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iDeCoの掛金が払えないときどうする?停止・減額・再開の手続きを解説

iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金は、失業・転職・育児・収入の減少などで拠出が難しくなったとき、加入者本人の申し出で「停止」できます。
停止すると「運用指図者」という立場に変わり、新たな掛金は拠出せず、これまで積み立てた資産の運用だけを続けます。
ただし、停止しても口座管理手数料はかかり続け、停止中は所得控除(節税)が使えなくなる点には注意が必要です。
この記事では、掛金を止めたいときの手続き、停止する前に検討したい「減額」、停止中の手数料、そして再開の手続きまでを、iDeCo公式の情報をもとに整理しました。
iDeCoの掛金は「停止」できる|加入者から運用指図者へ

iDeCoは原則60歳まで資産を引き出せない制度ですが、掛金の拠出が難しくなった場合は、掛金を停止して「運用指図者」になることができます。
運用指図者とは、新たに掛金を拠出せず、これまで積み立てた資産の運用指図のみを行う立場のことです。
停止の手続き
掛金を停止するには、加入している運営管理機関(金融機関)に「加入者資格喪失届」を提出します。
この届出により加入者の資格を外れ、運用指図者へ切り替わる仕組みです。手続きは書類で行うのが一般的で、反映までに1〜2か月程度かかります。
停止しても、これまで積み立てた資産がなくなるわけではありません。
運用は継続され、口座が凍結されることもないため、過度に心配する必要はないでしょう。
出典:iDeCo公式サイト「加入者・運用指図者の方へ」(国民年金基金連合会)
停止する前に「減額」という選択肢も

掛金の負担が重いと感じたとき、いきなり停止する前に検討したいのが「減額」です。
iDeCoの掛金は下限が月5,000円で、1,000円単位で設定できます。
掛金額の変更は年1回まで
掛金額の変更は、拠出限度額の範囲内で年1回(12月分から翌年11月分までを1単位)行えます。
家計が苦しいときは、まず下限の5,000円まで減額する方法があります。
少額でも続けると節税メリットが残る
停止すると所得控除(小規模企業共済等掛金控除)が一切使えなくなりますが、月5,000円でも拠出を続けていれば、その分は所得控除の対象になります。
所得控除を少しでも残すことで、所得税・住民税の軽減効果を保てるため、完全に止める前に減額で続けられないかを考えてみるとよいでしょう。
停止中(運用指図者)の手数料と運用の扱い

掛金を停止して運用指図者になっても、口座を維持するための手数料はかかり続けます。
この点を見落とすと、運用益が手数料に届かず資産が目減りすることもあるため注意が必要です。
運用指図者でもかかる手数料
加入者のときにかかっていた掛金納付の都度の手数料(国民年金基金連合会へ105円)は、拠出しなくなるためかからなくなります。
一方、資産を管理するための事務委託先金融機関の手数料(月66円程度)や、運営管理機関の手数料は、運用指図者になっても引き続き発生します。
運用指図者の手数料は、毎月の掛金から差し引けないため、年1回など資産の一部を取り崩して充当する形が一般的です。
保有商品が投資信託の場合は、これに信託報酬も加わります。
停止が長期になるときの注意点
停止期間が長くなるほど、新たな積み立てがないまま手数料だけが引かれ続けます。
少額でも拠出を続けられるなら、減額で加入者のまま継続したほうが、所得控除と資産形成の両面で有利になるケースが多い傾向です。相談の現場でも、「とりあえず停止」より「まず減額」を検討することで節税を維持できた例は少なくありません。
掛金を再開したいとき|運用指図者から加入者へ

収入が回復したり育児休業が明けたりして、再び掛金を拠出したくなった場合は、運用指図者から加入者へ戻る手続きを行います。
再開は「加入申出」の手続き
掛金の拠出を再開するには、改めてiDeCoへの加入を申し出る手続き(加入申出)が必要です。
これは掛金額の変更とは異なる手続きで、運営管理機関から加入申出書類を取り寄せて提出します。手続きの完了までは1か月半〜2か月半程度かかります。
一度停止して運用指図者になっていた方が再開する場合、口座開設時の手数料(国民年金基金連合会へ2,829円)は再びかからないのが原則です。
ただし手続きの状況によって扱いが異なる場合があるため、加入中の金融機関に確認しておくとよいでしょう。
「うっかり残高不足」で引き落とせなかった場合との違い

ここまでは「意図的に掛金を止める」ケースを説明してきましたが、「口座の残高不足でうっかり引き落とせなかった」場合は扱いが異なります。
残高不足で引き落とせなかった月の掛金は、後から追納できず、その月の拠出がなかった扱いになります。再振替もないため、その月だけ拠出が抜ける形です。
この場合は運用指図者になるわけではなく、翌月以降は通常どおり引き落としが続きます。
うっかりの残高不足や支払い方法の詳細については、以下の記事で解説しています。
国民年金保険料が未納だとiDeCoの掛金は拠出できない

自営業者などの国民年金第1号被保険者には、見落としやすい注意点があります。
国民年金保険料が未納の月は、iDeCoの掛金を拠出する資格がありません。
国民年金基金連合会は、第1号被保険者について年1回、過去1年分の国民年金保険料の納付状況を確認する仕組みです。
未納の月があった場合は、その月に拠出したiDeCoの掛金が還付されます。還付には手数料(1,048円)がかかるうえ、所得控除も受けられないため、iDeCoを続けるなら国民年金保険料の納付を優先することが大切です。
出典:iDeCo公式サイト「よくあるご質問」(国民年金基金連合会)
まとめ|止める前に「減額」、再開は「加入申出」
iDeCoの掛金を払い続けるのが難しくなったときの選択肢を整理します。
・停止できる:加入者資格喪失届を提出し、運用指図者として運用のみ継続
・まず減額も検討:下限の月5,000円まで減額すれば所得控除を残せる(変更は年1回)
・停止中も手数料:事務委託先金融機関などの手数料は運用指図者でも発生
・再開は加入申出:運用指図者から加入者へ戻る手続き、完了まで1〜2か月半
・うっかり残高不足:追納不可だが翌月以降は通常どおり(停止とは別)
・国民年金が未納:第1号被保険者は未納月のiDeCo掛金が還付される
掛金の負担が重いときは、いきなり停止するより先に減額を検討すると、所得控除と資産形成を続けられます。
停止する場合も、運用指図者として資産は守られ、収入が回復すれば加入申出で再開できるため、ライフイベントに合わせて柔軟に向き合うことが大切でしょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司による執筆です。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムでご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズにお調べいただけるでしょう。



