税金(一般的な内容)
地震保険料控除とは?控除額の上限と旧長期損害保険料の扱い

地震保険料控除は、地震保険の保険料を支払った場合に受けられる所得控除です。
所得税では年間の支払保険料が5万円以下ならその全額、5万円を超えると一律5万円が控除額となり、住民税では支払額の2分の1(上限2万5,000円)が控除額になります。
火災保険とあわせて契約していても、控除の対象になるのは地震等による損害に対応する部分の保険料だけです。
この記事では、対象になる契約と控除額、見落とされやすい旧長期損害保険料の扱いを解説します。
地震保険料控除の対象になる契約

対象になるかどうかは、何を保険の目的とする契約か、どの部分の保険料かという2点で決まります。
順に確認します。
常時居住する家屋と生活用動産が対象
控除の対象となるのは、自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族が所有する家屋のうち、常時その居住の用に供するものと、家具や衣服などの生活用動産を保険の目的とする契約です。
常時居住していることが要件となるため、別荘のように普段住んでいない家屋を対象とする契約では、控除を受けられません。
なお、損害保険会社の契約だけでなく、農業協同組合の建物更生共済や火災共済、消費生活協同組合連合会の自然災害共済なども対象に含まれます。
控除されるのは地震等の損害部分の保険料
地震保険は、火災保険などの契約に附帯して契約するか、その契約と一体となって効力を持つ形で契約します。
控除の対象となるのは、このうち地震・噴火・津波などを原因とする損害に対応する部分の保険料や掛金で、火災保険の部分の保険料は含まれません。
出典:国税庁「No.1146 地震保険料控除の対象となる保険や共済の契約」
控除額の上限は所得税5万円・住民税2万5,000円

控除額は、所得税と住民税で計算方法が異なります。
それぞれの上限と、実際に軽くなる税額の考え方を確認します。
所得税の控除額
所得税の控除額は、その年に支払った地震保険料に応じて次のようになります。
・年間の支払保険料が5万円以下:支払金額の全額
・年間の支払保険料が5万円超:一律5万円
支払った金額がそのまま控除されるか、5万円で頭打ちになるかのいずれかで、計算が複雑になることはありません。
住民税の控除額
住民税では計算方法が異なり、上限も所得税より小さくなります。
・年間の支払保険料が5万円以下:支払金額の2分の1
・年間の支払保険料が5万円超:一律2万5,000円
たとえば年間の地震保険料が3万円なら、所得税の控除額は3万円、住民税の控除額は1万5,000円です。
住民税の控除額は、市区町村の案内でも確認できます。
出典:埼玉県三芳町「個人住民税(生命保険料・地震保険料控除の計算方法)」
控除額がそのまま戻るわけではない
所得控除は、税額から直接差し引くものではなく、税金の計算のもとになる所得を減らすものです。
そのため、控除額に税率を掛けた分だけ税負担が軽くなるにとどまり、上限の5万円が控除されても、その金額が戻ってくるわけではありません。
相談の場でも、控除額と実際に軽くなる税額を同じものと受け取っている例が見られます。
軽くなる税額は、支払う保険料と比べれば小さい金額です。
地震保険を検討するときは、控除でいくら戻るかよりも、被災したときに住まいや暮らしの立て直しにどれだけ役立つかを軸に考えることが要点になります。
見落とされやすい旧長期損害保険料

平成18年12月31日までに契約した一定の長期損害保険は、経過措置として控除の対象にできます。
古い契約が残っている場合は、確認する価値があります。
3つの要件をすべて満たす契約が対象
平成19年分から損害保険料控除は廃止されましたが、次の要件を満たす長期損害保険契約等の保険料は、地震保険料控除の対象にできます。
・平成18年12月31日までに締結した契約であること(保険期間または共済期間の始期が平成19年1月1日以後のものを除く)
・満期返戻金等があり、保険期間または共済期間が10年以上の契約であること
・平成19年1月1日以後にその契約の変更をしていないこと
親から引き継いだ建物の契約など、古い契約が残っていても、対象になることに気づいていない例もあります。
控除額と、1つの契約での選択適用
旧長期損害保険料の所得税の控除額は、支払保険料が1万円以下ならその全額、1万円超2万円以下なら支払金額×2分の1+5,000円、2万円超なら一律1万5,000円です。
住民税では、5,000円以下はその全額、5,000円超1万5,000円以下は支払金額×2分の1+2,500円、1万5,000円超は一律1万円となります。
地震保険料と旧長期損害保険料の両方がある場合は、それぞれ計算した金額を合計できますが、合計額の上限は所得税5万円・住民税2万5,000円です。
また、1つの契約について両方に該当する場合は、どちらか一方を選んで控除を受ける決まりとなっており、両方を同時に適用することはできません。
手続きは年末調整か確定申告で

控除を受けるには、証明書を使った手続きが必要です。
勤務先で年末調整を受ける人と、確定申告をする人で流れが分かれます。
証明書を添えて申告する
確定申告をする場合は、申告書の地震保険料控除の欄に記入し、支払金額と控除を受けられることを証明する書類を添付するか、申告の際に提示します。
勤務先の年末調整で控除を受けた場合、この添付や提示は必要ありません。
対象になるかどうかは証明書で確認できる
支払った保険料が控除の対象になるかどうかは、保険会社などから送られてくる証明書で確認できます。
保険料の払い方によって各年の控除対象額は変わるため、毎年届く証明書に記載された金額をもとに申告することが確実です。
まとめ:控除は付随的なもの、必要性は別に考える
地震保険料控除は、常時居住する家屋や生活用動産を対象とする契約のうち、地震等による損害部分の保険料について受けられる所得控除です。
上限は所得税5万円・住民税2万5,000円で、古い契約がある場合は旧長期損害保険料の経過措置もあわせて確認できます。
・対象は常時居住する家屋と生活用動産で、別荘など普段住んでいない家屋の契約は対象外
・控除されるのは地震等の損害部分の保険料で、火災保険の部分は含まれない
・控除額の上限は所得税5万円・住民税2万5,000円
・平成18年末までに契約した一定の長期損害保険は、経過措置で控除の対象にできる
・1つの契約について両方に該当する場合は、どちらか一方を選ぶ
控除額がそのまま戻るわけではないため、地震保険は税負担を軽くするために入るものではなく、被災したときの備えとして必要かどうかで考え、加入しているなら控除を申告し忘れないことが、無理のない使い方になります。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆した内容です。
当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。
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