火災保険
火災保険は途中解約できる?返戻金の考え方と、解約する前に確かめること

火災保険は契約期間の途中でも解約でき、長期でまとめて保険料を払っている場合は、残りの期間に応じて保険料の一部が戻る場合があります。
ただし戻る額の計算方法は契約の約款で定められており、残りの期間分がそのまま戻るとは限らないのが実際です。
住宅ローンを組んでいる場合は、金融機関が保険金請求権に質権を設定していることがあり、解約の前に金融機関へ確かめる必要も出てきます。
この記事では、解約するときの考え方と、解約する前に確かめることを解説します。
途中解約と返戻金の考え方

解約そのものはできても、いくら戻るかは契約の中身しだいです。
まず契約の中身を確かめる
日本損害保険協会によると、保険期間や保険料の払い込み方法は保険会社によって違いがあります。
まず自分の契約がどうなっているかを、保険証券で確かめるのが出発点です。
出典:一般社団法人 日本損害保険協会「損害保険Q&A すまいの保険について」
一括払いなら一部が戻る場合がある
長期の契約で保険料をまとめて払っている場合、解約すると、残りの期間に応じて保険料の一部が戻る場合があります。
毎月払いの契約では、先の期間の保険料をまとめて払っているわけではないため、一括払いと比べて戻る額は小さくなります。
残りの期間分がそのまま戻るとは限らない
戻る額は、約款で定められた計算方法によって決まります。
「残りが3年分だから3年分が戻る」とは限らないため、解約する前に戻る額を保険会社へ確かめておくことが先決です。
住宅ローンを組んでいる場合

住宅ローンがある家の火災保険には、金融機関が関わっていることがあります。
金融機関が質権を設定していることがある
日本損害保険協会によると、金融機関は債権を保全する目的で、住宅ローンの申込者に火災保険の契約を求めるとともに、保険金請求権に質権を設定することがあります。
質権が設定された建物に損害が発生した場合、保険金は契約者ではなく、金融機関などの質権者に優先して支払われます(債権額が限度)。
解約する前に金融機関へ確かめる
質権が設定されている契約は、金融機関がその保険に関わっている状態のため、解約する前にまず住宅ローンを借りている金融機関に確かめます。
連絡する順番も含めて、金融機関と保険会社の両方に確かめておくのが確実です。
保険金額はローン残高ではなく建物の評価額で
同協会は、保険金額を住宅ローンの借入残高に合わせて設定した場合、借入残高が建物の評価額より低いと、支払われる保険金が評価額を下回り、修理や建て直しが難しくなると指摘しています。
ローンを完済して契約を見直す場合も、保険金額は借入残高ではなく建物の評価額を基準に考えることになります。
出典:一般社団法人 日本損害保険協会「損害保険Q&A 問54 住宅ローンを申込んだところ、火災保険の契約を求められました。住宅ローンと火災保険の関係はどうなっているのですか。」
入り直すときの保険料率

新しく契約し直すと、その時点の保険料率が使われます。
参考純率は2023年に全国平均13.0%引き上げられた
損害保険料率算出機構は2023年6月、住宅総合保険の参考純率を全国平均で13.0%引き上げ、水災に関する料率を地域のリスクに応じて5区分に細分化する改定を届け出ました。
水災の区分は、保険の対象となる建物がある市区町村別に、保険料が最も安い1等地から最も高い5等地までに分けられています。
実際の保険料の改定率とは異なる
ただし同機構は、参考純率の改定率は、実際に契約する保険会社の保険商品の改定率とは異なるとしています。
参考純率を使うかどうか、いつから販売するかは保険会社ごとの判断です。
古い契約を解約する前に比べる
長く続けている契約を解約して入り直すと、契約した当時とは異なる保険料率が使われる場合があります。
乗り換えを考えるときは、今の契約で戻る額と、新しい契約の保険料を並べて比べてから決めます。
出典:損害保険料率算出機構「火災保険参考純率 改定のご案内」(2023年6月28日)
補償の空白を作らない

解約で最も避けたいのは、どの保険にも入っていない期間ができることです。
引っ越しでは新しい契約を先に決める
引っ越しにともなって解約する場合は、新しい住まいの保険が始まる日と、古い契約を終える日をつなげます。
新しい契約の引き受けが決まる前に古い契約を解約すると、その間に起きた損害に備えがない状態になります。
売却なら引き渡しまでは続ける
住宅を売却する場合は、買い主への引き渡しが済むまで、火災や自然災害の損害を受ける可能性が残ります。
解約する日は、引き渡しが完了した日以降にするのが安全です。
売却した家の契約を放置しない
反対に、売却して手放した家の火災保険を解約しないまま続けていると、その家の保険料を払い続けることになります。
相談の場でも、家を売却した後に、前の家の火災保険を解約しないまま払い続けていた例に出会います。
まとめ:解約の手続きより、その前の確認が多い
火災保険の途中解約は、手続きそのものより、その前に確かめることのほうが多くなります。
要点は次のとおりです。
・火災保険は途中でも解約でき、長期の一括払いなら残りの期間に応じて一部が戻る場合がある
・戻る額は約款の計算方法で決まり、残りの期間分がそのまま戻るとは限らない
・住宅ローンでは金融機関が保険金請求権に質権を設定していることがあり、まず金融機関に確かめる
・2023年に参考純率が全国平均13.0%引き上げられており、入り直すと保険料率が変わる場合がある
・新しい契約を先に決め、補償のない期間を作らない
解約する前に、戻る額を保険会社に、質権の有無を金融機関に確かめ、新しい契約が始まる日を決めてから古い契約を終えることが、余計な出費と補償の空白を避ける進め方になります。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆した内容です。
当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。
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