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NISA口座は証券会社と銀行のどちらで開く?金融機関を選ぶ前に確かめたいこと

NISA口座は1人1口座しか開設できず、つみたて投資枠と成長投資枠は同じ金融機関で使う決まりです。
口座を開く金融機関を選ぶポイントとして、金融庁は「ラインナップ、手数料、利便性等」を挙げています。
ただし、証券会社と銀行では買える商品が異なり、手数料を比べる意味がある場面も、どちらの枠を使うかで変わる点に注意が必要です。
この記事では、金融庁の資料をもとに、NISA口座を開く金融機関を選ぶ前に確かめたいことを解説します。
NISA口座は1人1口座、2つの枠は同じ金融機関で使う

金融庁の資料によると、NISAを利用するには取扱金融機関でNISA口座を開設する必要があり、開設できるのは1人1口座のみです。
また、つみたて投資枠と成長投資枠を異なる金融機関で利用することはできず、口座を開く金融機関は1年単位で変更できるとされています。
同じ資料では、口座を開設する金融機関を選ぶ際のポイントとして、ラインナップ、手数料、利便性などを挙げています。
出典:金融庁「NISAを利用する皆さまへ」(令和6年6月、令和7年9月改訂)
2つの枠を同じ金融機関で使う以上、つみたて投資枠で積み立てたい投資信託と、成長投資枠で買いたい株式などがある場合は、その両方を扱う金融機関を1つ選ぶことが出発点です。
証券会社と銀行では、NISAで買える商品が違う
金融庁の資料によると、上場株式(個別株)とETF(取引所に上場している投資信託)は、原則としてどの証券会社でも売買できます。
一方、一般的な投資信託は、証券会社、銀行、郵便局などの「各商品の販売会社」で購入・売却する商品と位置づけられています。
出典:金融庁「NISAを利用する皆さまへ」(令和6年6月、令和7年9月改訂)
このことから、成長投資枠で個別株やETFも売買したい場合は、証券会社でNISA口座を開くことが前提です。
反対に、投資信託だけを積み立てるのであれば、銀行や郵便局も選択肢に入ります。
その場合も、金融庁がポイントの1つにラインナップを挙げているとおり、積み立てたい投資信託を扱っているかどうかを、口座を開く前に確かめておくことが欠かせません。
手数料を比べる意味があるのは主に成長投資枠

つみたて投資枠の投資信託は、購入時手数料や解約手数料、口座管理料がゼロであることが要件のため、金融機関ごとの手数料を比べる意味が出てくるのは、主に成長投資枠です。
つみたて投資枠の投資信託は購入時手数料などがゼロ
金融庁の資料によると、つみたて投資枠の対象となる投資信託は、販売手数料(購入時手数料)が0%(ノーロード)であることが要件の1つとされています。
さらに、解約手数料や口座管理料もゼロである必要があります。
なお、つみたて投資枠で買えるETFの場合、売買手数料は1.25%以下という別の要件です。
一方、投資信託を持っている間にかかる信託報酬は、保有額に応じて日々支払う費用で、つみたて投資枠の対象商品では一定の水準以下とされています。
出典:金融庁「NISAを利用する皆さまへ」(令和6年6月、令和7年9月改訂)
購入時手数料などがゼロという要件があるため、つみたて投資枠で一般的な投資信託を積み立てるだけであれば、購入時や解約時の手数料、口座管理料で金融機関に差がつくことはありません。
信託報酬のほうは、投資信託を選ぶ段階で比べる費用です。
成長投資枠で株式やETFを売買するなら手数料を確かめる
金融庁は、金融機関を選ぶ観点の1つに「取引の手数料」を挙げています。
出典:金融庁「NISAを利用する皆さまへ」(令和6年6月、令和7年9月改訂)
この取引の手数料が主に関わってくるのが、成長投資枠です。
成長投資枠では、上場株式やETFの売買や、購入時手数料のかかる投資信託の購入などで、手数料がかかる場合があります。
手数料がかかる場合は、売買の回数が多いほど負担も積み重なるため、個別株やETFを売買する予定があれば、口座を開く前に手数料の水準を確かめておくのが基本です。
利便性は引き落としと積立の最低金額・頻度で比べる

金融庁は、金融機関を選ぶ観点として、メインバンクからの引き落としや、積立投資の場合の最低積立金額・頻度も挙げています。
出典:金融庁「NISAを利用する皆さまへ」(令和6年6月、令和7年9月改訂)
毎月の積立代金を給与振込口座などのメインバンクから引き落とせれば、入金の手間を省けるのが利点です。
また、少額から始めたい場合は最低積立金額を、積み立てるタイミングを選びたい場合は積立の頻度を、口座を開く前に確かめておくと、希望する金額や頻度で積み立てられないと後から分かる事態を避けられます。
相談しながら選ぶなら共通KPIも見ておく

投資信託の販売会社を比べる手がかりとして、金融庁が各社の数値を集計・分析して公表しているのが「共通KPI」です。
共通KPIは顧客の損益の状況を比べる指標
金融庁は、金融事業者を選ぶ際には、他の金融事業者と取組状況を比べることが有益だとしています。
そのうえで、リスクや販売手数料などのコストに見合ったリターンを長期的に確保できているかを国民が比べられるよう、各金融事業者が共通の定義による指標を公表することを期待しています。
共通KPIとして示されている指標は、次の3つです。
・運用損益別顧客比率:投資信託を保有している顧客全体を100%として、購入時以降の損益の水準ごとに顧客の割合を示したもの
・預り残高上位20銘柄のコスト・リターン:顧客が保有している金額(預り残高)の多い投資信託20本について、コストとリターンの関係を示したもの
・預り残高上位20銘柄のリスク・リターン:同じ20本について、値動きのばらつき(リスク)とリターンの関係を示したもの
2026年9月に金融庁が公表した資料(2026年3月末基準)によると、共通KPIを公表して金融庁に報告した金融事業者は244者で、主要行等、地域銀行、証券会社などの業態ごとに、各社の運用損益別顧客比率の一覧も掲載されています。
出典:金融庁「投資信託の共通KPIに関する分析(2026年3月末基準)」(令和8年9月18日公表)
数値を見るときの注意点
同じ資料によると、運用損益がプラスの顧客の割合は、全体で2025年3月末時点が7割強、2026年3月末時点が9割弱です。
ただし、運用損益別顧客比率は各顧客の購入時以降のリターンをもとに算出するため、投資信託の取扱開始時期や保有顧客数、顧客の保有銘柄などによって異なり得るとされています。
たとえば、取扱開始から間もない金融事業者や、保有顧客数が極端に少ない金融事業者では、運用損益がプラスの顧客の割合が振れることがあるとの注記もあります。
出典:金融庁「投資信託の共通KPIに関する分析(2026年3月末基準)」(令和8年9月18日公表)
そのため、1つの時点の数値だけで金融機関の良しあしを決めるのではなく、業態全体の傾向と比べたり、預り残高上位の投資信託のコストとリターンをあわせて見たりするのが現実的です。
窓口で相談しながら投資信託を選ぶつもりなら、その金融機関が共通KPIを公表している場合は事前に見ておくと、顧客の損益の状況や、多く保有されている商品のコストを数字で確かめられます。
NISAの金融機関は変更できるが、手間もかかる
NISA口座を開く金融機関は1年単位で変更できますが、届出には期限があり、変更前に買った商品を持ち続けると、商品を保有する金融機関が2つに分かれます。
金融機関の変更は1年単位
金融庁の資料によると、NISA口座を開設する金融機関は1年単位で変更が可能です。
ただし、金融機関を変更したあとで、変更前の金融機関で保有している商品を売却した場合、売却して戻った非課税の枠(非課税保有限度額)を翌年以降に再利用できるのは、変更後の金融機関のNISA口座に限られます。
出典:金融庁「NISAを利用する皆さまへ」(令和6年6月、令和7年9月改訂)
また、変更の届出は、変更したい年の前年10月1日からその年の9月30日までに提出する決まりです。
届出書を提出する日以前に、変更前の金融機関のNISA口座でその年の買付けをしている場合は、その年分の変更はできません。
変更前に買った商品を持ち続けると、2つの金融機関で商品を管理することになるため、最初の金融機関選びで、使いたい商品と手数料を確かめておくことが、後の手間を減らす近道です。
相談の場で見かけること
相談の場では、ポイント還元やキャンペーンを決め手にNISA口座を開いたものの、積み立てたい投資信託をその金融機関が扱っていなかったという方に会うことがあります。
また、給与振込口座のある銀行でNISA口座を開き、後から成長投資枠で個別株を買おうとして、買えないと分かった方もいます。
どちらも、口座を開く前に、2つの枠で使いたい商品をその金融機関で買えるかどうかを確かめていれば避けられたケースです。
金融機関は変更できるとはいえ、届出の期限もあるため、先に使いたい商品を決め、それを扱う金融機関を選ぶ順番で進めると、後から金融機関を変える手間を避けやすくなります。
まとめ:NISA口座は使いたい商品から金融機関を選ぶ
NISA口座は1人1口座で、2つの枠は同じ金融機関で使うため、口座を開く前に、使いたい商品と手数料、続けやすさを確かめておくことが欠かせません。
要点は次のとおりです。
・NISA口座は1人1口座で、つみたて投資枠と成長投資枠を別々の金融機関で使うことはできない
・金融庁は、金融機関を選ぶポイントとして「ラインナップ、手数料、利便性等」を挙げている
・上場株式とETFは原則として証券会社で売買し、一般的な投資信託は銀行や郵便局などでも扱っている
・つみたて投資枠の投資信託は、購入時手数料・解約手数料・口座管理料がゼロ(ETFは売買手数料1.25%以下)
・手数料を比べる意味が出てくるのは、主に成長投資枠で株式やETFなどを売買する場合
・共通KPIを公表している金融機関なら顧客の損益の状況を比べられるが、数値は時点や取扱開始時期などによって変わる
・金融機関は1年単位で変更できるが、届出には期限があり、変更前の商品を持ち続けると保有先が2つに分かれる
証券会社か銀行かを先に決めるのではなく、2つの枠で使いたい商品と売買の手数料、引き落としや積立の設定のしやすさを確かめてから、1つの金融機関を選ぶことが、NISAを長く続けるための進め方になります。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆した内容です。
当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。
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