住宅ローン
通院・服薬中でも団信は申し込める?告知の範囲と加入できなかった場合の選択肢

加入できるかどうかを決めるのは、主治医でも銀行でもありません。申込書に書かれた内容をもとに、生命保険会社が判断します。
だから主治医に「自分なら書かない」と言われても、通院している・薬を飲んでいるという事実は変わらないままです。
申込者がやるべきなのは、事実を正確に書くこと。それをどう評価するかは、判断する側の仕事です。
この記事では、通院中の告知で何を書くのか、診断書は先に要るのかを説明します。
誰が加入の可否を決めるのか
通院中の申込みで、最初に確かめたいのが判断する人です。
ここがわかると、悩むべきことと、そうでないことが分かれます。
決めるのは生命保険会社
フラット35の団信に加入できるのは、次の条件を満たす方です。
・フラット35の融資を受けられること
・申込書に記入する日の時点で満15歳以上満70歳未満であること
・生命保険会社の承諾が得られること
そして加入できるかどうかは、申込書兼告知書に書かれた内容をもとに、生命保険会社が決めます。
判断の材料は書類の記載内容。判断するのは、その書類を受け取った生命保険会社です。
主治医は告知を判断する立場にない
主治医から「自分なら書かないレベル」と言われることがあります。
病状の見立てとしては貴重な情報ですが、告知するかどうかの判断とは別の話です。
告知の義務を負うのは、申し込む本人。
医師が病状を軽いと考えていても、通院している・薬を飲んでいるという事実は変わりません。
その事実を書かなければ、告知義務違反の問題が残ります。
書かないという選択が成り立たない理由
保険に入るとき、契約者や被保険者には告知義務があります。
職業や現在の健康状態、過去の病歴などを、事実のまま伝える義務です。
この義務に違反すると、契約が解除されて保険金を受け取れなくなることがあります。
団信でこれが起きれば、住宅ローンの残債がそのまま家族に残ります。
数十年の返済を支える裏づけを失うことになる。だから書かないという選択は現実的ではありません。
担当者に口頭で伝えても告知にならない
もうひとつ注意したい点があります。
生命保険会社の営業職員や保険代理店の担当者には、告知を受け取る権限がありません。
つまり口頭で伝えただけでは、告知したことにならないわけです。
伝えるべき内容は、必ず申込書に記載してください。
出典:生命保険文化センター「生命保険の契約にあたっての手引 その2」
書くのは「事実」だけでいい
告知の必要性がはっきりしたら、次は何を書くかです。
多くの人が迷うのが、状態の軽さをどこまで書き添えるかという点でしょう。
「軽度」「休職していない」は評価であって事実ではない
申込書に求められているのは、健康状態などの事実です。
加入の可否は、その記載内容をもとに判断されます。
一方、「軽度である」「休職していない」といった説明は、事実に対する評価にあたります。
評価を下すのは、書類を受け取った生命保険会社。
申込者が評価を添えたからといって、結論が動くと考える根拠はありません。
足りない情報は向こうから求められる
先回りして情報を足すべきか迷ったときは、住宅金融支援機構の説明が参考になります。
申込書の告知内容によっては、診断書などの提出を求める場合がある、としています。
判断に情報が足りなければ、向こうから求められる仕組みです。
申込者が想像で補う必要は、それほどありません。
出典:住宅金融支援機構「新機構団信制度の申込みにあたり、申込書兼告知書以外に必要な書類はありますか。」
通るかどうかは事前にわからない
加入できるか先に知りたくなるのは自然なことです。
ただし判断の基準は生命保険会社ごとに決まっていて、公表されていません。
そのため「この病名ならこうなる」という説明には、裏づけが取れません。
ネット上で断定的に書かれた情報は、実務の一例か、書き手の推測と受け止めてください。
診断書は先に用意しなくていい
費用のかかる書類なので、判断に迷うところです。
機構の説明を読むと、扱いがはっきりします。
求められたら出す書類
健康診断結果証明書を必ず出すのは、3大疾病もカバーするタイプで融資額が5,000万円を超える場合です。
それ以外は、申込書の告知内容によって診断書などを求められることがある、とされています。
裏を返せば、この条件に当てはまらない申込みで最初に出すのは、申込書兼告知書だけということ。
診断書は、必要と判断されたときに求められる書類です。
作成料は自己負担
もうひとつ、機構が明記しているのが費用です。
健康診断結果証明書や診断書の作成料、検査料は、申込者の負担になります。
求められる前に用意すれば、使わずに終わる可能性もあります。
自己負担である以上、求められてから取得するほうが無駄になりにくいでしょう。
病名だけで決まるわけではない
病名で一律に決まるのか、という疑問にも答えます。
公開資料から言えるのは、状態が考慮されるということです。
見られるのは今の状態
健康に問題があっても、加入できる場合があります。
治療を受けるほどでもない症状の人や、病気が完治して一定の年数が経った人などです。
基準になっているのは、病名そのものではありません。
治療が必要な状態か、完治してどれだけ経ったか。つまり現在の状況が見られています。
「入れる」「入れない」の二択ではない
条件を付けたうえで加入できる場合もあります。
保険料を通常より高くする、一定期間は保険金を減らすといった形です。
医療関係の特約では、特定の部位や病気だけを保障の対象から外す条件が付くこともあります。
条件を調整して引き受ける仕組みが用意されているということです。
ただし団信でどの条件が使えるかは商品によって違うので、取扱金融機関に確かめてください。
出典:生命保険文化センター「健康上問題があると、生命保険は契約できないの?」
保険のために治療をやめない
ここは強調しておきます。
告知の項目に当たらないよう、通院や服薬をやめるという発想。これは危険です。
ただし治療を中断して体調が悪化すれば、住宅ローンの返済そのものが揺らぐ結果になりかねません。
数十年の返済を支えるのは保険ではなく、働き続けられる状態です。
先ほどのとおり、完治して一定の年数が経てば無条件で契約できる場合もあります。
治療を続けて状態が落ち着くことは、保険の面でも不利になりません。
団信なしで住宅ローンを組むという選択肢
最後に、団信を付けずに借りるという道を確かめておきます。
住宅の購入そのものを諦める前に、知っておきたい制度です。
フラット35は団信が任意
住宅金融支援機構は、健康上の理由その他の事情で団信に加入しない場合もフラット35を利用できる、と明記しています。
加入しない場合の金利は、団信付きの金利から0.2%を引いた水準です。
団信に加入しないという選択をしても、フラット35そのものは利用できます。
ただし団信とは別に、返済負担率など融資そのものの審査があります。
債務は残るという前提を受け入れる
ただし機構は、同じページで注意も示しています。
・団信に入っていないと、万一のとき債務を返済する義務が残る
・相続が起きた場合、債務を相続した方に返済してもらうことになる
・健康上の理由以外で加入しない予定なら、家族と十分に検討してほしい
団信を外すとは、返済義務を家族に引き継ぐ可能性を受け入れるということ。
その穴を別の方法で埋める前提がないまま外すのは避けたいところです。
出典:住宅金融支援機構「健康上の理由その他の事情で新機構団信制度に加入しない場合も、【フラット35】は利用できますか。」
金利0.2%分をどこに使うか
団信を外せば、その分の金利負担がなくなります。
この差額を、団信の代わりになる保障の保険料に充てるという考え方があります。
民間の死亡保障なら受取人を家族にできるので、返済に充てることも、生活費に回すことも可能です。
ただし保障の対象になる状態や保険期間が団信とは違うため、同じ内容にはなりません。
まとめ
通院・服薬中の団信の申込みについて、公開資料から言えることは次のとおりです。
・加入できるかどうかは、申込書の記載内容をもとに生命保険会社が決める
・主治医の見立てがどうであれ、通院や服薬という事実は告知の対象
・書くのは事実。評価を添えても、判断するのは受け取る側
・診断書は告知内容によって求められる書類。作成料は自己負担
・判断の基準は公表されておらず、病名だけで結論が決まるとは限らない
・加入不可のほかに、保険料や保障範囲を調整する選択肢がある
・フラット35は団信が任意で、加入しない場合も利用できる
悩みどころは「告知するかどうか」ではなく、その後の進め方にあります。
告知は義務であり、選ぶ余地のある部分ではないからです。
事実を正確に書いて申し込み、結果を見てから次の手を考える。
この順序なら、判断すべき場面はひとつずつ訪れます。
加入できれば通常どおり進み、できなければ団信任意の制度や別の保障を検討する。
先の結果を心配して立ち止まるより、確かめてから動くほうが早く決着します。
本記事の執筆者は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司です。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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