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iDeCoの資産状況・評価損益の確認方法|運用記録が消えたときのJIS&T問い合わせ手順も解説

iDeCoの「資産状況」「評価損益」「運用益」を確認したいときの方法は、大きく分けて「運営管理機関の加入者サイト」「JIS&Tなど記録関連運営管理機関のサイト」「年1回送付される『お取引状況のお知らせ』」の3経路です。評価損益とは、基準日時点で運用商品をすべて売却した場合の利益または損失を示す数値で、『年金資産評価額 − 運用金額』で算出できます。加入者口座番号を忘れた場合も、JIS&T加入者専用コールセンターへの問い合わせで確認が可能です。
この記事では、iDeCoの運用状況・評価損益・資産残高を確認する具体的な手順、過去の記録が見つからないときの対処法、運用記録の見方、評価損益がマイナスになる理由まで、iDeCo公式(国民年金基金連合会)と記録関連運営管理機関JIS&Tの一次情報をもとに整理した内容となります。
iDeCoの資産状況・運用益を確認する3つの方法

iDeCoの資産状況・運用益・評価損益は、以下の3つの方法で確認できる仕組みです。
方法1:運営管理機関の加入者サイト(最も簡単)
iDeCo口座を開設している金融機関(運営管理機関)のWebサイトまたはアプリにログインすると、最新の資産状況をリアルタイムに近い形で確認できる仕組みです。
・ステップ1:開設先の金融機関(楽天証券・SBI証券・松井証券・りそな銀行など)のサイトにログイン
・ステップ2:「iDeCo」または「確定拠出年金」のメニューを選択
・ステップ3:「運用状況」「資産状況」「お取引状況」のページを開く
・ステップ4:年金資産評価額・評価損益・運用商品ごとの内訳が表示される
確認できる主な項目には、年金資産評価額(時価評価額)・拠出累計額・評価損益・運用利回り・商品ごとの保有数量と時価が含まれます。
方法2:記録関連運営管理機関JIS&Tの加入者サイト
iDeCoの運用記録は、JIS&T(日本インベスター・ソリューション・アンド・テクノロジー株式会社)など記録関連運営管理機関で一元管理されています。多くの運営管理機関はJIS&Tと連携しており、加入者は「JIS&T加入者インターネットサービス」にもログインして資産状況を確認できる仕組みです。
・URL:JIS&T加入者インターネットサービス
・ログインID:加入者口座番号(運営管理機関から郵送された書類に記載)
・パスワード:「パスワード設定のお知らせ」に記載された初期パスワード
JIS&Tサイトでは、過去の取引履歴・配分変更履歴・スイッチング履歴も確認可能となっています。運営管理機関のサイトと連携している場合、シングルサインオンで自動ログインできるケースもあります。
方法3:年1回送付される「お取引状況のお知らせ」
「お取引状況のお知らせ」は、確定拠出年金法に基づき年1回以上の通知が義務付けられている書類です。記録関連運営管理機関(JIS&T等)から、毎年1月下旬頃に発行されます。
記載内容は以下のとおりです。
・前年12月31日時点の年金資産評価額
・運用金額(拠出累計から手数料を控除した額)
・評価損益
・商品ごとの時価評価額・残高
・通算加入者等期間(老齢給付金の請求要件に関わる期間)
・手数料の明細
電子交付を選択している場合は、JIS&Tサイトの加入者ページからPDF形式で過去のお知らせを閲覧できます。
出典:iDeCo公式サイト「年に一度は実績をチェックしよう」
「評価損益とは?」運用記録の見方を解説

iDeCoの加入者サイトや「お取引状況のお知らせ」を開いたときに、最も気になるのが「評価損益」「運用金額」「年金資産評価額」の3つの数字です。それぞれの意味を整理しましょう。
年金資産評価額とは
年金資産評価額は、基準日時点で運用商品をすべて売却した場合に手元に残る金額を示します。投資信託の基準価額や価格変動を反映した時価評価額のため、毎日変動する仕組みです。
運用金額とは
運用金額は、運用の元手となっている金額の合計額となります。具体的には、これまで拠出した掛金額から、手数料(国民年金基金連合会の月次手数料105円、事務委託先金融機関の月次手数料66円など)を差し引いた金額が表示されます。
評価損益とは
評価損益は、運用がプラスで推移しているかマイナスで推移しているかを示す指標で、計算式は以下のとおりとなります。
評価損益 = 年金資産評価額 − 運用金額
プラスなら運用利益、マイナスなら運用損失を意味します。なお、「商品ごとの損益を合計しても、資産全体の評価損益とは一致しないケース」がある点にも注意が必要です。これは商品の売買時期が異なるため、計算基準が個別に変わるためと言えるでしょう。
評価損益がマイナスでも慌てない
iDeCo口座開設直後は、口座開設時に国民年金基金連合会へ支払う手数料2,829円が一度に控除されるため、評価損益がマイナス表示されるケースが多くあります。これは運用がうまくいっていないわけではなく、手数料の影響で形式的にマイナスとなっているだけです。
運用元本が増えれば、毎月の手数料は運用益で吸収できるようになります。1〜2年程度の積立期間を経ると、評価損益がプラスに転じるケースが一般的でしょう。
過去の運用記録が見つからない場合の対処法

「Webサイト上で古い運用履歴が表示されない」「運営管理機関がどこか思い出せない」といったケースの対処法を整理します。
加入者口座番号がわからないとき
加入者口座番号を忘れてしまった場合、JIS&T加入者専用コールセンター(平日9時〜21時)に基礎年金番号を伝えて電話で問い合わせれば、加入者口座番号を確認できます。本人確認のため、事前に年金手帳・基礎年金番号通知書を準備しておきましょう。なお、運営管理機関を忘れた場合は、申し込み時の控え書類・口座引き落とし履歴・年末調整時の小規模企業共済等掛金払込証明書から確認するのが基本です。
・JIS&T加入者専用コールセンター:045-210-9412
過去の取引履歴がWeb上に表示されない
多くの運営管理機関では、Web上に表示される取引履歴が直近1〜数年分に限定される運用となっています。それ以前の履歴を確認したい場合は、運営管理機関に連絡して過去の「お取引状況のお知らせ」の再発行を依頼する流れです。再発行には手数料がかかる場合があるため、事前に確認しておきましょう。
JIS&Tサイトで電子交付済みの過去分を確認
受取方法を「電子交付」に設定している場合、JIS&T加入者インターネットサービス上で過去の「お取引状況のお知らせ」をPDFで閲覧可能となります。郵送に切り替えていた期間の分は、電子交付に再変更しても遡って閲覧できないため、その点には留意が必要でしょう。
運用状況を確認するタイミング

iDeCo公式(国民年金基金連合会)は「年に一度は運用状況をチェックすること」を推奨する姿勢です。確認すべきタイミングは以下のとおりとなります。
タイミング1:年1回の「お取引状況のお知らせ」到着時
毎年1月下旬から2月にかけてJIS&Tから送付されるタイミングで、年1回必ず確認する習慣をつけましょう。1年間の拠出額・評価損益・手数料の総額が一目でわかる仕組みです。
タイミング2:年末調整・確定申告時期
毎年10月以降に送付される「小規模企業共済等掛金払込証明書」とあわせて、Web上で年間拠出額を確認すると、所得控除の手続きを正確に行えます。
タイミング3:相場が大きく動いたとき
株価・為替が大きく変動した時期は、資産配分が当初の想定からズレている可能性があります。資産配分が想定から大きくズレている場合、リバランス(スイッチング)の検討材料となるでしょう。
タイミング4:ライフイベントの節目
転職・退職・独立など、加入区分(第1〜3号被保険者)が変わるタイミングで運用状況の確認が必要です。掛金上限額が変わるため、拠出額の見直しが必要になるケースもあります。
運用記録は受給時にも重要
iDeCoの運用記録は、現役時代の確認だけでなく、60歳以降の受給開始時にも重要な役割を持ちます。
退職所得控除の計算に必要
iDeCoを一時金で受け取る場合、退職所得として課税対象になります。退職所得控除の額は「通算加入者等期間」で計算されるため、加入期間が長いほど控除額も増える仕組みです。お取引状況のお知らせの「通算加入者等期間」欄で確認できる仕組みになっています。
退職金との受取時期の調整
会社の退職金とiDeCo一時金を同年に受け取ると、退職所得控除の枠が合算され、税負担が増えるケースがあります。2026年1月以降は、iDeCo→退職金の順で受け取る場合の重複控除を制限する「10年ルール」が適用されるため、運用記録を確認のうえ、受取時期を計画的に調整するのが賢明です。
年金として分割受取する場合
iDeCoを年金として5年以上に分割受給する場合、雑所得として公的年金等控除の対象となります。受給開始のタイミング・受給期間も含めて、運用記録を踏まえた出口戦略を立てる必要があるでしょう。
まとめ|定期的な運用記録の確認が老後資金を守る
iDeCoの資産状況・評価損益・運用益を確認する経路は、運営管理機関の加入者サイト・JIS&T加入者インターネットサービス・年1回の「お取引状況のお知らせ」の3つです。評価損益は「年金資産評価額 − 運用金額」で計算され、口座開設直後は手数料の影響でマイナス表示が一般的となります。
過去の運用記録が見つからない場合は、JIS&T加入者専用コールセンター(045-210-9412)に問い合わせれば、加入者口座番号を確認できる仕組みです。Web上の過去履歴が限定的な場合は、運営管理機関に「お取引状況のお知らせ」の再発行を依頼することで対応できます。
iDeCoは長期運用が前提のため、年に一度の定期確認とライフイベント時の見直しが、老後資金形成の精度を高めます。受給開始時には退職所得控除や受取時期の調整にも記録が必要となるため、毎年の確認・保管を習慣化することが重要です。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムでご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズにお調べいただけるでしょう。



