投資リスクなどへの対策
ウイルス対策ソフトは必要?有料ソフトを買う前に確かめたいことと、ソフトでは防げないお金の被害

ウイルス対策ソフトは必要?有料ソフトを買う前に確かめたいことと、ソフトでは防げないお金の被害
総務省は、ほとんどのパソコンにはOSやブラウザの機能としてセキュリティ対策ソフトが標準で備わっているとして、まずそれを活用するよう勧めています。
なお、有料のソフトは、有効期限が過ぎると更新されなくなるため、料金を払い続けることが前提です。
一方、金融庁は、ウイルス対策ソフトの導入と更新を有効な手段としつつ、偽サイトなどで盗まれたIDやパスワードによる証券口座への不正アクセスや不正取引に注意を呼びかけています。
この記事では、有料のウイルス対策ソフトを買う前に確かめたいことと、ソフトだけでは防げないお金の被害への備えを解説します。
ウイルス対策ソフトの役割と、万全ではない理由

総務省によると、セキュリティ対策ソフトは、メールやホームページ、USBメモリなどから受け取るデータにマルウェア(ウイルスなどの不正なソフト)が含まれていないかをチェックし、侵入を防ぐのが主な役割です。
また、偽サイトや攻撃サイトとしてすでに報告されているサイトへのアクセスをブロックし、ファイアウォール機能を有効にすれば、不要な通信を遮断して不正に操作される危険性を減らせます。
ただし、総務省によれば、セキュリティ対策ソフトが機能していても対策が万全とはいえず、ソフトの更新が間に合わずにマルウェアがすり抜けることも少なくない点に注意が必要です。
そのうえで、対策ソフトは公衆衛生における「マスク着用」のようなものと考え、知らない人からのメールの添付ファイルを不用意に開かない、怪しいホームページはできるだけ見ないといった心がけを求めています。
出典:総務省「セキュリティ対策ソフトを活用しよう」(国民のためのサイバーセキュリティサイト)
つまり、ソフトを入れることと、利用する側が気をつけることは、両方がそろって初めて意味を持つ対策です。
有料ソフトを買う前に、標準の機能を確かめる
総務省によると、現在のほとんどのコンピュータには、OSやWebブラウザの機能としてセキュリティ対策ソフトが標準装備されており、まずはそれを有効に活用して被害を防ぐことが基本とされています。
もっとセキュリティ機能が必要と感じる場合に、市販のソフトの購入を検討してみるのもよいかもしれない、という位置づけです。
ただし、有償の対策ソフトは、有効期限が過ぎるとアップデートされなくなり、性能が低下していくため、料金を払い続ける必要があります。
また、OSによっては、市販の対策ソフトをインストールするとOS標準装備の対策ソフトが機能を停止するため、市販のソフトを期限切れのまま使い続けると、かえって危険になるとされています。
特に、期間限定で無料で試用できる「体験版」が初めからインストールされたパソコンでは、体験版の有効期限が切れると危険な状態になるため、料金を払う予定がなければ、早めにアンインストールして標準の対策ソフトが作動するように戻しておくのが、総務省の勧める対応です。
出典:総務省「セキュリティ対策ソフトを活用しよう」(国民のためのサイバーセキュリティサイト)
家計の面から見ると、有料のソフトは一度買えば終わりではなく、使い続ける限り料金がかかる固定費になります。
家族のパソコンやスマートフォンの台数分を契約しているなら、その合計額も含め、まず標準の機能が有効になっているかを確かめてから、それでも足りないと感じる場合に購入を検討する順番が現実的です。
証券口座やネットバンキングは、ソフトだけでは守れない

証券口座やネットバンキングを守るには、対策ソフトとOSの更新に加えて、多要素認証や通知サービスの設定も組み合わせる必要があります。
金融庁も対策ソフトの導入と更新を「有効な手段」としている
金融庁は、マルウェアによる情報の窃取を防ぐには、パソコンやスマートフォンのOSなどを最新の状態にしておくとともに、マルウェア(ウイルス等)対策ソフトを導入し、常に最新の状態に更新することが有効な手段になるとしています。
出典:金融庁「インターネット取引サービスへの不正アクセス・不正取引にご注意ください」(令和8年10月9日更新)
対策ソフトとOSの更新は、証券口座やネットバンキングを守るうえでも土台になる対策です。
偽サイトで入力したIDやパスワードが悪用される
金融庁は、実在する証券会社のウェブサイトを装った偽のウェブサイト(フィッシングサイト)などで盗まれたログインIDやパスワードによる、インターネット取引サービスでの不正アクセス・不正取引に注意を呼びかけています。
金融庁の集計では、2025年1月から2026年9月までに、インターネット取引サービスへの不正アクセスが19,252件あり、そのうち10,642件は不正取引まで行われたものです。
出典:金融庁「インターネット取引サービスへの不正アクセス・不正取引にご注意ください」(令和8年10月9日更新)
出典:金融庁「インターネット取引サービスへの不正アクセス・不正取引の発生状況」(令和8年10月9日更新)
インターネットバンキングでも、警察庁によると、令和7年の不正送金は4,747件、被害総額は約103億9,700万円で、フィッシング(実在する会社を装った偽サイトに誘導し、IDやパスワードを入力させる手口)がその手口の約9割を占めています。
出典:警察庁「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」(令和8年3月)
偽サイトに自分でIDやパスワードを入力してしまうと、その情報を使って正規のサイトにログインされるため、パソコンに対策ソフトが入っていても被害を防げない場合があるということです。
多要素認証と通知、ブックマークで守る
金融庁は、各証券会社などが提供しているセキュリティ強化機能として、ログイン時・取引時・出金時・出金先の銀行口座の変更時の多要素認証(パスワードに加えて、別の方法でも本人確認をする仕組み)や通知サービスを有効にし、不審な取引に注意するよう呼びかけています。
あわせて、利用する証券会社などのウェブサイトは、事前に正しいURLをブックマークに登録し、ブックマークから開くよう求めています。
なお、各証券会社などでは、パスキー認証などのフィッシングに耐性のある多要素認証の必須化が進められているとの説明です。
出典:金融庁「インターネット取引サービスへの不正アクセス・不正取引にご注意ください」(令和8年10月9日更新)
ソフトを入れたうえで、証券口座やネットバンキングの多要素認証と通知が有効になっているかを確かめておくと、IDやパスワードが盗まれた場合の被害を抑えやすくなります。
「ウイルスに感染しました」という警告は詐欺のことも
警察庁によると、令和7年の架空料金請求詐欺のうち、パソコンのウイルス除去をサポートするなどの名目で電子マネー等をだまし取る「サポート名目」の認知件数(警察が把握した件数)は1,066件、被害額は約14億円となっています。
偽の警告で電話をかけさせる手口
総務省によると、サポート詐欺は、悪意のあるWebサイトを訪れた利用者に偽の警告画面を表示し、画面上のなりすましサポートセンターに電話をかけさせて金品をだまし取る詐欺です。
マルウェアに感染したかのような警告メッセージや警告音で不安をあおり、電話をかけると有償サポートに誘導され、プリペイドカードなどでの支払いを求められます。
出典:総務省「サポート詐欺とは?」(国民のためのサイバーセキュリティサイト)
警察庁の資料でも、サポート名目で金銭をだまし取ったり、遠隔操作ソフト(パソコンを外部から操作できるソフト)をインストールさせたりする被害が引き続き発生しているとしています。
出典:警察庁「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」(令和8年3月)
IPAの情報セキュリティ安心相談窓口でも、2026年4〜6月に寄せられた相談3,832件のうち、ウイルスを検出したという偽警告に関する相談が1,428件と手口別で最多となり、全体の37.3%を占める状況です。
出典:IPA「情報セキュリティ安心相談窓口の相談状況[2026年第2四半期(4月~6月)]」
警告が出ても電話せず、ブラウザを閉じる
総務省によると、偽の警告画面はマルウェアの感染の有無に関わらず繰り返し表示されているだけなので、画面を閉じれば問題は解消します。
そのうえで、偽の警告画面が表示されても、表示されたサポートセンターへの連絡や、アプリやソフトウェアのインストールは決して行わず、ブラウザを終了させるというのが総務省の呼びかけです。
出典:総務省「サポート詐欺とは?」(国民のためのサイバーセキュリティサイト)
表示された番号に電話をかけると、そこから有償サポートへの誘導や遠隔操作ソフトのインストールへと話が進むため、警告が出ても電話をかけず、ブラウザを閉じることが、お金を失わないための第一歩になります。
相談の場で見かけること
相談の場で見かけるのが、有料のセキュリティソフトを入れているから大丈夫と考え、証券口座の多要素認証を設定していなかったというケースです。
また、パソコンに最初から入っていた体験版の期限が切れたまま、使い続けていた方もいます。
さらに、画面に出た「ウイルスに感染しました」という警告を信じて、表示された番号に電話をかけてしまったという相談を、ご家族から受けたこともあります。
いずれも、ソフトを入れたかどうかより、その後の設定や更新、警告が出たときの対応で差がつくケースです。
そのため、ソフトの購入を考える前に、まず標準の機能が有効になっているか、証券口座やネットバンキングの多要素認証と通知を設定しているかを確かめておくと、費用をかけずにできる対策から始められます。
まとめ:ソフトの費用と、お金を守る設定をあわせて確かめる
ウイルス対策ソフトは被害を防ぐ手段の1つですが、入れただけで万全になるものではなく、有料のソフトは料金を払い続ける固定費にもなります。
要点は次のとおりです。
・総務省は、OSやブラウザに標準装備されたセキュリティ対策ソフトをまず活用し、足りないと感じる場合に市販のソフトを検討する考え方を示している
・有料のソフトは有効期限が過ぎると更新されなくなるため、料金を払い続ける必要がある
・OSによっては、期限切れの市販ソフトや体験版を使い続けると、かえって危険になる
・金融庁は、OSなどの更新と対策ソフトの導入・更新を有効な手段としつつ、偽サイトなどで盗まれたIDやパスワードによる不正アクセス・不正取引に注意を呼びかけている
・インターネット取引サービスへの不正アクセスは、2025年1月から2026年9月までに19,252件
・令和7年のインターネットバンキングの不正送金は4,747件で、手口の約9割がフィッシング
・多要素認証と通知サービスを有効にし、ブックマークから正しいサイトを開く
・「ウイルスに感染しました」という警告が出ても、表示された番号に電話せず、ブラウザを閉じる
ウイルス対策ソフトは標準の機能から確かめ、有料ソフトは払い続ける費用も含めて検討したうえで、証券口座やネットバンキングの多要素認証と通知を有効にしておくことが、ソフトだけでは防げないお金の被害に備える進め方になります。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆した内容です。
当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。
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