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NISAで確定申告は必要?原則不要でも確認したい5つのケース

NISA口座で得た売却益や配当金は非課税所得のため、確定申告は原則として不要です。
非課税所得は合計所得金額にも算入されないので、配偶者控除などの判定にも影響しません。
ただし「不要だから有利」とは限りません。NISA口座の損失は損益通算も繰越控除もできず、課税口座なら申告で取り戻せたはずの税金が戻らないためです。配当金の受取方式を「株式数比例配分方式」にしていない場合、NISA口座の株式でも配当は課税されます。
この記事では、申告が不要な理由と、確認しておきたい5つの場面を国税庁などの情報をもとに解説します。
NISAの利益に確定申告がいらない理由

課税口座では、売却益や配当に20.315%の税金がかかる仕組みです。
NISA口座ではこれが非課税となり、そもそも申告の対象となる所得が生じません。
国税庁の資料によると、配偶者控除などの判定に使う合計所得金額からは非課税所得が除かれるとされています。
そのため、配偶者がNISA口座で利益を得ても、合計所得金額58万円以下という配偶者控除の要件には影響しない仕組みです。
出典:国税庁「No.1190 配偶者の所得がいくらまでなら配偶者控除が受けられるか」
なお、税制上の扶養と健康保険の被扶養者認定は別の基準です。
健康保険では今後1年間の収入見込みで判断されるのが一般的で、運用の状況によっては確認が必要になる場合もあります。判断に迷うときは、加入先の健康保険組合や協会けんぽに問い合わせるのが確実でしょう。
課税口座を併用しているときの申告要否

申告が必要になるかどうかは、NISA口座ではなく課税口座の側で決まります。
口座の種類ごとに扱いが分かれます。
「申告しない」を選べるのは源泉徴収ありの特定口座だけ
課税口座は、特定口座(源泉徴収あり)・特定口座(源泉徴収なし)・一般口座の3種類です。
このうち源泉徴収ありの特定口座は、証券会社が税額を計算して納めるため、確定申告をしないことを選択できます。源泉徴収なしの特定口座と一般口座では、利益が出れば原則として自分で申告することになります。
申告したほうが有利になるケース
源泉徴収ありの特定口座でも、あえて申告することで税金が戻るケースもあるでしょう。
・複数の証券会社に口座があり、一方で利益・他方で損失が出ている(損益通算で還付の可能性)
・その年に控除しきれない損失があり、翌年以降3年間の繰越控除を使いたい
申告するとかえって不利になるケース
見落とされやすいのが逆のパターンです。
国税庁の資料では、源泉徴収選択口座内の譲渡による所得のうち確定申告をしないことを選択したものは、合計所得金額から除かれると示されています。裏を返せば、申告した時点でその利益は合計所得金額に含まれることになります。
その結果、次のような影響が生じる場合もあるでしょう。
・配偶者控除や扶養控除の判定で基準を超え、控除の対象から外れる
・国民健康保険料などの算定に使う所得が増え、保険料が上がる
・住民税の課税・非課税の判定が変わる
損益通算で数万円の還付を受けるために申告した結果、扶養や保険料への影響で還付額を上回る負担が生じるケースもあります。
還付額だけを見て決めず、控除や保険料への影響と合わせて比べる必要があるわけです。
NISAの損失は救済されない

NISAの非課税は、利益が出たときにだけ働きます。
国税庁によると、NISA口座内の上場株式等の譲渡損失は税務上ないものとされ、他の口座の利益との損益通算や、翌年以降3年間の繰越控除はできません。
同じ10万円の損失でも、課税口座なら申告によって他の利益と相殺し、税負担を軽くできるはずです。
NISA口座では、その損失がなかったものとして扱われるため、課税口座の利益にはそのまま課税されてしまいます。申告しても税制上の効果は生じないため、この場面での申告は必要ありません。
出典:国税庁「No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」
配当金の受取方式を確認する

NISA口座で株式を持っていても、配当金が課税されてしまうことがあります。
分かれ目は受取方式の設定です。
株式数比例配分方式でなければ課税される
日本証券業協会によると、NISA口座で買い付けた上場株式の配当金等を非課税にするには、証券会社で受け取る「株式数比例配分方式」に変更しておく必要があります。
配当金領収証方式や登録配当金受領口座方式を選んでいる場合、NISA口座の株式でも非課税とはならず、20%の税率で源泉徴収されます(復興特別所得税を含めると20.315%)。なお、NISA口座で買い付けた株式投資信託の分配金については、この手続きは不要とされています。
他の方式で受け取った場合は申告で選択肢がある
配当金領収証方式などで受け取った配当については、確定申告そのものは必要ありません。
ただし申告を行えば、総合課税を選んで配当控除の適用を受けるか、申告分離課税を選んで特定口座や一般口座の譲渡損失と損益通算・繰越控除をするかを選べる仕組みです。課税されてしまった配当は、申告によって取り戻せる部分があります。
設定は全口座に連動し、期限もある
受取方式は1つの証券会社だけの設定にとどまりません。
いったん株式数比例配分方式を選ぶと、同じ証券会社や他の証券会社の特定口座・一般口座で保有する上場株式の配当金等にも自動的に適用され、証券会社ごとに異なる方式は選べない仕組みです。手続きは保有銘柄の配当基準日までに終える必要があり、所要日数は証券会社によって異なります。
また、株券電子化の際に信託銀行などに開設された「特別口座」に株式がある場合は、株式数比例配分方式を利用できません。
心当たりがあるときは、取引先の証券会社に確認しておくと安心です。
出典:日本証券業協会「NISA口座における上場株式の配当金等受取方式に関する注意事項」
旧NISAの非課税期間が終わったとき

2023年までのNISAで購入した商品には、非課税期間の期限があります。
金融庁によると、非課税保有期間はつみたてNISAが購入時から20年間、一般NISAが5年間で、2024年以降のNISAへ移管することはできません。それぞれの期間が終わる前に売却するか、終了後に課税口座へ払い出すかの二択です。
課税口座へ払い出された後の利益には、通常どおり課税されます。
払い出し先が源泉徴収ありの特定口座であれば申告は不要ですが、特定口座を開設していない場合は一般口座へ払い出され、自分で計算して申告する必要が生じます。旧NISAの残高がある場合は、期限が来る前に特定口座の有無を確認しておくと手間を避けられるはずです。
まとめ|「不要」で終わらせず5つの場面を確認する
NISAと確定申告の関係をまとめます。
・NISAの利益は非課税所得で合計所得金額にも入らないため、申告は原則不要。配偶者控除の判定にも影響しない
・申告の要否を決めるのは課税口座の側。「申告しない」を選べるのは源泉徴収ありの特定口座だけ
・複数口座の損益通算や繰越控除では申告が有利になる一方、申告すると利益が合計所得金額に算入され、扶養や保険料に影響する
・NISAの損失は損益通算も繰越控除もできない。申告しても効果は生じない
・配当金は株式数比例配分方式でなければNISAでも課税。設定は全口座に連動し、配当基準日までの手続きが必要
・旧NISAの非課税期間終了後は課税対象。一般口座への払い出しなら申告が必要
NISAで申告が不要なのは、損失が出ても救済されないことの裏返しでもあります。
まずは課税口座の種類と配当金の受取方式を確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司による執筆です。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムでご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズにお調べいただけるでしょう。
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