公的年金制度
障害年金とは?受給要件・等級別の金額・申請手続きをわかりやすく解説

障害年金は、病気やけがで生活や仕事に制限が生じたときに、現役世代でも受け取れる公的年金です。
令和8年4月分からの障害基礎年金は、1級が年額1,059,125円、2級が年額847,300円で、生計を維持している子がいる場合は加算されます。
受給には初診日・保険料納付・障害の状態という3つの要件があり、初診日にどの年金制度に加入していたかで受け取れる年金が変わる仕組みです。
この記事では、2つの障害年金の違いと受給要件、年金額、請求の方法を解説します。
障害年金は2種類ある

障害年金は、初診日に加入していた年金制度によって種類が分かれます。
それぞれの対象と等級を確認します。
障害基礎年金と障害厚生年金の違い
障害基礎年金は、初診日に国民年金に加入していた自営業者や学生、厚生年金加入者に扶養されている配偶者などが対象で、等級は1級と2級です。
障害厚生年金は、厚生年金保険の被保険者である間に初診日がある会社員や公務員が対象で、等級は1級から3級まであります。
3級は障害厚生年金にしかない
障害基礎年金には3級がないため、国民年金だけに加入している自営業者やフリーランスは、3級に相当する状態では年金を受け取れません。
働き方によって公的保障の手厚さが変わる点は、備えを考えるうえで押さえておきたいところです。
受給要件は3つ

障害年金を受け取るには、次の3つの要件をすべて満たす必要があります。
特に初診日と保険料の納付は、あとから取り返せない部分です。
初診日に年金制度に加入していること
初診日とは、障害の原因となった病気やけがで初めて医師の診療を受けた日をいいます。
障害基礎年金では、初診日が国民年金の加入期間か、20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間にあることが必要です。
障害厚生年金では、厚生年金保険の被保険者である間に初診日があることが求められます。
保険料の納付要件を満たしていること
初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あることが原則です。
ただし、初診日が令和18年3月末日までのときは、初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において、前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。
判定の基準は「初診日の前日」の状態であり、病気やけががわかってから慌てて納めても要件は満たせない仕組みです。
なお、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合、納付要件は不要とされています。
障害認定日に等級に該当すること
障害認定日に、障害等級表に定める等級(障害基礎年金は1級または2級、障害厚生年金は1級から3級)に該当していることが必要です。
障害認定日以後に20歳に達したときは、20歳に達した日の状態で判断されます。
出典:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」
令和8年4月分からの年金額

障害基礎年金は定額、障害厚生年金は報酬に応じた額で計算されます。
それぞれの金額を確認します。
障害基礎年金の額
昭和31年4月2日以後生まれの方の額は次のとおりです。
・1級:年額1,059,125円+子の加算額
・2級:年額847,300円+子の加算額
・子の加算額:2人まで1人につき243,800円、3人目以降は1人につき81,300円
加算の対象となる子は、18歳になった後の最初の3月31日までの子、または20歳未満で障害等級1級もしくは2級の状態にある子に限られます。
障害厚生年金の額
1級は報酬比例の年金額の1.25倍、2級と3級は報酬比例の年金額が基本となり、1級と2級では生計を維持されている65歳未満の配偶者がいるときに加給年金額243,800円が加算されます。
3級には最低保障額があり、昭和31年4月2日以後生まれの方は年額635,500円です。
報酬比例部分の計算では、厚生年金の期間が300月(25年)未満の場合に300月とみなして計算されるため、若いうちに障害の状態になった場合にも一定の額が確保されます。
出典:日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」
請求の方法は2つ

障害の状態に該当した時期によって、請求の方法が分かれます。
どちらも期限や時効に関わる注意点があります。
障害認定日による請求
障害認定日に障害の状態にあるときは、その翌月分から年金を受け取れます。
請求書は障害認定日以降いつでも提出できますが、遡って受けられる年金は時効により5年分が限度です。
事後重症による請求
障害認定日には該当しなかった方でも、その後に症状が悪化して障害の状態になったときは、請求日の翌月分から受け取れます。
この請求は65歳の誕生日の前々日までに提出する必要があり、請求が遅れた分を遡って受け取ることはできません。
請求に必要な書類と進め方

障害年金の請求は、書類をそろえるまでに時間がかかることもあります。
中心となる書類を押さえておきます。
診断書と病歴・就労状況等申立書
請求には、年金請求書のほか、医師が作成する診断書と、本人などが作成する病歴・就労状況等申立書が必要です。
初診日を証明するための受診状況等証明書も求められ、転院している場合は最初に受診した医療機関から取得します。
診断書は等級の判定を左右するため、日常生活や仕事でどのように困っているかを医師に具体的に伝えることが欠かせません。
まずは無料の相談窓口を使う
手続きが複雑に感じられる場合でも、年金事務所や街角の年金相談センターでは無料で相談できます。
初診日の確認や必要書類の案内を受けたうえで、自分で進められそうか、社会保険労務士などに依頼するかを考えると、費用をかけずに見通しを立てられます。
受給後に使える制度と民間保険の考え方

障害年金は、他の公的な仕組みと組み合わせて家計を支えます。
民間保険を考えるのは、その全体像を確かめた後です。
国民年金保険料が免除になる
障害基礎年金や被用者年金の障害年金(2級以上)を受けている方は、届出により国民年金保険料が免除されます(法定免除)。
この期間の老齢基礎年金の額は、平成21年4月以降の期間について1か月を2分の1として計算されるため、満額にしたい場合は追納するという選択もあります。
公的保障を確かめてから民間保険を考える
会社員には障害厚生年金に加えて健康保険の傷病手当金があり、医療費には高額療養費制度があります。
一方、自営業者やフリーランスは障害基礎年金のみで3級がなく、傷病手当金の仕組みも基本的にないため、働けなくなったときの収入の落ち込みが大きくなりがちです。
民間の就業不能保険などを検討する前に、自分が受け取れる公的保障を確かめ、不足する分だけを補うことが、掛けすぎを防ぐ順番になります。
よくある誤解

障害年金は、制度が正しく理解されていない場面も見られます。
2つの誤解を取り上げます。
障害者手帳がないと受け取れない
障害年金と障害者手帳は別の制度で、手帳がなくても要件を満たせば障害年金を受け取れます。
逆に手帳を持っていても、障害年金の等級に該当するとは限りません。
働いていると受け取れない
障害の状態が等級に該当していれば、働いていても受け取れる場合があります。
相談の場でも、「働いているから対象外」と思い込んで請求していなかった例が見られるため、まずは年金事務所で確かめることが第一歩です。
まとめ:3つの要件と期限を確かめる
障害年金は、初診日・保険料納付・障害の状態という3つの要件を満たすことで受け取れる公的年金です。
金額や等級は加入していた制度によって変わり、請求には時効や期限もあります。
・初診日にどの年金制度に加入していたかで、受け取れる障害年金の種類が決まる
・保険料の納付要件は「初診日の前日」の状態で判定される
・令和8年4月分からの障害基礎年金は1級1,059,125円、2級847,300円(昭和31年4月2日以後生まれ)
・遡って受け取れるのは5年分まで、事後重症の請求は65歳の誕生日の前々日まで
・障害者手帳がなくても、働いていても、要件を満たせば受け取れる場合がある
障害年金は請求しなければ受け取れないため、該当しそうな場合は思い込みで諦めず、年金事務所の無料相談で初診日と要件を確かめることから始めることが、生活を支える備えにつながります。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆した内容です。
当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。
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