資産運用
相場が過熱したときの投資判断|高値づかみを避ける分散と積立の考え方

相場が過熱したと言われる局面では、「今が高値づかみになるのではないか」「いったん売ったほうがよいのではないか」と迷いがちです。
ただ、相場の天井や底を正確に当てることは専門家でも難しく、タイミングを計った売買はかえって失敗につながりやすい面があります。
こうした局面で頼りになるのは、相場の予測ではなく、時間の分散(積立)と資産の分散という基本です。
金融庁も、相場環境に左右されにくい資産形成の方法として「長期・積立・分散」を挙げており、過熱相場でも考え方の軸は変わりません。
本記事では、相場が過熱したときに高値づかみや狼狽売りを避けるための、分散と積立の考え方を、商品の売買を勧める立場とは離れて解説します。
相場の過熱は個人には判断しづらい

相場が過熱しているかどうかを正確に見極め、売買のタイミングを当てることは簡単ではありません。まずはこの前提を押さえておくと、感情的な売買を避けやすくなります。
タイミングを正確に読むのは難しい
株価が今後上がるか下がるかを事前に予測することは、プロの投資家でも難しいとされています。
「高いと思って待っていたら上がり続けた」「下がると思って売ったら反発した」というように、タイミングを計る売買は外れることが多く、機会を逃す原因にもなります。
過熱時の高値づかみ・暴落時の狼狽売り
相場が過熱しているときに「乗り遅れたくない」と一度に買い、その後の下落で慌てて売る、という行動は損失につながりやすいパターンです。
過熱局面での高値づかみと、下落局面での狼狽売りは、いずれも感情に流された判断であり、商品の売買を勧める立場からは止めにくい部分でもあります。
高値づかみを避ける「時間の分散」

タイミングが読めないことを前提にすると、買う時期を分ける「時間の分散」が現実的です。過熱相場での高値づかみのリスクを抑える基本となります。
積立投資でタイミングを分散する
毎月一定額を買い続ける積立投資は、価格が高いときには少なく、安いときには多く買うことになり、平均購入単価をならす働きがあります。
購入のタイミングを分散することで、一度に買って高値づかみをするリスクを抑えられるため、相場が過熱した局面でも続けやすい方法です。
金融庁も「長期・積立・分散」を挙げている
金融庁は、相場環境に左右されにくい資産形成の方法として、長期・積立・分散という考え方を挙げています。
積立投資ならタイミングを計る必要がなく、世界の資産に幅広く分散して投資を続けることが基本だと説明されています。
出典:金融庁「つみたてNISA Meetup(教えて虫とり先生 第3回)」
資産の分散でリスクを抑える

時間の分散とあわせて、投資先そのものを分ける「資産の分散」も、過熱相場でのリスクを抑える柱です。一つの資産に偏らないことが要点となります。
値動きの異なる資産を組み合わせる
株式に集中せず、値動きの傾向が異なる債券やREIT(不動産投資信託)などを組み合わせると、ある資産が下落しても別の資産が値動きを和らげる効果が期待できます。
複数の資産に分散して投資する投資信託(バランス型など)を使えば、一本で資産分散を行うことも可能です。
地域も分散する
投資先を国内だけでなく海外にも広げ、先進国や新興国を組み合わせると、特定の国や地域の不調による影響を和らげられます。
世界全体の株式に分散するインデックス型の投資信託は、地域の分散を一本で実現する手段の一つです。
過熱相場で確認したいこと

分散と積立を前提としたうえで、過熱相場では自分の足元を確認しておくことも欠かせません。投資を続けられる土台が整っているかを点検します。
生活防衛資金を確保したうえで余剰資金で投資する
金融庁の解説でも、投資は生活に必要な資金を確保したうえで、当面使う予定のない余剰資金で行うことが前提とされています。
生活防衛資金があれば、相場が下落した局面でも慌てて売らずに済むため、過熱相場の反落に備える意味でも、まず手元資金を確保しておくことが大切です。
リスク許容度に応じて配分を決める
どこまでの値動きに耐えられるかは、年齢・収入・資産・投資経験によって人それぞれ異なります。
運用できる期間が長い人は株式の比率を高める選択もありますが、使う時期が近い資金は値動きの小さい資産を厚くするなど、自分の状況に合わせて配分を決めることが現実的です。
リバランスで配分を保つ
過熱相場では株式が値上がりし、当初決めた資産配分より株式の比率が高まりやすくなります。
定期的に値上がりした資産を一部売り、比率が下がった資産を買い増す「リバランス」を行うと、結果として高い資産を売り安い資産を買う形になり、配分の偏りを整えられます。
まとめ:予測ではなく分散と積立で備える
相場が過熱した局面では、天井や底を当てようとするより、タイミングが読めないことを前提に、時間の分散(積立)と資産の分散で高値づかみのリスクを抑えることが基本です。
過熱時の高値づかみや下落時の狼狽売りといった感情的な売買を避け、決めた方針を続けることが、長期の資産形成では支えになります。
あわせて、生活防衛資金を確保したうえで余剰資金で投資し、自分のリスク許容度に応じた配分を保つことで、相場の反落局面でも慌てずに対応しやすくなります。
過熱相場では相場予測に頼らず、長期・積立・分散を続け、生活防衛資金を確保したうえで余剰資金で投資することが、高値づかみと狼狽売りを避ける進め方です。投資には値動きがあり、元本割れの可能性もあるため、各商品のリスクを理解したうえで判断することが前提となります。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆した内容です。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。



