iDeCo
iDeCoは複数の金融機関で口座を作れる?1口座しか持てない場合の考え方

iDeCo(個人型確定拠出年金)の口座は、1人につき1つの金融機関でしか持てません。
確定拠出年金法にもとづき国民年金基金連合会が実施する制度で、加入の申込みは、選んだ1つの運営管理機関を経由して行う仕組みです。
複数に分けられない以上、選んだ1社との付き合いは長く続きます。
この記事では、1口座しか持てない理由と分散の方法、1社に絞るからこそ確認したい手数料の構造、転職や退職で口座の扱いが変わる場面を解説します。
iDeCoの口座は1人につき1つだけ

iDeCoは、加入者ごとに国民年金基金連合会が資格や記録を管理する制度です。
口座を分けられない代わりに、取れる方法もあります。
複数の運営管理機関に同時に申し込むことはできない
iDeCoの加入手続きは、金融機関を窓口として国民年金基金連合会に申し出る流れです。
iDeCo公式サイトでは、運営管理機関を選んだうえでその機関に申し込むよう案内されており、複数の機関に同時に口座を持つ形は想定されていません。
運営管理機関とは、運用商品の選定や口座の管理を担う金融機関のことです。
証券会社・銀行・保険会社などが名を連ねており、iDeCo公式サイトの取扱運営管理機関一覧から確認できます。
出典:iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)「iDeCoのライブラリ」
分散したいときは口座の中の商品で対応する
特定口座や一般口座は複数の金融機関で持てますが、iDeCoが1つに限られる点は違いです。
資産を分けたい場合は、1つの口座の中で複数の運用商品を組み合わせる形になります。
1つの口座でも、国内外の株式や債券に投資する商品を組み合わせれば、資産の分散は可能です。
分けられないのは口座であって、投資先そのものではありません。
金融機関はあとから変更できる
加入したあとで運営管理機関を変更することは可能です。
ただし、変更にともなう手続きや費用は機関ごとに異なるため、乗り換えを考える段階で、現在の機関と移りたい機関の双方に確認しておく必要があります。
この点は、自社の条件しか案内しない立場の情報源では見えにくい部分です。
移換元に発生する費用を確認しないまま手続きを進めると、想定していなかった負担が生じることもあります。
1社に絞るからこそ確認したい手数料の構造
iDeCoの手数料は、1つの金融機関にまとめて払うものではありません。
まず、誰にいくら払っているのかを分けて見ることが出発点です。
手数料は3つの機関に支払う
iDeCo公式サイトによると、手数料は次の3者に生じます。
・国民年金基金連合会:加入資格の取得、掛金の引落しなどの事務費用
・運営管理機関:口座管理、運用に関する事務費用
・事務委託先金融機関:積立金の管理、給付にかかる事務費用
加えて、運用商品に投資信託を選んだ場合は、商品ごとに信託報酬などがかかります。
このうち運営管理機関の手数料は機関によって異なるため、比較の対象になるのはこの部分です。
運営管理機関の手数料は積み立てた資産から引かれる
手数料の引かれ方にも違いがあります。
iDeCo公式サイトによると、国民年金基金連合会に係る手数料は掛金から、運営管理機関に係る手数料は積み立てた資産(個人別管理資産)から差し引かれる仕組みです。
つまり、掛金を止めて運用だけを続ける状態になっても、資産を置いている限り運営管理機関の負担は生じ続けます。
残高が少ない時期ほど、手数料が資産に占める割合は重くなる点に注意が必要です。
2027年1月から加入中の手数料が変わる
国民年金基金連合会は、加入中に負担する手数料を月額120円へ引き上げると発表しました。
現在は掛金の拠出時に105円がかかる形で、新しい金額が適用されるのは2027年1月26日の口座引落し分の掛金からです。
あわせて、年単位拠出(掛金をまとめて納める方法)の扱いも見直され、拠出期間の月数を乗じた額となります。
拠出回数を減らして手数料を抑える方法は、この改定以降は使えない点にも留意が必要です。
なお、新規加入時などにかかる2,829円は据え置きとされています。
出典:iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)「iDeCo加入者に係る手数料を見直します」
転職・退職で口座の扱いが変わるとき

口座が1つしかないことが最も響くのは、勤務先が変わる場面です。
手続きを見落とすと、資産が運用されないまま置かれる状態に陥ります。
制度をまたいで資産を移すときは現金化される
確定拠出年金で積み立てた資産と記録は、転職や退職をしても持ち運べます。
ただしiDeCo公式サイトによると、企業型確定拠出年金とiDeCoの間で資産を移す場合、年金資産はいったん現金化されたうえで移換される扱いです。
企業型確定拠出年金からiDeCoへ移すケースでは、移換の完了までに通常2か月から3か月程度かかります。
その間は運用が止まるため、相場が動いても資産はその変動を受けない状態です。
6か月以内に手続きをしないと自動移換になる
企業型確定拠出年金の加入者資格を失ってから6か月以内に移換または脱退一時金の請求の手続きをしないと、資産は現金化されて国民年金基金連合会に自動的に移されます。
これは確定拠出年金法第83条にもとづく取扱いで、iDeCo公式サイトが自動移換として案内している仕組みです。
自動移換された状態では、運用が行われないため資産を増やせません。
管理手数料もかかり続けます。
さらに、その期間は確定拠出年金の加入期間とみなされないため、老齢給付金を受け取れる時期が遅くなる場合もある点は見落とせない部分です。
受給できる年齢に達しても、そのままでは給付を受けられません。
給付を受けるには、あらためてiDeCoへ資産を移す手続きが必要です。
企業型確定拠出年金がある会社では加入できないことがある
転職先に企業型確定拠出年金がある場合、iDeCoへの加入可否は勤務先の規約によって変わります。
iDeCo公式サイトによると、企業型確定拠出年金の加入者は、規約で個人型への同時加入を認めている場合を除き、iDeCoに加入できません。
また、企業型確定拠出年金の規約でマッチング拠出(従業員が会社の掛金に上乗せする仕組み)を定めている場合、iDeCoとの併用はできない扱いです。
転職前に、移った先の制度がどうなっているかを確認しておくと判断しやすくなります。
まとめ
iDeCoの口座は1人につき1つで、複数の金融機関に分けて持てない制度です。
分散したい場合は、1つの口座の中で運用商品を組み合わせる形になります。
1社に絞る制度だからこそ、手数料の構造を知っておくと選びやすくなります。
3者に払う手数料のうち機関ごとに差が出るのは運営管理機関の分で、その手数料は掛金ではなく積み立てた資産から引かれる仕組みです。
そして、口座が1つであることが最も効いてくるのは転職や退職の場面といえます。
企業型確定拠出年金の資格を失ってから6か月という期限を意識しておくことが、資産を止めないための備えです。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しました。執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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