ニーサ
20代のNISAは月いくら?「NISA貧乏」を避ける積立額の決め方

NISAのつみたて投資枠は年間120万円まで投資できますが、これは1年間に投資できる上限で、使い切ることを目指す枠ではありません。
金融庁は、月々の買付額を無理のない範囲で考え、無くても生活に困らない金額から始めて続けることが大事だとしています。
2026年3月の国会で若い世代の「NISA貧乏」が取り上げられた際の大臣答弁も、積立て自体が目的になることは意図していないという内容でした。
この記事では、生活防衛資金や奨学金の返還額など、20代がNISAの積立額を決める前に確保しておきたいお金と、月々の金額の考え方を解説します。
NISAの積立額は年間投資枠ではなく家計から決める

NISAの年間投資枠は投資できる金額の上限を示すもので、毎月の積立額は、この上限からではなく、家計の中で無理なく続けられる額から決めます。
年間投資枠は1年間に投資できる上限
金融庁によると、NISAの年間投資枠は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円で、併用した場合の合計は最大で年間360万円です。
生涯を通じた非課税保有限度額も、1,800万円が上限と定められています。
また、NISAの制度は恒久化され、非課税で保有できる期間も無期限となりました。
そのため、年間投資枠を毎年使い切らなくても、非課税保有限度額の範囲で、時間をかけて投資を続けることが可能です。
金融庁は「無くても生活に困らない金額から」としている
金融庁の資料では、NISAで積立投資を始めるときの月々の買付額について、無理のない範囲で考え、「無くても生活に困らない金額から始め、それを継続することが大事」としています。
あわせて、資産形成に取り組む前提として、ライフプランやライフステージに応じてどのような資金ニーズが発生し、それに対応してどのような資産形成が必要かを考えることや、NISA以外の方法や制度も組み合わせて活用することを挙げています。
出典:金融庁「NISAを利用する皆さまへ」(令和6年6月、令和7年9月改訂)
国会で取り上げられた「NISA貧乏」
「NISA貧乏」は、2026年3月の国会で、若い世代のNISAの使い方をめぐる問題として取り上げられた言葉です。
積立て自体が目的になっているとの指摘
2026年3月10日の衆議院財務金融委員会では、委員から、20代が投資額を増やす一方で、消費が伸び悩んでいるとの指摘がありました。
その背景として挙げられたのが、将来への漠然とした不安から、具体的なライフプランを描く前にNISAを始め、積立て自体が目的になってしまう状況です。
加えて、委員は、20代について、投資も必要である一方、自分への投資やさまざまな活動をする時期だという考えも示しています。
出典:国会会議録「第221回国会 衆議院 財務金融委員会 第4号」(令和8年3月10日)
大臣は積立ての目的化を意図していないと答弁
これに対し、財務大臣と金融担当大臣を兼ねる片山さつき大臣は、積立て自体を目的化することは全く意図していないと答弁しました。
同じ答弁の中で触れられたのが、資産運用だけでなく、毎年・毎月の収入の使い方も金融教育に含まれるべきだという認識です。
出典:国会会議録「第221回国会 衆議院 財務金融委員会 第4号」(令和8年3月10日)
NISAの積立額を考えるときは、将来に向けた資産形成と、今の生活や自分への投資とのバランスを見ておくことが、国会で指摘されたような状態を避けることにつながります。
NISAの積立額を決める前に確保しておきたいお金

積立額を決める前に、家計の中から先に分けておきたいのが、生活防衛資金、数年以内に使う予定のお金、奨学金の返還額の3つです。
生活防衛資金は預貯金で分けておく
生活防衛資金とは、けがや病気、収入の減少といった想定外の事態に備えて、すぐに使えるようにしておくお金を指します。
金融庁のNISA特設ウェブサイトでも、ライフプランを考えるときは、かかるお金や必要な時期とあわせて、想定外の事態への備えも考えるよう呼びかけています。
同じページで、「安全性」(元本や利子の支払いが確実か)と「流動性」(必要になったときにすぐ換金できるか)の評価がいずれも「◎」とされているのは預貯金です。
一方、株式や投資信託は、預貯金よりも高いリターンが期待できる反面、元本割れのおそれもあります。
金融庁が「目的に応じて使い分けましょう」としているように、急な出費に備えるお金はNISAに回さず、預貯金で分けておくのが基本です。
数年以内に使う予定のお金も分けておく
結婚や車の購入など、数年以内に使う予定のあるお金も、NISAに回すお金とは別に確保しておきます。
金融庁は、お金が必要になるタイミングも金額も人それぞれだとしたうえで、資産形成の方法として、銀行預金などの「貯蓄」と、株式や投資信託の購入などの「投資」の2つを挙げています。
2つの方法は、そのときの資産状況や今後のライフプランに合わせて使い分けるというのが、金融庁の示す考え方です。
したがって、数年以内に使う予定のお金は預貯金などの貯蓄で準備し、NISAには当面使う予定のないお金を回しておくと、使う時期に値下がりしていても、NISA口座の商品を売らずに済みます。
奨学金の返還額は先に確保する
奨学金を返還(返済)している場合は、毎月の返還額を先に確保し、NISAの積立額はその残りから決めます。
日本学生支援機構によると、約束の返還期日までに返還しないと延滞金が課され、延滞が3か月以上になると個人信用情報機関への登録対象です。
登録されると、スマートフォンの分割払いやクレジットカードが使えなくなったり、住宅ローンなどの各種ローンが組めなくなったりする場合があります。
出典:日本学生支援機構「個人信用情報機関への個人情報・個人信用情報の登録」
なお、返還が難しくなったときは、一定の要件を満たせば、月々の返還額を3分の2、2分の1、3分の1または4分の1に減らす減額返還制度や、一定期間返還を先送りする返還期限猶予を願い出ることができます。
ただし、いずれも返還が免除されるものではなく、減額や猶予を受けた期間に応じて、返還を終える時期が延びる仕組みです。
また、日本学生支援機構は、返還が困難な事情が生じたときは、延滞する前にすみやかに手続きをするよう案内しています。
出典:日本学生支援機構「月々の返還額を少なくする(減額返還制度)」
出典:日本学生支援機構「返還を待ってもらう(返還期限猶予)」
iDeCoに回したお金は原則60歳まで引き出せない
NISAとあわせてiDeCo(個人型確定拠出年金)を考える場合は、お金を引き出せる時期に注意が必要です。
iDeCo公式サイトによると、iDeCoは加入後、原則として60歳以降の受給年齢に到達するまで、資産を引き出すことができません。
出典:iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)「よくあるご質問」
つまり、生活防衛資金や数年以内に使う予定のお金までiDeCoに回すと、必要になったときに使えなくなります。
相談の場で見かけること
相談の場で会うことがあるのが、「NISAは早く始めて、年間投資枠をできるだけ使ったほうが得」と考え、積立額を先に決めてから生活費をやりくりしている20代の方です。
なかには、iDeCoも同時に始め、手元の預貯金がほとんど残っていない方もいます。
そうした状態で急な出費が重なると、値下がりしている時期にNISA口座の商品を売ることにもなりかねません。
こうした事態を避けるには、生活防衛資金と数年以内に使う予定のお金、奨学金の返還額を先に分け、その残りの中から続けられる額を積立額にするのが現実的です。
そのうえで、収入や家計が変わったときに見直していけば、年間投資枠にとらわれずに積立てを続けられます。
まとめ:20代のNISAは無理なく続けられる積立額から
20代のNISAの積立額は、年間投資枠の大きさではなく、家計の中で無理なく続けられる額から決めます。
要点は次のとおりです。
・NISAの年間投資枠はつみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円で、1年間に投資できる上限を示すもの
・制度は恒久化され、非課税保有期間も無期限のため、年間投資枠を毎年使い切らなくても投資を続けられる
・金融庁は、月々の買付額を無理のない範囲で考え、無くても生活に困らない金額から始めて続けることが大事だとしている
・2026年3月の国会では、若い世代の積立て自体が目的になっているとの指摘があり、大臣は積立ての目的化は意図していないと答弁
・積立額を決める前に、生活防衛資金、数年以内に使う予定のお金、奨学金の返還額を先に確保する
・奨学金の返還が難しいときは、延滞する前に減額返還制度や返還期限猶予の手続きを考える
・iDeCoに回したお金は、原則として60歳以降の受給年齢に到達するまで引き出せない
年間投資枠を使い切ることを目標にせず、生活防衛資金と近い将来に使うお金、奨学金の返還額を先に分けたうえで、残りの中から続けられる額を積み立てることが、「NISA貧乏」を避けながら20代から資産形成を続けるための進め方になります。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆した内容です。
当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。
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