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iDeCoの運用利回り|平均・評価損益・損益率の見方と長期積立シミュレーションを解説

iDeCoの運用利回りについて、結論から申し上げると、個人型iDeCo単独の公的な平均利回りデータは公表されていません。
ただし、参考データとして企業型確定拠出年金(企業型DC)の公的統計があり、企業年金連合会の2023年度調査では制度導入からの平均運用利回り(年率)が6.9%、想定利回りの平均値が2.08%という実績が示されています。
個人型iDeCoの実勢としては、元本確保型(定期預金等)が年率0.002〜0.1%程度、元本変動型の投資信託では選択する商品によって異なり、過去実績ベースでは全世界株式・S&P500等の海外株式インデックスファンドで年率5〜10%、バランス型で年率3〜5%程度の実績が観測されています(過去実績は将来を保証するものではない設計)。
本記事では、iDeCo運用利回りの公的データと実勢の整理、運用実績の正しい評価基準(絶対リターン・ベンチマーク比較)、評価損益・資産評価額の用語解説、長期積立シミュレーションまで、企業年金連合会・iDeCo公式の公開情報をもとに整理します。
iDeCoの平均利回りはどれくらい?公的データと実勢

iDeCoは加入者一人ひとりが運用商品を自由に選ぶ制度のため、「個人型iDeCo単独の平均利回り」という公的統一データは公表されていません。
ただし、企業型DCについては企業年金連合会が定期的に「確定拠出年金実態調査」を実施しており、参考データとして活用できる仕組みとなっています。
企業型DCの平均運用利回り(参考データ)
企業年金連合会の「2023(令和5)年度企業型確定拠出年金実態調査結果」によると、企業型DCの運用実績は以下のとおりです。
・制度導入からの平均運用利回り(年率)の平均値:6.9%(前回調査3.1%)
・2023年度単年実績:13.3%
・2022年度単年実績:1.8%
・2021年度単年実績:3.5%
・想定利回りの平均値:2.08%
企業型DCは制度導入から長期間が経過しているため、長期積立による複利効果と株式相場の好転が反映され、制度導入からの通算利回り6.9%という水準まで上昇している状況となっています。
出典:企業年金連合会「2023(令和5)年度企業型確定拠出年金実態調査結果(概要版)」
企業型DCとiDeCoの違い
企業型DCと個人型iDeCoは制度が異なるため、企業型DCの利回りをそのままiDeCoに当てはめることはできません。
主な違いは以下のとおりです。
・企業型DC:会社が運営管理機関を選定、デフォルト商品設定あり、加入者の運用選択が限定的なケースも
・個人型iDeCo:個人が運営管理機関と運用商品を自由に選択、運用判断は完全に個人の責任
iDeCoの場合、個人の商品選択により利回りは2極に分かれる傾向にあります。
元本確保型のみを選んだ加入者と、海外株式インデックスファンドを選んだ加入者では、運用実績が桁違いに変わる仕組みとなります。
運用商品別の利回り目安

iDeCoで選べる運用商品は、主に「元本確保型」と「元本変動型(投資信託)」に分かれます。
それぞれの利回り水準には明確な差があります。
元本確保型(定期預金・保険商品)
元本確保型は元本割れリスクがない代わりに、利回りも低水準で推移する仕組みとなっています。
・定期預金:年率0.002〜0.1%程度(2026年時点、金融機関により異なる)
・保険商品(年金保険):年率0.05〜0.5%程度
・特徴:元本割れリスクなし、所得控除メリットのみ享受、長期的な資産増加は限定的
元本変動型(投資信託)
元本変動型の投資信託は、選択する資産クラスにより利回りが幅広く異なる構造となっています。
過去実績ベースでの目安は次のとおりです。
・国内債券型:年率0〜2%程度
・外国債券型:年率1〜4%程度
・国内株式型:年率3〜7%程度
・外国株式型(全世界株式・S&P500等):年率5〜10%程度
・バランス型(株式・債券・REIT等を組み合わせ):年率3〜5%程度
これらはあくまで過去実績の目安であり、将来のリターンを保証するものではありません。
長期積立により、市場変動を時間分散できる構造となっています。
長期積立シミュレーション
iDeCoは長期積立が前提のため、利回りの違いが受取額に明確な差を生む仕組みとなります。
月額2万円を30年間積み立てた場合の試算は次のとおりです。
・年率0.1%(元本確保型):積立元本720万円、運用後約731万円(運用益約11万円)
・年率3%:積立元本720万円、運用後約1,165万円(運用益約445万円)
・年率5%:積立元本720万円、運用後約1,665万円(運用益約945万円)
・年率7%:積立元本720万円、運用後約2,440万円(運用益約1,720万円)
同じ月2万円の積立でも、運用利回り次第で受取額が3倍以上変わる可能性がある構造のため、商品選びは長期の資産形成において重要な判断となります。
運用実績の正しい評価基準

「自分のiDeCoの運用がうまくいっているか」を客観的に評価するには、絶対リターンと相対リターン(ベンチマーク比較)の2軸で判断することが現実的です。
評価軸1:絶対リターン(評価損益)
絶対リターンは、運用資産の現在の評価額と、これまで積み立てた掛金累計額との差額で計算します。
・計算式:評価損益 = 現在の評価額 − 掛金累計額
・プラスの場合:運用益が出ている(運用が成功)
・マイナスの場合:評価損が出ている(現時点では含み損)
絶対リターンは「金額」と「率(損益率)」の両方で把握する設計が、運用状況を多面的に評価する判断軸となります。
評価軸2:ベンチマーク比較(相対リターン)
ベンチマークとは、運用成績を比較する「ものさし」となる基準指数のことです。
インデックス型投資信託の場合、特定の株価指数(例:MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス)への連動を目指して運用される仕組みとなっています。
・運用実績 > ベンチマーク:市場平均以上のパフォーマンス
・運用実績 < ベンチマーク:市場平均未満のパフォーマンス
・確認方法:投資信託の運用報告書、運営管理機関のウェブサイトで対象指数のパフォーマンスを確認
市場全体が下落している局面では、絶対リターンがマイナスでもベンチマーク以上のパフォーマンスを出している場合があり、「市場平均と比較して相対的にどうか」という視点が、運用判断の重要な軸となります。
iDeCoの用語解説|評価損益・資産評価額とは

運用実績の確認時に頻出する用語を整理しました。
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資産評価額とは
資産評価額は、運用している商品の時価による現在価値を指す用語です。
投資信託の場合、保有口数×基準価額で算出されます。
・定期預金:預入額+利息(評価変動なし)
・投資信託:保有口数×基準価額(日々変動)
・確認タイミング:運営管理機関のマイページで日次〜数日遅れで反映
評価損益とは
評価損益は、運用商品を保有している間に発生している、未確定の損益のことです。
「含み益・含み損」とも呼ばれる概念となっています。
・評価益(含み益):現在の評価額が掛金累計額を上回っている状態
・評価損(含み損):現在の評価額が掛金累計額を下回っている状態
・「未確定」の意味:売却していないため、確定した利益・損失ではない
損益率とは
損益率は、評価損益を掛金累計額で割って百分率表示したものです。
「評価損益 ÷ 掛金累計額 × 100」で算出されます。
例えば、掛金累計額500万円、現在の評価額650万円の場合、評価損益は+150万円、損益率は+30%です。
年率換算ではなく、運用開始からの通算損益率を示す指標となります。
個人の運用実績の確認方法

iDeCoの運用実績は、運営管理機関のマイページ・運用報告書で確認する設計です。
マイページでの日常的な確認
運営管理機関のウェブサイトまたは専用アプリのマイページにログインすると、以下の情報が確認できます。
・現在の評価額:運用商品の時価合計
・掛金累計額:これまでに積み立てた掛金の合計
・評価損益:評価額と掛金累計額の差額(プラス・マイナス)
・損益率:運用開始からの通算リターン
・商品別の保有状況:各商品の評価額・配分割合
運用報告書での詳細確認
年に1回程度、国民年金基金連合会または運営管理機関から「お取引状況のお知らせ」が送付される仕組みです。
マイページよりも詳細な運用実績・資産構成・取引履歴が記載されています。
運用実績確認の心構え
iDeCo公式でも「少なくとも年に一度は運用状況をチェックする」ことが推奨されています。
一方で、頻繁な確認は短期的な変動への一喜一憂を生みやすく、長期積立の方針が崩れるリスクがある構造です。
・確認頻度:月1回または四半期1回程度が現実的
・含み損時の対応:長期積立では一時的な含み損は珍しくない、ドルコスト平均法により安く買い増せている状況とも捉えられる
・リバランス検討:資産配分が当初設計から乖離した際は、商品入れ替え(スイッチング)・配分変更を検討
出典:iDeCo公式「忘れがちだけど大切!年に一度は実績をチェックしよう」
iDeCo運用利回りを評価する際の3つの判断ポイント

運用実績を評価する際の判断軸を整理しました。
判断軸1:長期(10年以上)の通算利回りで評価
短期の利回りは市場変動の影響を受けやすいため、10年以上の長期通算利回りで評価する設計が、iDeCoの長期積立制度との整合性で合理的です。
企業型DCの制度導入からの通算利回り6.9%は、長期の参考水準として活用できる仕組みとなります。
判断軸2:ベンチマーク連動の確認
インデックス型投資信託の場合、対象指数(MSCI ACWI、S&P500、TOPIX等)とのパフォーマンス連動を確認することが、運用効率の評価軸です。
連動から乖離している場合は、信託報酬の高さ・トラッキングエラーが要因となっている可能性があります。
判断軸3:信託報酬の控除後リターンで比較
運用報告書に記載される利回りは、信託報酬控除後の数値が一般的です。
同じインデックスに連動する商品でも、信託報酬の差により実質リターンが変わる構造のため、信託報酬の低い商品を選ぶ視点が、長期の資産形成効率を高めるアプローチとなります。
まとめ|iDeCoの運用利回りは公的データと自身の実績で多面評価
iDeCoの運用利回りについて、本記事のポイントを整理します。
・個人型iDeCo単独の公的平均利回り:公表されていない
・企業型DCの参考データ(企業年金連合会2023年度調査):制度導入からの通算利回り6.9%、想定利回り2.08%
・運用商品別の利回り目安:元本確保型0.002〜0.1%、海外株式型5〜10%(過去実績)
・運用実績の評価軸:絶対リターン(評価損益)とベンチマーク比較の2軸
・用語整理:資産評価額(時価)、評価損益(含み益・含み損)、損益率(通算リターン率)
・確認方法:運営管理機関マイページ・運用報告書、確認頻度は月1回〜四半期1回程度
・3つの判断軸:長期通算利回り、ベンチマーク連動、信託報酬控除後リターン
iDeCoの運用利回りは「絶対的な正解値」ではなく、自身の運用方針・期間・商品選択に応じた相対評価が現実的です。
企業型DCの公的データ(通算6.9%)は参考水準として活用しつつ、自身の運用実績は絶対リターンとベンチマーク比較の両方で評価する設計が、長期の資産形成に向けた合理的なアプローチとなります。
iDeCoは60歳まで引き出せない長期積立制度のため、短期の利回り変動に一喜一憂せず、年1回程度の運用実績確認とリバランス検討を通じて、長期目線で資産形成を進める考え方が現実的でしょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司による執筆です。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムでご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズにお調べいただけるでしょう。



