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iDeCoの評価損益の見方|運用損益との違い・マイナスになる理由を解説

iDeCo(個人型確定拠出年金)の運用実績は、口座を開設している金融機関(運営管理機関)のマイページやアプリ、または年1回届く「お取引状況のお知らせ」で確認できます。
そのなかで気になる「評価損益」とは、年金資産評価額(今すべて売却した場合の金額)から、運用金額(拠出した元手)を差し引いた損益のことです。
プラスなら含み益、マイナスなら含み損ですが、iDeCoは原則60歳まで引き出せない長期運用のため、一時的な評価損は珍しくありません。
この記事では、評価損益と運用損益の違い、運用実績の確認方法、マイナス表示の理由、評価損が出たときの対処法までを、iDeCo公式の情報をもとに整理します。
iDeCoの「評価損益」とは?年金資産評価額と運用金額の差

評価損益とは、基準日時点で運用商品をすべて売却した場合に、どれくらいの利益または損失が出るかを示した金額です。
計算式はシンプルで、評価損益=年金資産評価額−運用金額で求められます。
年金資産評価額とは
年金資産評価額とは、基準日時点で運用商品をすべて売却した場合の時価評価額の合計(個人別管理資産額の残高)です。
「今、解約したら手元に来る金額」と考えると分かりやすいでしょう。
運用金額とは
運用金額は、運用の元手となっている金額のことで、これまでの掛金の合計から手数料などを差し引いた金額です。
具体的には「掛金額+他制度からの移換金−給付・移換額−手数料」で計算されます。
つまり評価損益は、「元手(運用金額)」に対して「今の評価額(年金資産評価額)」がどれだけ増えた(減った)かを示す数字となります。
「評価損益」と「運用損益(商品ごとの損益)」の違い

検索で多い疑問が、「評価損益」と「運用損益」の違いです。
両者は似ていますが、基準となる金額が異なります。
・評価損益:年金資産評価額−運用金額(拠出した元手が基準)
・商品ごとの損益(運用損益):時価評価額−取得価額累計(買付けた値段=簿価が基準)
多くの場合この2つは近い金額になりますが、一致しないこともあります。
スイッチング(保有商品の預け替え)や、元本確保型商品の満期更新、投資信託の分配金による再投資があると、商品の取得価額が変わり、拠出した元手(運用金額)との間に差が生じるためです。
家計相談の現場でも「商品ごとの損益を合計したのに、全体の評価損益と数字が合わない」という質問をよく受けますが、これは基準額の違いによるもので、計算が間違っているわけではありません。
iDeCoの運用実績を確認する方法

iDeCoの運用実績は、主に2つの方法で確認できます。
方法1:運営管理機関のマイページ・アプリ
iDeCo口座を開設している運営管理機関(証券会社や銀行)のウェブサイトや専用アプリのマイページにログインすると、いつでも最新の運用状況を確認できます。
口座開設時に届いたIDとパスワードでログインすると、次のような情報が表示されます。
・年金資産評価額:今すべて売却した場合の評価額
・運用金額(掛金累計):これまで積み立てた元手
・評価損益:プラス(含み益)かマイナス(含み損)か
・運用商品の内訳:どの商品をどの割合で保有しているか
・商品ごとの損益:各運用商品の損益状況
方法2:年1回届く「お取引状況のお知らせ」
記録関連運営管理機関(レコードキーパー)からは、年1回「お取引状況のお知らせ」が届きます。
これは確定拠出年金法により、加入者へ少なくとも年1回通知することが定められているもので、個人型では毎年12月31日を基準日として作成されます。
過去1年間の運用実績や資産構成が記載されているため、年に一度は資産配分のバランスを確認する機会として活用するとよいでしょう。
出典:iDeCo公式サイト「よくあるご質問」(国民年金基金連合会)
iDeCoが「マイナス表示」になる主な理由

運用実績を見て評価損益がマイナスになっていると不安になりますが、マイナス表示には主に2つの理由があります。
理由1:手数料の影響(特に口座開設直後)
iDeCoには、加入時や毎月の運用で一定の手数料がかかります。
特に口座開設直後は積み立てた元手が少ない一方、加入時手数料(国民年金基金連合会へ2,829円)の負担割合が相対的に高いため、評価損益がマイナスに見えやすくなります。
掛金を積み立て続けて元手が増えていくと、手数料の影響は相対的に小さくなっていく傾向です。
口座開設からまもない時期のマイナスは、運用の失敗ではなく手数料による一時的なものが多い点を押さえておきましょう。
理由2:市場の一時的な下落
投資信託など値動きのある商品で運用している場合、市場全体が下落している時期は評価額も下がり、評価損が出ることがあります。
ただし評価損益はあくまで「評価上」の損益で、実際に売却しない限り損失は確定しません。iDeCoは原則60歳まで引き出せない長期運用のため、一時的な評価損は通過点と捉える考え方が現実的です。
評価損が出たときの対処法

評価損が出ているときは、慌てて行動するのではなく、長期運用の前提に立って冷静に対応することが重要です。
まずは長期運用の「通過点」と捉える
iDeCoは老後資金を準備する長期運用の制度です。
過去の市場では、下落の後に時間をかけて回復してきた局面もありました。評価損が出ている時期も、積立を継続することで平均購入単価をならす効果が期待できます。
スイッチングと配分変更を使い分ける
運用商品を見直したい場合、iDeCoには「スイッチング」と「配分変更」という2つの方法があります。
両者は対象が異なるため、目的に応じた使い分けが必要です。
・スイッチング(預け替え):今保有している資産を売却し、別の商品に買い替える(これまで積み立てた資産が対象)
・配分変更:今後拠出する掛金の購入割合を変える(これから積み立てる分が対象)
すでに積み立てた資産のリスクを下げたい場合はスイッチング、今後の積立方針を変えたい場合は配分変更を使います。
なお、短期的な値動きに合わせて頻繁にスイッチングを繰り返すと、かえって運用が不安定になりやすいため注意が必要です。
リスク許容度を再確認する
評価損で強い不安を感じる場合は、保有資産のリスクが自身の許容度を超えている可能性があります。
年齢が上がり老後が近づいたタイミングなどでは、株式などのリスク資産の比率を下げ、債券や元本確保型商品を組み入れて資産配分を調整する考え方もあります。
掛金の継続と生活防衛資金
評価損が出ている時期でも、掛金の拠出は継続するのが基本的な考え方です。
ただしiDeCoは原則60歳まで引き出せないため、急な出費に備える生活防衛資金(生活費の数か月〜1年分)が手元にあるかを確認し、不足する場合は掛金の減額・停止を検討することも選択肢となります。
まとめ|iDeCoの運用実績は「評価損益の意味」を理解して冷静に
iDeCoの運用実績と評価損益について、本記事のポイントを整理します。
・評価損益:年金資産評価額(今売却した場合の額)−運用金額(拠出した元手)
・運用損益との違い:商品ごとの損益は取得価額(簿価)が基準のため、評価損益と一致しないことがある
・確認方法:運営管理機関のマイページ、年1回の「お取引状況のお知らせ」
・マイナスの理由:口座開設直後の手数料の影響、市場の一時的な下落
・対処法:長期視点で継続、スイッチングと配分変更の使い分け、リスク許容度の再確認
評価損益はあくまで「評価上」の損益で、売却しない限り確定しません。iDeCoは長期運用が前提のため、一時的なマイナスに一喜一憂せず、年1回は実績を確認して資産配分を点検する習慣が大切です。
数字の意味を正しく理解することが、老後資金づくりを着実に進める第一歩につながるでしょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司による執筆です。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムでご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズにお調べいただけるでしょう。



