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家計の見直しはどこから始める?固定費削減の優先順位と判断基準を解説

家計の見直しで最も効果が高いのは、毎月自動的に引き落とされる固定費の削減です。総務省の家計調査(2024年)によると、二人以上世帯の消費支出は月平均約30万円で、このうち保険料・通信費・住居費などの固定費が支出全体の半分以上を占めています。
固定費は一度見直せば削減効果が毎月続くため、食費や日用品の節約よりも優先的に取り組む価値があるでしょう。
ただし、やみくもに削るのではなく「公的保障で何がカバーされているか」を確認した上で、重複している民間保障を整理し、コスト対効果の低い支出を特定するという3ステップで進めることが重要になります。
家計の見直しで固定費を優先すべき理由

家計改善というと食費や光熱費の節約を思い浮かべがちですが、削減効果の持続性と金額の大きさを考えると、固定費の見直しが最優先になります。
変動費の節約には限界がある
食費を月5,000円減らそうとすると、毎日の買い物や献立に気を配り続ける必要があります。
一方、保険の見直しで月5,000円減らせれば、その後は何も意識しなくても効果が続くでしょう。家計改善は「一度の判断で効果が持続するもの」から着手するのが鉄則です。
固定費の占める割合は想像以上に多い
住居費、保険料、通信費、サブスクリプション、自動車関連費など、毎月定額で支出される項目を合算すると、手取り収入の40〜60%に達するケースも珍しくありません。
生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査」(2024年度)によると、二人以上世帯の生命保険(個人年金保険を含む)の年間払込保険料は平均35.3万円、月額に換算すると約2.9万円にのぼります。この保険料だけでも、見直しの余地が大きい固定費と言えるでしょう。
ステップ1:公的保障で何がカバーされているかを確認する

固定費の中でも特に見直し効果が高いのが保険料ですが、保険の要否を判断するには、まず公的保障の全体像を把握する必要があります。
公的保障を知らないまま民間保険に加入すると、すでにカバーされているリスクに対して二重に保険料を払うことになりかねません。
医療費の自己負担には上限がある
健康保険には高額療養費制度があり、年収約370万〜約770万円の区分であれば、ひと月の医療費の自己負担上限は約8〜9万円です。
さらに、直近12か月以内に3回以上上限に達した場合は「多数回該当」となり、自己負担は月44,400円まで下がります。入院が長引いた場合でも、医療費が際限なく膨らむ心配はないでしょう。
なお、2026年8月から高額療養費の自己負担上限額が段階的に引き上げられることが決まっています。年収約370万〜約770万円の区分では、第1段階(2026年8月〜)で上限額の基準が80,100円から85,800円に引き上げられ、第2段階(2027年8月〜)では所得区分がさらに細分化される予定です。
ただし、長期療養者向けの多数回該当(月44,400円)は据え置きが決まっており、新たに年間上限(年収約370万〜約770万円の区分で53万円)も設けられます。上限額の引き上げ後も、公的保障で医療費負担が一定範囲に抑えられる構造は変わりません。
働けなくなったときの公的保障
会社員や公務員が病気やケガで働けなくなった場合、健康保険から傷病手当金(給与の約2/3、通算最長1年6か月)が支給されます。
さらに障害が残った場合には障害年金の受給対象となり、障害基礎年金2級で年額831,700円(令和7年度)が支給されるでしょう。
こうした公的保障を把握していれば、民間の就業不能保険や医療保険にどこまで上乗せが必要かを冷静に判断できます。
万が一の死亡リスクと遺族年金
一家の稼ぎ手が亡くなった場合、遺族基礎年金は年額831,700円に子1人あたり239,300円が加算されます。会社員であれば遺族厚生年金も上乗せされるため、公的年金だけで月額15万円前後を受給できるケースもあります。
この金額を把握した上で、住宅ローンの団信(団体信用生命保険)でローン残債がゼロになることも加味すれば、必要な死亡保障額は想像より少ないことに気づくはずです。
ステップ2:重複している保障を整理する

公的保障の全体像を把握したら、次は加入中の民間保険と公的保障の重複をチェックしましょう。重複部分こそ、家計から削減できる余地が最も大きい領域です。
医療保険の重複チェック
高額療養費制度で自己負担が月約8〜9万円に抑えられることを踏まえると、入院日額5,000円〜10,000円の医療保険が本当に必要かどうかは慎重に考える必要があります。
貯蓄が100万円以上あれば、数か月の入院にも高額療養費制度と貯蓄で対応できるため、医療保険の優先度は下がります。
ただし、貯蓄が少ない場合や、自営業で傷病手当金がない場合は、医療保険を残す判断も合理的でしょう。
死亡保険の過剰加入チェック
住宅ローンに団信が付いている場合、死亡時にローン残債はゼロになります。これに遺族年金を加えた上で、教育費や生活費の不足額だけを民間の死亡保険でカバーすれば十分です。
子どもの成長とともに必要保障額は減少していくため、定期的に保障額を見直すことで保険料を下げられます。
自動車保険の補償範囲チェック
車両保険は保険料全体の中で高い割合を占める傾向にあります。車の時価額が低い場合(目安として新車価格の半額以下になった場合)は、車両保険を外して対人・対物賠償と人身傷害に絞る選択も検討に値するでしょう。
また、弁護士費用特約は1台分の契約で家族全員をカバーできるため、複数台で重複加入していないか確認が必要です。
ステップ3:コスト対効果の低い支出を特定する

保険の整理が終わったら、保険以外の固定費にも目を向けましょう。通信費やサブスクリプションは、契約時から見直していないケースが多く、削減余地が残っている項目です。
通信費の見直し
MM総研の調査(2025年7月)によると、スマートフォンの月額利用料金(端末代を除く通信+通話料金)は、大手キャリアで約4,700円、格安SIMでは約1,800円と、月額で約2,900円の差があります。
家族4人で大手キャリアから格安SIMに乗り換えた場合、年間で約14万円の削減効果が見込めるでしょう。
通信品質は大手キャリアの回線を利用しているため、日常的な利用で不便を感じることは少なくなっています。
サブスクリプションの棚卸し
動画配信、音楽配信、クラウドストレージ、アプリの有料プランなど、月額数百円〜数千円のサブスクリプションは、個別に見れば少額でも積み重なると月5,000円〜10,000円に達する場合があります。
過去3か月間の利用頻度を確認し、月1回以下しか使っていないサービスは解約を検討しましょう。必要になったときに再契約すれば済む場合がほとんどです。
住居費の見直し
住宅ローンを返済中であれば、金利の見直しが有効な場合があります。借入当初の金利より0.3%以上低い金利で借り換えられる場合は、借り換え諸費用を考慮しても総返済額を減らせる可能性があるでしょう。
賃貸の場合は、テレワークの普及で通勤頻度が減っていれば、駅からの距離や立地条件を見直すことで家賃を下げられる場合もあります。
見直しの順番と削減効果の目安

固定費の見直しは、削減効果の大きさと実行のしやすさを考慮して進めるのが効率的です。
最優先で見直すべき固定費
最も削減効果が大きいのは生命保険料です。公的保障との重複を整理するだけで、月1万〜2万円の削減につながるケースは珍しくありません。
次に効果が高いのが通信費で、家族全員の携帯電話プランを見直すことで年間10万円以上の削減が見込めます。
次に見直すべき固定費
サブスクリプションの整理で月3,000〜5,000円、自動車保険の補償内容の見直しで年間2万〜5万円の削減が期待できます。住宅ローンの借り換えは手続きに手間がかかるものの、金利差がある場合は数十万〜数百万円単位の効果が出る場合もあるでしょう。
固定費を削って浮いたお金の活用法

固定費の見直しで浮いたお金は、使い道を事前に決めておくことが重要です。明確な目的がないと、いつの間にか他の支出に回ってしまいます。
緊急予備資金の確保を最優先にする
生活費の3〜6か月分の貯蓄がまだ確保できていない場合は、削減分をまず緊急予備資金に充てましょう。この資金があれば、突発的な支出にも保険に頼らず対応でき、さらに保険の見直し余地が広がるという好循環が生まれます。
新NISAやiDeCoでの資産形成
緊急予備資金が確保できた後は、新NISAのつみたて投資枠やiDeCoを活用した長期の資産形成に回すのが効率的です。月1万円の固定費削減を20年間つみたて投資に回せば、運用利回り次第では数百万円の資産形成につながる可能性もあります。
見直しの際に注意すべきポイント

固定費の削減には注意点もあります。コスト削減だけに目を向けると、必要な保障まで削ってしまうリスクがあるでしょう。
削ってはいけない保障を見極める
自営業・フリーランスの場合は、会社員と異なり傷病手当金や労災保険がないため、就業不能保険や医療保険の必要性は高い状態にあります。
また、住宅ローンの団信に加入していない場合は、死亡保険の見直しも慎重に行う必要があるでしょう。公的保障の適用範囲は働き方によって異なるため、自分の状況に合わせた判断が欠かせません。
保険の解約は新しい契約の成立後に行う
保険を見直す際には、新しい保険の契約が成立し、保障が開始されてから古い保険を解約するのが原則です。
解約を先に行うと、新しい保険の審査で加入できなかった場合に無保険状態になるリスクがあります。
年に1回の定期見直しを習慣化する
家族構成や収入、ライフステージは毎年変化するため、固定費の見直しは1回で終わりではなく、年に1回は定期的に行うことが望ましいでしょう。子どもの進学や住宅ローンの完済など、ライフイベントのタイミングに合わせて見直すのも効果的です。
まとめ
家計の見直しは「公的保障の確認→重複保障の整理→コスト対効果の低い支出の特定」という3ステップで進めるのが最も効率的です。特に生命保険料は、高額療養費制度や遺族年金などの公的保障を正しく把握するだけで、月1万〜2万円の削減余地が見えてくるケースが少なくありません。
通信費やサブスクリプションの見直しも加えれば、年間で20万〜30万円以上の削減も十分に可能でしょう。
削減した資金は緊急予備資金の確保やNISA・iDeCoでの資産形成に回すことで、家計全体の安定性を高められます。
出典:総務省「家計調査報告」
出典:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」(2024年度)
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。



