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つみたて投資枠と変額保険はどっちがいい?費用・税金・引き出しやすさの違い

運用だけが目的なら、つみたて投資枠のほうが有利です。
理由は費用にあります。変額保険では、投資信託と同じ運用の費用に加えて、保険を維持するための費用がかかるためです。
ただし変額保険には、亡くなったときに決まった額が遺族に渡る機能があります。この保障が必要かどうかで、答えは変わります。
この記事で扱うのは、両者の費用・税金・引き出し方の違いです。
そもそも同じ種類のものではない

比べる前に、両者が何なのかを確かめておきます。
片方は税金の制度、もう片方は保険商品です。
つみたて投資枠は税金の制度
つみたて投資枠は、2024年から始まったNISAの一部です。
金融庁の説明では、次のようになっています。
・つみたて投資枠は年間120万円まで
・成長投資枠は年間240万円まで
・生涯で使える枠は合計1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)
・非課税で持てる期間に期限はない
・口座を開けるのは、その年の1月1日時点で18歳以上の国内居住者
出典:金融庁「NISAを知る」
変額保険は保険商品
変額保険は、保険料の一部を運用に回し、その成果で保険金や解約返戻金が増減する保険です。
運用に使う専用の財布を、特別勘定と呼びます。
期間の決まった有期型と、一生涯続く終身型の2種類があります。
運用している中身は重なっている
変額保険の特別勘定は、国内外の株式や債券で運用されています。
つみたて投資枠の対象商品も、株式型と複数資産に分散する型が中心です。
投資先はほぼ同じ、ということになります。
つまりこの比較は、似たものに投資するとき、証券口座を使うか、保険という入れ物を使うかという話です。
中身が同じなら、比べるべきは入れ物の条件になります。
費用の差がいちばん大きい

入れ物の条件で最も差が出るのが費用です。
変額保険では3種類の費用がかかります。
変額保険でかかる3つの費用
生命保険文化センターが挙げているのは、次の3つです。
・保険契約関係費:契約時の初期費用や、契約を維持・管理するための費用
・資産運用関係費:投資信託の運用にかかる費用(信託報酬など)
・解約控除:一定期間内に解約すると差し引かれる金額
ここで注目したいのが2つ目の資産運用関係費。
これは投資信託の信託報酬そのもので、つみたて投資枠でも同じようにかかります。
同じものに投資するなら、変額保険はこの信託報酬に保険契約関係費が上乗せされるという構造です。
上乗せ分に見合うものが得られるかどうかが、判断の中心になります。
出典:生命保険文化センター「市場リスクを有する生命保険とは?」
つみたて投資枠には信託報酬の上限がある
つみたて投資枠の対象商品には、法律で信託報酬の上限が決められているものがあります。
指数に連動するタイプ(指定インデックス投信)です。
・国内に投資するもの:0.5%が上限
・海外を含むもの:0.75%が上限
2026年7月24日時点の実際の平均は、それぞれ0.27%と0.34%でした(いずれも税抜)。
対象商品は全360本で、金融庁のサイトに一覧があります。
変額保険は商品ごとに条件が違う
変額保険の費用は、商品によって内容も料率も異なります。
つみたて投資枠のように一覧で見比べる方法はありません。
提案を受けた商品ごとに、パンフレットや契約前の交付書面で確かめてください。
解約控除はおおむね10年以内
解約控除がいつまでかかるかは、契約前に確認したい点です。
金融庁のレポートによれば、生命保険会社は初年度の販売手数料などを長期の保険期間をかけて回収する設計にしています。
そのため契約者の都合でおおむね10年以内に解約すると、回収しきれていない分が解約返戻金から差し引かれます。
これが解約控除の正体です。
出典:金融庁「2025年 保険モニタリングレポート」(2025年7月)
税金は受け取るときと払うときで逆

税金の有利不利は、場面によって入れ替わります。
受け取るときはつみたて投資枠、払い込むときは変額保険が有利です。
つみたて投資枠は利益に税金がかからない
通常、投資信託を売って得た利益には20.315%の税金がかかります。
NISA口座で買った商品なら、この税金がかかりません。
非課税で持てる期間に期限がないので、何年後に売っても扱いは同じです。
売った分の枠は、翌年に買った金額分だけ復活します。
変額保険は所得が高い人ほど不利になる
変額保険の満期保険金を一時金で受け取ると、一時所得という扱いになります。
自分で保険料を払い、自分で受け取る場合です。
計算方法は次のとおり。
・受け取った金額 − 払った保険料 − 50万円 = 一時所得
・この金額の半分が、課税の対象になる
増えた金額が50万円以内なら税金はかかりません。
ここだけ見ると有利ですが、落とし穴が1つあります。それが税率の決まり方です。
一時所得は給与などと合算して税率が決まるため、所得の高い人ほど税負担が重くなります。
所得の水準によっては、20.315%より重い負担になることもあるでしょう。
もうひとつ。保険料を払った人と受け取る人が違うと、贈与税の対象です。
子ども名義で受け取る形にすると、思わぬ課税が生じることがあります。
出典:国税庁「No.1755 生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき」
変額保険は払うときに控除が使える
変額保険の保険料は、生命保険料控除の対象です。
2012年以降に契約したものなら、年間8万円を超えて払うと控除額は4万円で頭打ちになります。
ここが見落とされやすい点です。
年24万円払っても36万円払っても、控除される額は変わりません。
控除を目的に保険料を増やしても、戻ってくる税金は増えないということです。
引き出すときの自由度が違う

15年後、20年後に使うお金なら、増やし方と同じくらい出し方が大事です。
ここは差がはっきり出ます。
つみたて投資枠は売る時期を選べる
NISA口座の投資信託は、必要なときに売れます。
期限がないので、制度の都合で売る必要もありません。
使う時期から逆算して、少しずつ現金に換えていく調整も可能です。
相場が下がっている時期と使う時期が重なるリスクを、自分の判断で減らせます。
金融庁の資料によれば、つみたて投資枠の売買手数料は現状ゼロ。
引き出す時期によって差し引かれる費用は、いまのところありません。
変額保険は時期によって戻る額が変わる
変額保険の解約返戻金には、最低保証がありません。
加えて、一定期間内に解約すれば解約控除が差し引かれます。
つまり必要な時期に必要な額を取り出せるとは限らないということです。
払込の途中で家計が苦しくなったらどうするか、契約前に確かめておきたい点になります。
死亡保障が必要かどうかで結論が変わる

ここまでは運用の入れ物としての比較でした。
変額保険には死亡保障が付くので、それが必要かどうかで話が変わります。
まず公的な保障を確かめる
会社員や自営業の方が亡くなったとき、遺族には年金が出ます。
日本年金機構によると、令和8年4月分からの遺族基礎年金は次のとおりです。
・基本の額:年847,300円(昭和31年4月2日以後生まれの方)
・子の加算:1人目・2人目は各243,800円、3人目以降は各81,300円
子ども1人なら年1,091,100円、月にすると約9万円。
ただしこの「子」は18歳になった年度の3月31日までを指します。子が高校を出る年度で終わる給付だということです。
出典:日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」
会社員ならこれに遺族厚生年金が加わります。
金額は、亡くなった方の老齢厚生年金のうち報酬に応じた部分の4分の3です。
なお遺族年金は令和7年に法律が改正されています。
15年後、20年後の保障を見積もるときは、その時点の制度を確認してください。
出典:日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」
足りない分は掛け捨ての保険でも用意できる
住宅ローンで団体信用生命保険に入っていれば、万一のとき残債がなくなります。
その分、必要な死亡保障はさらに小さくなります。
民間の保険で用意するのは、公的な保障と手持ちの資産で足りない差額だけです。
その差額を用意する方法は、貯蓄性のある保険だけではありません。
定期保険や収入保障保険といった掛け捨てなら、保険料を抑えて保障を確保できます。
浮いた分をつみたて投資枠に回せば、保障は保険で、運用は費用の低い制度でという分け方も可能です。
ただし掛け捨ては、解約しても戻るお金がありません。
保障が必要な期間だけ加入し、子どもの独立に合わせて減らしていく設計が前提でしょう。
変額保険のほうが向く場面

ここまで費用と税金ではつみたて投資枠に分がある形で説明してきました。
ただ、変額保険にしかない機能もあります。
死亡保険金には最低保証がある
変額保険の死亡保険金は運用実績で変動しますが、契約時に決めた基本保険金額は最低保証されます。
運用がうまくいけば、そこに上乗せされる仕組みです。
投資信託に、この下支えはありません。
万一のとき一定額が確実に遺族へ渡る機能は、変額保険にしかないものです。
非課税枠を使い切ったあと
生涯の枠1,800万円を使い切り、確定拠出年金の枠も埋めた。それでもなお運用に回すお金がある。
この段階なら、課税される口座で投資するか、保険を使うかという比較になります。
相続を考える場面も同じです。
相続人が受け取る死亡保険金には、「500万円×法定相続人の数」まで相続税がかかりません。
投資信託にこの扱いはないので、保険金の形で遺す意味が出てきます。
出典:国税庁「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」
ただしこれは、枠を使い切ったあとの話です。
枠が余っているうちは、そちらを先に使うほうが費用でも税金でも有利になります。
提案を受けたときに確認すること

変額保険をすすめられたら、確かめてほしい点があります。
ここを外すと、比較そのものが成り立ちません。
シミュレーションが費用を引いた後かどうか
最初に確認したいのが、提示された数字が費用を差し引いた後のものかという点です。
費用を引く前の数字で比べると、つみたて投資枠との差が見えなくなります。
あわせて次の4つを確かめてください。
・費用の項目と料率(保険契約関係費と資産運用関係費のそれぞれ)
・解約控除がかかる期間と、その間に解約したときの金額
・運用先と同じものが、つみたて投資枠の対象商品にあるかどうか
・死亡保障の基本保険金額と、公的保障を引いた不足額との関係
すべてに優れた商品はない
金融庁は、預貯金・株式・債券・投資信託を安全性・収益性・流動性の3つで比べたうえで、3つとも優れた商品はないと明記しています。
目的に応じて使い分けることが必要だ、という説明です。
変額保険も例外ではありません。
保障と運用を1つにまとめられる代わりに、費用と引き出しやすさで制約が付きます。
出典:金融庁「資産形成の基本」
まとめ
両者の違いは、次の6点です。
・費用:変額保険は信託報酬にあたる費用に、保険を維持する費用が上乗せされる
・商品選び:つみたて投資枠は法令で信託報酬に上限があり、平均0.27〜0.34%(税抜)
・税金(受取時):つみたて投資枠は非課税、変額保険は所得が高い人ほど不利
・税金(払込時):変額保険は生命保険料控除が使えるが、上限で頭打ち
・引き出し:つみたて投資枠は時期を選べる、変額保険は解約控除と最低保証なし
・保障:死亡保険金の最低保証があるのは変額保険だけ
運用だけが目的なら、つみたて投資枠に分があります。
死亡保障が必要なら、公的な保障を引いた不足額を計算し、掛け捨てで用意する方法と比べてください。
「どっちがいいか」ではなく「保障が必要かどうか」から決めると、答えは絞れます。
保障が要らないなら運用はつみたて投資枠に寄せる。保障が要るなら、保障と運用を分けて考える。
この順序なら、提案書の数字に振り回されずに済みます。
本記事の執筆者は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司です。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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