生命保険
生命保険料の相場は年35.3万円|平均ではなく必要保障額から決める手順を解説

生命保険文化センターの2024(令和6)年度調査によると、生命保険に加入している世帯が1年間に払い込む保険料は平均35.3万円、月あたりでは約2.9万円でした。
ただし同じ調査では、世帯が支出可能と考える保険料は29.7万円という結果も出ています。平均額は「無理なく払える水準」を示す数字ではありません。
保険金額を決めるのは平均ではなく、遺族年金などの公的保障を差し引いた「必要保障額」です。
この記事では、最新調査による保険料の相場と、平均に頼らず必要保障額から決める手順を、生命保険文化センターと日本年金機構の情報をもとに解説します。
生命保険料の相場|最新調査でわかる3つの数字

相場を知るうえで押さえておきたい数字は3つあります。
実際に払っている額、払えると考えている額、そして備えている保険金額の推移です。
①加入世帯の年間払込保険料は平均35.3万円
生命保険(個人年金保険を含む)に加入している世帯の年間払込保険料は、全生保で平均35.3万円でした。
前回2021年調査の37.1万円から1.8万円減っています。月あたりに直すと約2.9万円という水準になります。
機関別に見ると差が出ており、民間の生命保険会社は35.4万円、JAは19.9万円、県民共済・生協等は8.4万円という結果でした。
どこで加入しているかによって、負担の水準はかなり違ってきます。
②「支出可能」と考える保険料は29.7万円
同じ調査では、現在払っている保険料を含めて世帯が支出可能と考える保険料も尋ねており、その平均は29.7万円(前回31.8万円)でした。
実際に払っている額の平均が35.3万円ですから、「払える」と考える水準のほうが低いという関係になります。平均額に合わせることが、家計にとって無理のない選択とは限らないわけです。
③備えている死亡保険金額は減少が続いている
世帯が備えている普通死亡保険金額は、全生保で1,936万円(前回2,027万円)でした。
世帯主分だけを見ると1,258万円(前回1,386万円)で、いずれも前回調査から減っています。保険料も保険金額も下がっているのが、直近の傾向といえるでしょう。
出典:生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」
平均額をそのまま目安にできない2つの理由

「うちは平均より高い・低い」という比べ方には、そもそも無理があります。
理由は2つです。
理由1|平均には性質の違う保険がすべて含まれている
この35.3万円という数字は、死亡保険だけの金額ではありません。
医療保険・がん保険といった保障目的のものに加え、個人年金保険や学資保険のような貯蓄目的のものまで、世帯が払っている保険料の合計です。貯蓄目的の保険を多く持つ世帯は保険料が高く出ますが、その分は将来受け取る前提のお金であり、掛け捨ての保障とは意味が違います。
理由2|必要な保障は世帯ごとにまったく違う
必要な死亡保障は、子どもの年齢・人数、配偶者の収入、住宅ローンの有無などで変わります。
たとえば住宅ローンを団体信用生命保険付きで借りていれば、契約者が亡くなったときのローン残高は保険で完済されるため、その分を死亡保険で用意する必要はないわけです。子どもがいない共働き世帯と、小さな子どもが3人いる片働き世帯とで、同じ金額が適切になるとは考えにくいところでしょう。
必要保障額の考え方|「支出−入ってくるお金」で決まる

保険金額を決める基本の考え方はシンプルです。
遺族に必要な支出の総額から、保険以外で入ってくるお金を差し引いた不足分が必要保障額になります。
計算の基本式
差し引く「入ってくるお金」には、次のようなものが含まれます。
・遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)
・現在の貯蓄や有価証券
・配偶者の収入(今後働く見込みを含む)
・死亡退職金や弔慰金
・団体信用生命保険によるローン完済分
・すでに加入している保険の保障額
これらを支出の見込み額から引いた残りが、保険で用意すべき部分です。
差し引く項目が多い世帯ほど、必要な保険金額は小さくなっていきます。
調査の「6,283万円」は差し引く前の総額
同じ調査で「世帯主に万一のことがあった場合、残された家族に必要と考える生活資金」を尋ねた結果は、平均で総額6,283万円でした。
内訳は年間354万円、必要と考える年数は17.3年間となっています。この6,283万円という数字だけを見ると保障がまるで足りないように感じますが、これは遺族年金も貯蓄も配偶者の収入も差し引く前の「支出の総額」です。そのまま生命保険で用意すべき金額ではない点に注意してください。
遺族年金でいくら受け取れるか(令和8年度)

差し引く項目のうち、金額が最も読みにくいのが遺族年金でしょう。
令和8年度の金額で、受け取れる仕組みを確認します。
遺族基礎年金|子のある配偶者に年847,300円+子の加算
遺族基礎年金は、子のある配偶者または子が受け取れる年金です。
令和8年4月分からの金額は、昭和31年4月2日以後生まれの配偶者で年847,300円に子の加算額を足した額になります。加算額は1人目と2人目が各243,800円、3人目以降が各81,300円です。
子どもの人数ごとに計算すると、次のようになります。
・子1人:847,300円+243,800円=年1,091,100円(月約9.1万円)
・子2人:847,300円+487,600円=年1,334,900円(月約11.1万円)
・子3人:847,300円+568,900円=年1,416,200円(月約11.8万円)
ここでいう「子」は、18歳になった年度の3月31日までにある方などに限られます。
つまり末子が高校を卒業する年度末で遺族基礎年金は終わるため、その後の期間は別に考えておく必要があるでしょう。
出典:日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」
遺族厚生年金|報酬比例部分の4分の3
会社員や公務員として厚生年金に加入していた方が亡くなった場合は、遺族基礎年金に上乗せして遺族厚生年金を受け取れます。
金額は亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3で、加入期間と報酬によって変わる仕組みです。厚生年金の被保険者期間が300月(25年)に満たない場合は300月とみなして計算されるため、若い時期に亡くなったケースでも一定の水準が確保されます。
さらに、一定の条件を満たす妻には40歳から65歳になるまでの間、中高齢寡婦加算として年635,500円(月約5.3万円)が加算されます。
子が18歳到達年度の末日を過ぎて遺族基礎年金を受け取れなくなったときに、この加算が始まるケースもあるため、末子の独立後に空白がそのまま丸ごと生じるとは限らない点も知っておきたいところです。
自営業とお勤めの方では差が出る
自営業者など国民年金だけに加入していた方が亡くなった場合、遺族に遺族厚生年金の上乗せはありません。
子のない配偶者は遺族基礎年金も受け取れないため、公的保障で埋まる部分は会社員世帯より小さくなります。同じ家族構成でも、働き方によって必要保障額は変わってくるわけです。
出典:日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」
保険料が家計に重いと感じたときの見直し手順

必要保障額を出したうえで、それでも保険料が重いと感じる場合の見直し方をまとめます。
手順1|保険金額を必要保障額まで下げる
加入時から子どもが成長していれば、必要保障額はその分だけ減っています。
教育費の残りが少なくなるほど必要な保障は小さくなるため、保険金額を下げる減額の手続きで保険料を抑えられるケースもあるでしょう。
手順2|保障期間を末子の独立までに区切る
死亡保障が最も必要なのは、子どもが独立するまでの期間でしょう。
一生涯の終身保険で全額をまかなうと保険料は高くなりますが、期間を区切る定期保険や、年金形式で毎月受け取る収入保障保険を使えば、同じ保障額でも負担を抑えやすくなります。
手順3|貯蓄目的と保障目的を分けて考える
保険料が重い世帯では、貯蓄性のある保険の比重が高いケースが少なくありません。
貯蓄目的の部分については、保険で持つのか、NISAや預貯金など別の手段で持つのかという選択肢もあるはずです。保障は保障として必要額を確保し、貯蓄は別枠で考えると、それぞれの過不足が見えやすくなります。
まとめ|相場は出発点、決め手は必要保障額
生命保険料の相場と、金額の決め方をまとめます。
・加入世帯の年間払込保険料は平均35.3万円(月約2.9万円)。前回調査の37.1万円から減少
・同じ調査で、世帯が支出可能と考える保険料は29.7万円。実際の払込額の平均を下回っている
・平均には医療・がん・個人年金・学資まで含まれるため、死亡保険料の目安にはならない
・必要保障額は支出の総額から遺族年金・貯蓄・配偶者の収入などを差し引いた不足分
・調査の必要生活資金6,283万円は差し引く前の総額で、そのまま保険で用意する金額ではない
・遺族基礎年金は年847,300円+子の加算(子2人で年1,334,900円)。末子の18歳到達年度末で終了
・遺族厚生年金は報酬比例部分の4分の3。自営業世帯にはこの上乗せがない
平均より高いか低いかではなく、公的保障を差し引いてなお足りない金額はいくらか。この順番で考えると、保険料は自然と決まります。
まずは自分の世帯で遺族年金がいくらになるかを確かめるところから始めてみてはいかがでしょうか。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司による執筆です。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムでご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズにお調べいただけるでしょう。
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