社会保障
介護保険料はいくら?40歳・65歳からの計算方法・所得段階・負担を抑える制度をわかりやすく解説

介護保険料は40歳から負担が始まり、65歳を境に計算方法と徴収方法が変わります。
厚生労働省の公表によると、第9期(2024〜2026年度)の65歳以上の全国平均基準額は月額6,225円で、制度開始時(2000年度)の2,911円から約2.1倍に上昇しました。
40〜64歳の会社員は健康保険料に上乗せして給与から天引きされ、令和7年度の協会けんぽの介護保険料率は全国一律1.59%(労使折半)です。
この記事では、年齢や働き方による介護保険料の計算方法の違い、65歳以上の所得段階の仕組み、負担を軽減する制度、そして家計全体の社会保険料負担を把握するための考え方を整理しています。
介護保険制度の財源と保険料の位置づけ

介護保険は市区町村が運営する社会保険制度で、40歳以上の全員が加入します。
財源は公費(税金)50%と保険料50%の組み合わせで成り立っており、保険料の内訳は第1号被保険者(65歳以上)が23%、第2号被保険者(40〜64歳)が27%です。
この負担割合は、両者の1人あたりの負担額が同水準になるよう、人口比に基づいて3年ごとに見直されています。
公費50%の内訳は、国が25%、都道府県が12.5%、市区町村が12.5%となっています。
介護サービスの利用が増えるほど給付費が膨らみ、保険料にも影響するため、保険料の推移を把握しておくことは家計管理において重要です。
出典:厚生労働省「第9期介護保険事業計画期間における介護保険の第1号保険料及びサービス見込み量等について」
65歳以上(第1号被保険者)の介護保険料の仕組み

65歳以上の方は「第1号被保険者」として、住んでいる市区町村が定めた介護保険料を個別に納めます。
保険料は全国一律ではなく、自治体ごとの介護サービス費用の見込みに基づいて3年ごとに決定される仕組みです。
保険料基準額の決まり方
各市区町村は、3年間の介護サービス給付費の見込み総額のうち、第1号被保険者が負担する23%分を、その自治体の第1号被保険者数で割って「基準額」を算出します。
第9期(2024〜2026年度)の全国平均基準額は月額6,225円で、第8期の6,014円から211円(3.5%)の増加となりました。
ただし、自治体間の差は大きく、最も高い大阪市は月額9,249円、最も低い東京都小笠原村は月額3,374円と、約2.7倍の開きがあります。
地域の高齢化率や介護サービスの利用状況によって保険料に差が生じるため、転居時には介護保険料の変動も考慮に入れる必要があるでしょう。
所得段階による保険料の違い
第1号被保険者の保険料は、本人の所得や世帯の住民税課税状況に応じた「所得段階」で決まります。
第9期からは、国の標準段階が従来の9段階から13段階に多段階化されました。
高所得者の標準乗率を引き上げ、低所得者の乗率を引き下げることで、所得に応じた負担の公平性を高める目的です。
標準的な所得段階の概要は次のとおりです(基準額に対する乗率)。
・第1段階(生活保護受給者、世帯全員が非課税で老齢福祉年金受給者、または世帯全員が非課税で課税年金収入額と合計所得金額の合計が80.9万円以下):基準額×0.285(公費軽減後)
・第2段階(世帯全員が非課税で、課税年金収入額と合計所得金額の合計が80.9万円超120万円以下):基準額×0.485(公費軽減後)
・第3段階(世帯全員が非課税で、課税年金収入額と合計所得金額の合計が120万円超):基準額×0.685(公費軽減後)
・第5段階(本人が非課税・世帯に課税者あり・課税年金収入額と合計所得金額の合計が80.9万円超):基準額×1.0(基準額そのもの)
・第9段階(本人が課税・合計所得金額320万円以上420万円未満):基準額×1.70
・第13段階(本人が課税・合計所得金額720万円以上):基準額×2.40
第1段階から第3段階までは消費税増税分を活用した公費による保険料軽減措置が適用されています。
自治体によっては13段階をさらに細分化し、15段階や19段階に設定しているケースもあります。
出典:厚生労働省「介護保険の第1号保険料の多段階化等について」
徴収方法:特別徴収と普通徴収
第1号被保険者の介護保険料は、年金が年額18万円以上の場合、年金からの天引き(特別徴収)で納付するのが原則です。
年6回の年金支給時に2か月分ずつ差し引かれるため、払い忘れが起きにくい仕組みになっています。
年金が年額18万円に満たない場合は、市区町村から届く納付書や口座振替で自ら納める「普通徴収」となります。
65歳に到達したばかりの方や、転入直後の方は特別徴収の手続きに一定期間かかるため、当初は普通徴収で納付し、その後自動的に特別徴収に切り替わる流れです。
40〜64歳(第2号被保険者)の介護保険料の仕組み

40歳から64歳までの方は「第2号被保険者」として、加入している医療保険(健康保険・国民健康保険)を通じて介護保険料を負担します。
65歳以上のように所得段階で定額が決まるのではなく、給与額や所得に応じて保険料が変動する点が特徴です。
会社員・公務員の場合(協会けんぽ・健保組合)
協会けんぽに加入する会社員の場合、令和7年度の介護保険料率は全国一律1.59%で、事業主と被保険者が折半で負担します。
実際の本人負担率は0.795%です。
保険料は標準報酬月額と標準賞与額にこの料率を掛けて算出されます。
たとえば、標準報酬月額が30万円の場合、介護保険料の月額は30万円×1.59%=4,770円(労使合計)で、本人負担は2,385円です。
健康保険組合に加入している場合は組合ごとに料率が異なり、令和7年度の平均は1.74%(予算早期集計ベース)と、協会けんぽより高めの傾向にあります。
なお、40歳未満や65歳以上の会社員の給与からは介護保険料が天引きされません。
40歳に到達した月から給与明細に介護保険料が加わるため、手取りが少し減ることになります。
自営業者の場合(国民健康保険)
国民健康保険に加入する自営業者やフリーランスの場合、介護保険料は国民健康保険料に上乗せして徴収されます。
計算方法は自治体によって異なりますが、一般的には「所得割(前年の所得に対して課される部分)」と「均等割(1人あたりの定額部分)」の合計で決まります。
会社員と異なり事業主負担がないため、介護保険料は全額自己負担となる点に注意が必要です。
40歳になった年度に国民健康保険料の通知が届いた後、別途介護保険料の納付書が届く場合があるため、初年度は納付を見落とさないよう注意しましょう。
被扶養者の介護保険料
協会けんぽに加入する会社員の被扶養配偶者(40〜64歳)は、介護保険料を別途納付する必要がありません。
被保険者全体の保険料から賄われる仕組みです。
ただし、一部の健康保険組合では「特定被保険者制度」を設けており、40歳未満や65歳以上の被保険者でも40〜64歳の被扶養者がいる場合に介護保険料を徴収するケースがあります。
加入している健保組合の規約を確認しておくとよいでしょう。
介護保険料の推移と今後の見通し

65歳以上の全国平均基準額は、制度開始から一貫して上昇を続けています。
・第1期(2000〜2002年度):2,911円
・第3期(2006〜2008年度):4,090円
・第5期(2012〜2014年度):4,972円
・第7期(2018〜2020年度):5,869円
・第8期(2021〜2023年度):6,014円
・第9期(2024〜2026年度):6,225円
約25年間で基準額は2.1倍に増えました。
高齢化の進展に伴い要介護認定者数は2026年度に729万人、2040年度には843万人に達する見込みで、介護給付費の増加が続く限り保険料の上昇傾向も避けられない状況です。
第10期(2027年度〜)以降も保険料引き上げが見込まれるため、将来の保険料負担の増加を見据えた家計計画が欠かせません。
介護保険料の負担を軽減する制度

介護保険料の負担が重いと感じる場合、活用できる軽減制度がいくつかあります。
低所得者に対する公費軽減措置
第1号被保険者のうち第1段階から第3段階までの低所得者には、消費税増税分を活用した公費による保険料軽減が適用されています。
国の標準では、第1段階で基準額に対する乗率が0.455から0.285に、第2段階で0.685から0.485に、第3段階で0.69から0.685に軽減される仕組みです。
この軽減の財源は国が1/2、都道府県・市区町村が各1/4ずつ負担しています。
災害・失業・所得激減による減免
災害や失業、廃業などにより所得が著しく減少した場合は、市区町村に申請することで介護保険料の減額や免除を受けられる可能性があります。
減免の基準は自治体ごとに異なるため、該当する状況になった場合は早めに市区町村の介護保険担当窓口に相談することが重要です。
社会保険料控除の活用
支払った介護保険料は、所得税・住民税の「社会保険料控除」として全額が所得から控除されます。
年金からの天引き(特別徴収)の場合は天引きされた本人の控除対象となり、口座振替(普通徴収)で配偶者等が支払った場合は支払った方の控除対象にすることが可能です。
たとえば、配偶者の介護保険料を世帯主が口座振替で支払う形にすれば、所得の高い世帯主の社会保険料控除に加算でき、世帯全体の税負担を軽減できる場合があります。
介護保険料を家計全体で把握する重要性

介護保険料は、健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料と合わせた「社会保険料負担の全体像」のなかで把握することが大切です。
40歳到達時の手取り変動に備える
40歳になると給与から介護保険料が天引きされるようになり、手取りが減少します。
標準報酬月額30万円の場合、本人負担分は月額約2,385円で、年間では約2.9万円の負担増です。
高額ではないものの、住宅ローンや教育費の負担と重なる時期でもあるため、事前に把握しておくとよいでしょう。
65歳到達時の保険料負担の変化
65歳になると、介護保険料は給与天引きから年金天引きに切り替わり、市区町村が個別に決定した保険料を納めることになります。
退職後に年金生活に入った場合、全国平均の月額6,225円は年間約7.5万円の負担です。
年金収入から社会保険料(介護保険料+国民健康保険料or後期高齢者医療保険料)を差し引いた「手取りの年金額」を事前に試算しておくことで、必要な老後資金の見積もりがより正確になります。
民間介護保険の加入判断
介護保険料は「保険料の負担」であり、実際に介護が必要になった場合の「サービス利用時の自己負担」は別途かかります。
自己負担は原則1割(一定以上の所得がある場合は2割または3割)で、高額介護サービス費制度による上限も設けられています。
民間の介護保険に加入するかどうかは、まず公的介護保険のサービス内容と自己負担の上限額を把握したうえで、不足する部分を預貯金で備えるか、保険で備えるかを比較検討する流れが合理的です。
公的制度でカバーされる範囲を確認せずに民間保険に加入すると、保障が過剰になり保険料の無駄が生じる場合もあるため、制度の全体像を先に理解しておくことが判断の出発点になります。
まとめ
介護保険料は40歳から負担が始まり、65歳を境に計算方法・徴収方法が変わります。
65歳以上の全国平均基準額は月額6,225円(第9期)で、所得段階に応じて0.285倍〜2.40倍の幅で保険料が決まる仕組みです。
40〜64歳の会社員は協会けんぽの場合、料率1.59%の労使折半で給与から天引きされます。
低所得者への公費軽減や社会保険料控除の活用で負担を抑えられる場面もありますが、高齢化の進展により保険料は今後も上昇が見込まれます。
介護保険料だけでなく、健康保険料・年金保険料と合わせた社会保険料負担の全体像を把握し、「手取りベース」で老後の収支を見積もることが、過不足のない家計計画につながるでしょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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