金投資
金投資をNISAで始めるメリットと注意点|非課税枠を金に使う前に確認したいこと

NISAの成長投資枠では金(ゴールド)に連動するETFや投資信託を購入でき、売却益が非課税になります。
ただし金は配当や利息を生まない資産のため、非課税の恩恵を受けられるのは値上がりして売れた場合に限られます。
NISA口座で出た損失は損益通算や繰越控除の対象外となるうえ、生涯1,800万円の非課税枠は有限です。枠を金に使うかどうかは、メリットと注意点の両方を見て決める必要があります。
この記事では、NISAで金投資をするメリットと注意点、課税口座や現物との使い分けを解説します。
NISAで金投資はできる?対象商品と枠の基本

NISAは年間360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)、生涯1,800万円まで非課税で投資できる制度で、非課税期間は無期限です。
金に連動するETFや投資信託の多くは、このうち成長投資枠での購入が中心になります。
一方、つみたて投資枠の対象は長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託に限られており、金だけに投資する商品はごく限られます。
また、純金積立や金地金の現物購入はNISAの対象外です。どの銘柄が対象かは、東京証券取引所に上場するETFなら日本取引所グループと資産運用業協会が商品の作りに応じて分担して公表し、つみたて投資枠の対象は金融庁が一覧を公開しています。
出典:金融庁「つみたて投資枠対象商品」、日本取引所グループ「銘柄一覧(ETF)」
NISA制度の全体像はこちらの記事で解説しています。
NISAで金投資をする2つのメリット

NISAを使う利点は次の2つです。
①売却益にかかる20.315%が非課税になる
課税口座で金ETFや金投資信託を売って利益が出ると、上場株式等の譲渡所得として20.315%の税金がかかります。
たとえば50万円の利益なら税額は101,575円ですが、NISA口座なら0円です。金ETFの多くは分配金を出さないため、非課税の対象は実質的に売却益になります。
出典:国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」
②少額から株式と異なる値動きの資産を持てる
金は株式や債券と異なる値動きをしやすい資産とされ、組み入れることで資産全体の値動きを和らげる効果が期待されています。
証券口座を通じて数千円程度から購入できるため、現物の金地金を買うより手軽に分散の一角へ加えられる点も利点です。
見落とされがちな3つの注意点

一方で、金とNISAの組み合わせには構造的な注意点があります。
3つに分けて確認します。
①金は配当を生まない|非課税の恩恵は売却益だけ
配当や分配金のある株式・投資信託をNISAで持った場合、保有中の配当と売却益の両方が非課税です。
これに対して金は利息も配当も生まないため、非課税になる機会は売却益が出たときだけになります。同じ枠を使っても、受けられる非課税の中身が違うわけです。
生涯1,800万円の非課税枠は有限のため、枠を金に充てることは、配当を生む資産に使う機会を手放すことと表裏の関係にあります。
この機会費用まで考えて配分を決めるのが、枠の使い道を判断する際のポイントです。
②損失が出ても損益通算・繰越控除ができない
国税庁によると、NISA口座で生じた譲渡損失は税務上ないものとされ、課税口座の利益との損益通算や翌年以降3年間の繰越控除は使えません。
値動きのある資産で損失が出た場合、課税口座なら税負担を軽くする形で一部を取り戻せますが、NISAでは救済がないまま損失が確定します。
出典:国税庁「No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」
③純金積立・金地金の現物は対象外
「金ならなんでも非課税にできる」というわけではない点も要注意です。
純金積立や金地金の現物はNISAの対象外で、現物を売った利益は総合課税の譲渡所得になります。ただし年50万円の特別控除があり、5年を超えて保有した場合は課税対象がさらに2分の1になるため、利益がその範囲に収まる見込みなら、NISAにこだわらなくても税負担が生じないケースもあります。
NISA枠を金に使う判断|向くケース・向かないケース

以上をまとめると、枠の使い方の目安は次のとおりです。
NISA枠での金投資が候補になるケース
・非課税枠に余裕があり、配当を生む資産への配分をすでに確保している
・中長期の値上がり益を狙って、ETF・投資信託の形で金を保有したい
・課税口座に他の金融商品が少なく、損益通算の使い道が乏しい
課税口座・現物のほうが向くケース
・1,800万円の枠を配当・分配金のある資産で使い切りたい
・売却益が年50万円の特別控除に収まる見込みで、現物として持ちたい
・短期の値動きを見て機動的に売買したい(損失時に損益通算を使える課税口座に分がある)
始める場合の手順と配分で気をつけたいこと

実際に始める場合、手順そのものは難しくありません。
次の順で進めます。
・証券会社でNISA口座を開設する
・成長投資枠の対象になっている金ETF・金投資信託を公表リストで確認する
・購入後は年1回程度、資産全体に占める金の割合を点検する
配分で気をつけたいのは、金の比率を上げすぎないことです。
金には利息も配当もないため、比率が高まるほど資産全体から生まれる収益が細っていきます。また、投資に回すお金の前に生活費の予備(生活防衛資金)を確保しておくと、急な出費で意図しない時期に売る事態を避けやすくなります。
価格の水準を読むのが難しいと感じる場合、購入時期を複数回に分けるのも一つの方法です。
まとめ|非課税の恩恵は「売却益だけ」を前提に枠の使い道を決める
NISAでの金投資のポイントをまとめます。
・NISAで買えるのは金ETF・金価格連動の投資信託で、成長投資枠が中心。純金積立・現物は対象外
・メリットは売却益20.315%の非課税。利益50万円なら101,575円の差になる
・金は配当を生まないため、非課税の恩恵は売却益だけ。配当資産と枠を取り合う関係にある
・NISAの損失は損益通算・繰越控除の対象外で、救済のないまま確定する
・金地金の現物には年50万円の特別控除があり、NISAにこだわらない選択も成り立つ
・金の比率を上げすぎると資産全体の収益が細る。生活防衛資金の確保が先
「非課税だからお得」で終わらせず、1,800万円の枠を配当のない金に使う価値があるかを、資産全体の設計から考えて決める視点が欠かせません。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司による執筆です。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムでご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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