの金利から0.2%を引いた水準です。
逆に言えば、団信の費用は金利0.2%分として借入金利に含まれているということ。
この0.2%を保険料と考えれば、民間の保険と同じ土俵で比べられます。
ただし機構は注意も示している
同じページに、こんな注意書きがあります。
・団信に入っていないと、万一のとき債務を返済する義務が残る
・相続が起きた場合、債務を相続した方に返済してもらうことになる
・健康上の理由以外で加入しない予定なら、家族と十分に検討してほしい
団信に入らないという選択は、住宅ローンの返済義務を家族に引き継ぐ可能性を受け入れることを意味します。
その穴を別の方法で埋める前提がないまま外すのは避けたいところです。
出典:住宅金融支援機構「健康上の理由その他の事情で新機構団信制度に加入しない場合も、【フラット35】は利用できますか。」
0.2%を金額に直すといくらか
比べる材料をそろえるため、金利0.2%を金額にしてみます。
仮に借入金利を年2.0%(団信あり)と年1.8%(団信なし)、返済期間35年の元利均等返済として計算します。
借入額別の月額差
毎月の返済額の差は、次のとおりです。
・2,000万円:月およそ2,034円(35年で約85万円)
・3,000万円:月およそ3,051円(35年で約128万円)
・4,000万円:月およそ4,069円(35年で約171万円)
・5,000万円:月およそ5,086円(35年で約214万円)
借入3,000万円なら、当初3,000万円の保障を月およそ3,000円で確保しているという見方ができます。
これは特定の商品や金利を示したものではなく、0.2%を実感しやすくするための仮の計算です。
保障は減るのに負担は変わらない
ここで気づいておきたいのが、負担と保障のバランスです。
同じ条件で残高の推移を計算すると、こうなります。
・当初:3,000万円
・10年後:およそ2,345万円
・20年後:およそ1,544万円
・30年後:およそ567万円
保障にあたる残高は減っていくのに、月々の負担はおよそ3,000円のまま。
返済が進むほど、負担に対して得られる保障は小さくなります。
ただし収入保障保険も同じ構造です。保障が減っていく一方で、保険料は一定。
だから比べるべきなのは、同じ保障を用意するのにどちらがいくらかかるかという一点になります。
保障される状態が違う
次に、何が起きたときに保障されるのかを確かめます。
ここは団信と収入保障保険で、判定のものさしが違います。
団信は死亡と身体障害1級・2級
新機構団信で保険金が支払われるのは、次のどちらかです。
・死亡したとき
・身体障害者福祉法の1級または2級に該当し、身体障害者手帳の交付を受けたとき
保障は満80歳の誕生日の属する月の末日まで。
該当した場合、住宅の持分や返済割合にかかわらず、以後の返済が不要になります。
団信に「高度障害保険金」はない
ここは見落とされやすい点です。
住宅金融支援機構は、新機構団信と新3大疾病付機構団信について、こう明記しています。
所定の高度障害状態になった場合に支払う高度障害保険金の取扱いはない、と。
一方、収入保障保険が属する定期保険では、受け取れる保険金は死亡保険金と高度障害保険金の2つ。
収入保障保険は定期保険の保険金を年金形式で受け取るタイプなので、高度障害状態も保障の対象に入ります。
団信は身体障害者手帳の交付、収入保障保険は生命保険会社が定める高度障害状態。判定のものさしそのものが違います。
加入できるのは満15歳以上70歳未満
加入の条件は2つあります。
・申込書を記入する日の時点で満15歳以上満70歳未満であること
・生命保険会社の承諾が得られること
告知が必要なので、健康状態によっては加入できない場合があります。
なお夫婦2人で加入する「デュエット」は、連帯債務の場合に使える仕組みです。
対象は戸籍上の夫婦のほか、婚約関係の方、内縁関係の方、同性パートナーの方も含まれます。
受け取り方と使いみちが違う
もうひとつ、無視できない違いがあります。
誰が保険金を受け取るのか、という点です。
団信は住宅金融支援機構が受け取る
新機構団信では、住宅金融支援機構が契約者であり、保険金の受取人でもあります。
加入者は被保険者という立場です。支払われた保険金は、そのまま債務の返済に充てられます。
一方、収入保障保険の受取人は遺族。
団信は「ローンが消える」、収入保障保険は「毎月お金が入る」という違いになります。
使いみちの自由度に差が出る
団信でローンが消えれば、住まいは残ります。ただし生活費や教育費に充てられる現金は増えません。
収入保障保険なら、受け取ったお金の使いみちは自由。返済に充てることも、生活費に回すことも、住み替えの資金にすることもできます。
逆に言えば、収入保障保険は返済に充てるかどうかの判断を遺族に委ねるということ。
返済を続ける前提で保険金額を設計しておかないと、住まいを維持できない事態も起こりえます。
税金の扱いが違う
金額の比較だけでは見えない部分があります。
払うときと、相続のときです。
団信の負担は生命保険料控除に使えない
生命保険料控除には条件があります。保険金の受取人が、自分か配偶者、その他の親族であることです。
新機構団信の受取人は住宅金融支援機構なので、この条件を満たしません。
これに対し、受取人を家族にした収入保障保険の保険料は控除の対象になります。
同じ保障を用意しても、税制上の扱いは違うということです。
団信で消えたローンは相続財産から引けない
国税庁は、相続税の申告で間違えやすい事例として、こう示しています。
団信によって返済が免除される住宅ローンは、死亡により支払われる保険金で確実に補われるもの。相続人が支払う必要のない債務なので、相続財産から差し引くことはできない。
出典:国税庁「相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集」事例13
団信に入らずローンが残った場合は、その残高を相続財産から差し引けます。
ただしこれが意味を持つのは、相続税がかかる規模の資産がある世帯だけ。課税対象にならない世帯では、差は生じません。
収入保障保険の保険金には非課税枠がある
被相続人が保険料を払っていた死亡保険金を相続人が受け取る場合、「500万円×法定相続人の数」までは相続税がかかりません。
団信の保険金は住宅金融支援機構が受け取るので、この枠とは無関係です。
出典:国税庁「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」
どちらを選ぶか
ここまでの違いを、選択の場面に当てはめます。
多くの世帯では、団信を使うほうが手間もリスクも少なくなります。
団信をそのまま使うのが合理的な場合
次に当てはまるなら、団信で十分です。
・健康状態に問題がなく、団信の承諾が得られる
・住宅ローン以外に用意すべき保障が少ない
・保険の管理に手間をかけたくない
・相続税がかかる規模の資産ではない
団信は手続きが借入に組み込まれていて、更新も解約も要りません。
返済が終われば保障も終わるので、保険を減額し忘れることもない仕組みです。
収入保障保険を比べる意味がある場合
一方、次に当てはまるなら比べる価値があります。
・健康上の理由で団信に加入できない
・住宅ローン以外にも死亡保障が必要で、まとめて設計したい
・非喫煙者料率や健康体料率が適用される
・相続税がかかる規模の資産がある
定期保険には、たばこを吸わない場合に保険料が安くなる商品や、健康状態の基準を満たす場合に安くなる商品もあります。
一方、団信の金利0.2%は健康状態で変わらない仕組み。
だから健康に自信がある人ほど、比べる意味が出てきます。
とくに健康上の理由で団信に入れない場合は、比較ではなく代替手段としての検討になるでしょう。
ただし収入保障保険に入れるかどうかも告知次第。加入できる保険を先に確かめてから借入額を決める順序が安全です。
比べるときにそろえる情報
実際に比較するなら、次の情報が要ります。
・団信付きと団信なしの、それぞれの借入金利と毎月の返済額
・収入保障保険の保険料と、保険期間・保険金額・保障の減り方
・収入保障保険の告知結果(加入できるか、条件が付くか)
・遺族年金など公的保障で足りる部分と、足りない部分の金額
・生命保険料控除による所得税・住民税の軽減額
収入保障保険の保険料が金利0.2%分を下回っていても、それだけで有利とは決まりません。
保障される状態、保険期間の終わり方、更新の有無も含めて確かめてください。
まとめ
フラット35の団信と収入保障保険の違いは、次のとおりです。
・加入:フラット35の団信は任意。加入しない場合の金利は0.2%低い
・保障:団信は死亡と身体障害1級・2級。高度障害保険金の取扱いはない
・受取人:団信は住宅金融支援機構、収入保障保険は遺族
・使いみち:団信はローンの消滅だけ、収入保障保険は自由
・生命保険料控除:団信は対象外、収入保障保険は対象
・相続税:団信で消えたローンは相続財産から引けない
健康状態に問題がなく、住宅ローン以外に用意すべき保障が少ないなら、団信をそのまま使うのが手堅い選択になります。
比較に意味が出るのは、団信に入れない場合か、住宅ローン以外の保障とまとめて設計したい場合でしょう。
金利0.2%分と収入保障保険の保険料を並べる前に、団信に入れるかどうかを先に確かめてください。
入れるとわかったうえで外すのか、入れないから代わりを探すのか。
どちらなのかで、必要な作業がまったく変わります。
本記事の執筆者は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司です。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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