投資リスクなどへの対策
高齢者を狙う悪質商法と資産の守り方|家族の見守りと成年後見・相談窓口

高齢者を狙う悪質商法では、長年かけて蓄えたまとまった金融資産や持ち家が標的になりやすい傾向があります。
手口は次々と変わるため、個別の手口を覚えることよりも、資産を守る仕組みをあらかじめ整えておくほうが現実的です。
具体的には、家族の見守り、判断力の低下に備える成年後見制度、被害に気づいたときの相談窓口を知っておくことが役立ちます。
これらは、商品を売る立場の事業者からは語られにくい、中立的な備えです。
本記事では、高齢者の資産が悪質商法に狙われやすい理由と、家族や本人ができる資産の守り方を中心に解説します。
高齢者の資産が狙われやすい理由

悪質商法の手口は多様ですが、高齢者の資産が標的になりやすい背景には共通した構造があります。理由を知っておくと、どこを守ればよいかが見えてきます。
まとまった金融資産と持ち家という標的
退職金や年金で築いた預貯金、長年住んできた持ち家は、悪質商法にとって格好の標的となります。
特に持ち家は、リフォームや点検といった名目で不要な工事契約を持ちかける口実に使われやすく、まとまった金融資産は高額な商品やサービスの勧誘につながりやすい資産です。
判断力の低下と社会的な孤立
加齢や認知機能の低下によって、契約内容を冷静に判断することが難しくなる場合があります。
さらに、一人暮らしや日中独居で相談相手が身近にいないと、その場の雰囲気に流されて契約してしまいやすく、孤立が被害を深める要因となります。
「その場で契約させる」という共通点
訪問販売や点検商法などの手口に共通するのは、考える時間や相談する機会を与えず、その場での契約を迫る点です。
「今だけ」「今日中なら割引」といった言葉で即決を促すため、いったん持ち帰って家族や第三者に相談する習慣が、資産を守る最初の壁になります。
家族の見守りで資産を守る

悪質商法から高齢者の資産を守るうえで、家族の見守りは重要な役割を果たします。離れて暮らしていても、できる備えがあります。
離れて暮らす親とお金の話をしておく
普段からお金や契約について話せる関係を築いておくと、不審な勧誘を受けたときに相談してもらいやすくなります。
帰省の折などに、最近の訪問者や郵便物、契約した覚えのないサービスがないかをさりげなく確認しておくことが、早期発見につながります。
お金の動きに気づく仕組みをつくる
高額な出費や不自然な引き出しに家族が気づける状態にしておくと、被害の拡大を防ぎやすくなります。
通帳の記帳を一緒に確認する習慣や、まとまった支払いの前には家族に一言相談する約束など、本人の同意のうえで小さな仕組みを用意しておくことが役立ちます。
即決させない・一人で契約させない
「その場では契約せず、必ず家族に相談してから決める」という方針を、家族の間で共有しておくことが有効です。
本人が断りにくい場合に備え、「家族に相談しないと契約できない」と伝える断り方を決めておくと、即決を迫る勧誘への歯止めになります。
判断力の低下に備える成年後見制度

判断力が低下した後に資産を守る公的な仕組みとして、成年後見制度があります。本人を法律的に支援し、不利な契約から守る制度です。
後見・保佐・補助の3つの類型
成年後見制度は、認知症や障害などで判断する能力が十分でない方について、本人の権利を守る人を選び、法律的に支援する制度です。
判断能力の程度に応じて、欠けているのが通常の状態なら「後見」、著しく不十分なら「保佐」、不十分なら「補助」の3つの類型に分かれています。
元気なうちに備える任意後見
判断能力が十分なうちに、将来に備えてあらかじめ支援する人と契約しておく「任意後見」という仕組みもあります。
本人があらかじめ結んでおいた任意後見契約にしたがって、家庭裁判所が任意後見監督人を選任したときから契約の効力が生じる仕組みで、自分の希望を将来に反映できる点が特徴です。
不利な契約を取り消せる場合がある
判断能力が低下した本人が不利な契約をしてしまった場合でも、成年後見制度を利用していれば、後見人などが本人を保護する役割を担います。
高額な契約をめぐる消費者被害から資産を守る手立ての一つとなるため、家族の状況に応じて利用を検討する価値があります。
困ったときの相談窓口

万一、不審な勧誘を受けたり契約してしまったりした場合は、一人で抱え込まず、早めに公的な窓口へ相談することが大切です。被害の回復につながる制度もあります。
消費者ホットライン188
消費者トラブルに困ったときは、局番なしの「188(いやや)」に電話すると、身近な消費生活センターや消費生活相談窓口を案内してもらえます。
相談自体は無料で、契約してよいか迷う段階でも利用できるため、不安を感じたら早めに相談することが資産を守る一歩となります。
クーリングオフが使える場合がある
訪問販売などで契約した場合、契約書面を受け取ってから取引の種類ごとに定められた一定期間内であれば、無条件で契約を解除できるクーリングオフという制度があります。
契約してしまった後でも解除できる場合があるため、あきらめずに消費生活センター(188)へ相談することが大切です。
まとめ:手口を追うより、資産を守る仕組みを整える
高齢者を狙う悪質商法では、まとまった金融資産や持ち家が標的になりやすく、手口も次々と変わります。
個別の手口を覚えることよりも、家族の見守り、判断力の低下に備える成年後見制度、被害に気づいたときの相談窓口という、資産を守る仕組みを整えておくことが現実的です。
離れて暮らす家族とお金の話をしておくこと、即決させない方針を共有しておくこと、そして困ったときに188へ相談することが、大切な資産を守る支えになります。
悪質商法への備えは、手口を追いかけるのではなく、見守り・成年後見・相談窓口という資産を守る仕組みをあらかじめ整えておくことが、高齢者本人と家族の安心につながります。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆した内容です。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。



