医療保険
通院給付金特約は必要?給付の条件と公的保障で足りる範囲

通院給付金特約は、入院給付金の支払対象となる入院をして、退院後にその入院の原因となった病気やけがの治療のために通院した場合に給付金を受け取れる特約です。
つまり、風邪や生活習慣病で通院しただけでは対象にならず、入院を伴わない通院は給付の対象外となるのが基本の扱いになります。
入院日数が短くなり、退院後の通院で治療を続ける場面は増えている一方、公的な医療保険にも自己負担を抑える仕組みがある点は見落とされがちです。
この記事では、通院給付金の給付条件と、特約を付ける前に確かめたい点を解説します。
通院給付金が支払われる条件

通院給付金は、通院すれば必ず受け取れるものではありません。
給付の前提となる条件を確認します。
入院を伴う通院が前提
生命保険文化センターによると、通院特約は、入院給付金の支払対象となる入院をして、退院後、その入院の直接の原因となった病気やけがの治療を目的として通院した場合に通院給付金が受け取れる特約です。
入院と結びつかない通院、たとえば風邪での受診や健康診断、予防接種などは給付の対象になりません。
なお、退院後だけでなく入院前の通院も保障するタイプを扱う生命保険会社もあります。
給付の期間や日数は契約ごとに異なる
給付の対象となる期間や、1回の入院あたりの支払限度日数、給付金の額は、生命保険会社や特約によって異なります。
更新型と全期型の取り扱いがあり、更新のたびに保険料が変わる場合もあるため、加入中の契約については保険証券や約款で確かめることが欠かせません。
入院は短くなり、通院での治療は増えている

特約の要否を考えるうえで、医療の実態を押さえておくことも役立ちます。
入院日数の状況を確認します。
退院患者の平均在院日数は28.4日
厚生労働省の令和5年患者調査によると、退院患者の平均在院日数は28.4日です。
傷病によって差があり、胃の悪性新生物は14.7日、心疾患は18.3日である一方、脳血管疾患は68.9日、骨折は35.4日と長くなっています。
出典:公益財団法人 生命保険文化センター「入院した場合、入院日数は何日くらい?」(厚生労働省「患者調査」令和5年)
入院が短いほど通院期間は長くなりやすい
入院日数が短く済むほど、退院後に通院で治療を続ける期間は長くなりやすい面があります。
一方で、通院給付金には支払限度日数が設けられているため、通院が長引く場合に受け取れる額には限りがある点も、あわせて考えておく必要があります。
公的な医療保険で抑えられる部分

民間の特約を検討する前に、公的な保障で賄える範囲を確かめる順番が現実的です。
高額療養費制度の仕組みを確認します。
外来の医療費も高額療養費の対象
高額療養費制度は、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が上限額を超えた場合に、その超えた額が支給される仕組みです。
入院に限らず、外来で支払う医療費も対象となるため、通院での治療が続く場合も自己負担には上限があります。
長期の療養には負担を軽くする仕組みもある
直近12か月の間に高額療養費に該当した月が3か月以上ある場合、4か月目以降は自己負担限度額がさらに軽くなる「多数回該当」という仕組みがあります。
治療が長引くほど負担が際限なく増えるわけではないため、まずこの制度で賄える範囲を確かめることが出発点です。
なお、上限額は令和8年8月から見直されており、年単位の上限も設けられるため、具体的な金額は厚生労働省の最新の情報で確認します。
特約を付ける前に確かめたいこと

公的保障で賄える範囲を確かめたうえで、特約の要否を考えます。
2つの観点で確認します。
公的保障の対象外になる費用を見積もる
高額療養費制度の対象は保険が適用される医療費です。
通院のための交通費や、通院で仕事を休むことによる収入の減少は対象にならないため、これらを預貯金で賄えるかどうかが、特約を考える出発点になります。
会社員などが加入する健康保険には、病気やけがで会社を休んだ場合の傷病手当金がありますが、自営業者などにはこの仕組みが基本的にないため、収入減への備えの必要性は働き方によって変わります。
増える保険料と受け取れる額を比べる
特約を付けると、その分だけ保険料は上がります。
支払限度日数があることを前提に受け取れる見込み額を確かめ、契約している期間に払い込む保険料の増加分と比べると、割に合うかどうかを判断しやすくなるはずです。
相談の場でも、通院すれば給付されると思い込んでいたために、入院を伴わない通院で給付を受けられず、期待とのずれに気づく例が見られます。
まとめ:入院を伴う通院が前提と知って判断する
通院給付金特約は、入院給付金の支払対象となる入院を経た、その原因となった病気やけがの治療のための通院が前提です。
公的保障で賄える範囲を確かめたうえで、必要かどうかを考える順番が要点になります。
・通院給付金は、入院給付金の対象となる入院を経た通院が前提
・風邪での受診や健康診断、予防接種など、入院を伴わない通院は対象外
・給付の期間や支払限度日数、金額は生命保険会社や特約によって異なる
・外来の医療費も高額療養費制度の対象で、自己負担には上限がある
・交通費や収入の減少は公的保障の対象外のため、預貯金で賄えるかを確かめる
通院給付金特約は「通院すれば出る保険」ではないため、入院を伴う通院という前提と支払限度日数を確かめ、公的保障と預貯金で足りない部分があるかを見てから決めることが、保険料の掛けすぎを防ぐ進め方になります。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆した内容です。
当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。
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