外貨建保険
外貨建て保険とは?為替リスクと費用、契約前に確かめること

外貨建て保険とは?為替リスクと費用、契約前に確かめること
外貨建て保険は、米ドルなどの外貨で保険料を払い込み、外貨で保険金や解約返戻金を受け取る生命保険です。
生命保険文化センターは、円に換算する際に為替変動の影響を受け、日本円で受け取る保険金額などが円ベースでの払込保険料の総額を下回る可能性もあるとしています。
金融庁のモニタリングでは、外貨建一時払保険の購入後4年間で約6割の解約等が発生し、利益のほとんどが円安によるものだったという分析も示されました。
この記事で扱うのは、仕組みと為替リスク、公的な調査が示す実態、そして契約前に確かめる点です。
外貨建て保険の仕組み

外貨建てという名前が指しているのは、運用先ではなく、保険料を払い込み保険金を受け取る通貨そのものです。
外貨で払い込み、外貨で受け取る
生命保険文化センターによると、外貨建ての生命保険は、米ドルやユーロ、豪ドルなどの外貨で保険料を払い込み、外貨で保険金や解約返戻金などを受け取る仕組みです。
終身保険・養老保険・個人年金保険・変額個人年金保険などの一部に、外貨建ての商品があります。
円換算では払込総額を下回ることもある
同センターは、受け取った外貨を円に換算する際に為替変動の影響を受け、場合によっては日本円で受け取る保険金額などが円ベースでの払込保険料の総額を下回る可能性もあるとしています。
この為替相場の変動による影響を為替リスクといい、為替リスクは契約者または受取人に帰属します。
説明は書面で行われる
為替の変動によって将来受け取る保険金などの額がどのように変動するのかという商品の仕組みについて、生命保険会社は書面を用いて説明することになっています。
口頭の説明で分かった気にならず、渡された書面で数字を確かめることが出発点です。
出典:公益財団法人 生命保険文化センター「外貨建ての生命保険とは?」
公的な調査が示す実態

販売する側の資料には出てこない数字が、監督官庁の調査には並んでいます。
購入後4年間で約6割が解約されている
金融庁が2024年4月に公表したモニタリング結果によると、外貨建一時払保険は購入後4年間で約6割の解約等が発生しており、商品を組成したときの長期運用という前提より契約の継続期間が短くなっています。
同庁の分析では、継続期間2.5年で運用が終了した分は、継続期間5年以上のものや同種の資産に投資する先進国債券の投資信託と比べて成績が劣後していました。
利益のほとんどは円安によるもの
運用終了分の成果を要素ごとに分けた分析では、積立金が増える効果は薄く、利益のほとんどは円安によるもので、解約等に伴って発生する費用(市場価格調整と解約控除費)がその利幅を押し下げていたとされています。
利率の高さが成果を生んでいたわけではないという点は、契約を考える前に知っておきたいところです。
乗換販売に経済合理性があるとは言えない
目標値に到達すると解約され、同じ顧客に同じ商品が販売される事例が多数発生していたことも報告されています。
金融庁は、こうした乗換販売によって販売手数料等が二重に発生することを考慮すると、顧客にとって経済合理性があるとは言えないとしています。
販売会社が受け取る手数料は初年度の比重が高いL字型(例えば初年度5.5%、2年目以降0.1%等)で、これが乗換販売につながる一因と考えられる、というのが同庁の見立てです。
苦情と顧客層についての指摘
「元本毀損するとは聞いていない」という苦情が発生していたため、金融庁が販売先287名の顧客カードを分析したところ、全体の2割で知識・投資経験の不足や投資方針との不一致に懸念がありました。
苦情が発生した顧客87名に限れば、その割合は3割弱です。
出典:金融庁「リスク性金融商品の販売会社等による顧客本位の業務運営に関するモニタリング結果(2023事務年度中間報告)」(2024年4月3日)
契約する前に確かめること

調査が示しているのは、利率の高さではなく、続けられるかどうかと費用が結果を左右するという構図です。
円で受け取る額を2つの相場で見る
設計書に示される外貨建ての金額を、円高側と円安側の2つのレートで円に換算してみると、受け取る額の幅がつかめます。
同じ外貨額でも円換算の金額は相場で動くため、1つの前提だけで判断すると振れ幅を見落とします。
費用を合計で確かめる
円と外貨を交換する際の費用、保険関係の費用、途中で解約したときの控除など、実質の手取りに影響する費用を合計で確かめます。
金融庁の分析で解約等の費用が利幅を押し下げていたとおり、費用は結果に直接効いてきます。
途中で解約しない資金かどうか
4年間で約6割が解約されているという結果は、長期で持ち続ける前提が実際には守られにくいことを示しています。
近い将来に使う予定のある資金や生活の予備資金を充てるのは避け、当面は動かさずに済む範囲で考えることが前提になります。
保障と運用を分けて考える
外貨建て保険は、保障の機能と外貨での運用が1つの契約になった商品です。
保障が目的なら円建ての保険で足りないか、運用が目的ならNISAなどの器と費用を比べたうえで、それでもこの商品を選ぶ理由があるかを確かめる順番になります。
相談の場でも、勧められた利率だけが記憶に残り、費用や為替の説明を思い出せない契約を見かけます。
まとめ:利率ではなく費用と継続期間で見る
外貨建て保険を考えるときの軸は、利率の高さではありません。
確かめる点は次のとおりです。
・外貨建て保険は、外貨で払い込み、外貨で保険金や解約返戻金を受け取る仕組み
・円換算では、受け取る額が円ベースの払込保険料の総額を下回る可能性もある
・為替リスクは契約者または受取人に帰属する
・金融庁の分析では、外貨建一時払保険は購入後4年間で約6割の解約等が発生していた
・利益のほとんどは円安によるもので、解約等の費用が利幅を押し下げていた
利率の高さで判断するのではなく、円で受け取る額の振れ幅と費用の合計を確かめ、途中で解約せずに続けられる資金かどうかを先に見ることが、外貨建て保険で後悔しないための順番になります。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆した内容です。
当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。
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