医療保険
自営業者の医療保険:会社員との違いと手厚い保障の作り方

「会社員は傷病手当金があるって聞くけど、自営業者はどうすればいい?」
自営業者(個人事業主やフリーランスなど)は、会社員のように勤務先の福利厚生や、公的な保障制度が薄いという現状があります。特に、病気やケガで働けなくなった際の収入減に備えるための「傷病手当金」がありません。そのため、医療保険も会社員とは異なる視点での選び方や、他の保険との組み合わせが重要になります。
この記事では、自営業者の医療保険の考え方を解説します。会社員にはある「傷病手当金」がないことの補填として、医療保険と就業不能保険をどう組み合わせるか、そして保険料を抑えつつ、手厚い保障を確保するポイントまで。自営業者ならではの賢い保険戦略を提案します。
会社員の傷病手当金がないことの補填

会社員が病気やケガで仕事を休んだ場合、健康保険から「傷病手当金」が給与の3分の2程度支給されます。しかし、自営業者は国民健康保険に加入するため、原則としてこの傷病手当金制度は利用できません。
【補足】:
・コロナ特例措置: 新型コロナウイルス感染症については、国民健康保険でも一時的に傷病手当金が給付される特例措置が実施されました。ただし、これは限定的であり、多くの自営業者・フリーランスは対象外でした。
・国民健康保険組合: 特定の業種では、国民健康保険組合に加入することで傷病手当金制度がある場合もあります。
収入が途絶えるリスク
・自営業者は、病気やケガで仕事ができなくなると、そのまま収入が途絶えてしまいます。
・公的医療保険は医療費の自己負担を軽減してくれますが、休業中の生活費は保障してくれません。
・この収入の空白期間が、家計に大きな影響を与えます。
医療保険と就業不能保険の組み合わせ
自営業者は、この収入の空白期間に備えるために、医療保険と「就業不能保険」を組み合わせるのが効果的です。
医療保険の役割:
入院や手術でかかる医療費の自己負担分をカバーします。
就業不能保険の役割:
・病気やケガで長期間働けなくなった際の収入減を補います。
・給付金は、治療費だけでなく、生活費や事業の運転資金など、自由に使うことができます。
医療保険と就業不能保険の賢い組み合わせ方

医療保険と就業不能保険は、それぞれ異なる役割を担うため、2つの保険を組み合わせることで、万全の備えができます。
医療保険の保障内容
入院給付金:
入院日数に応じて支払われる給付金です。1日あたり5,000円〜10,000円といった形で設定します。
手術給付金:
手術を受けた場合に、まとまった金額が支払われる給付金です。入院給付金で設定した金額に、手術内容に応じた倍率を乗じて計算されるケースが一般的です。実費をカバーするタイプもあります。
先進医療特約:
公的医療保険の対象外となる先進医療の技術料を補償します。
就業不能保険の保障内容
給付金の支払い条件:
・病気やケガで長期間働けない状態が続いた場合に、給付金が支払われます。
・多くの保険では、給付金が支払われるまでに一定の**免責期間(30日、60日など)**があります。
給付金額:
・月額10万円、20万円といった形で設定します。
・必要な生活費や事業の運転資金を考慮して、給付金額を決めましょう。
保険料を抑えつつ、手厚い保障を確保するポイント

自営業者の場合、保険料はすべて自己負担です。家計を圧迫しないよう、保険料を抑えつつ、手厚い保障を確保するポイントを見ていきましょう。
医療保険料を安くする方法
保障内容を厳選する:
入院給付金日額を少額に抑えたり、不要な特約を外したりして、保険料を安くできます。
払込期間を見直す:
終身型の医療保険に加入している場合、保険料を一生涯払い続ける「終身払い」と、60歳や65歳など、一定期間で支払いを完了する「有期払い」があります。
就業不能保険料を安くする方法
免責期間を長くする:
免責期間を長く設定するほど、保険料は安くなります。
給付期間を短くする:
60歳までなど、給付期間を短く設定することで、保険料を安くできます。
まとめ:自営業者は「医療」と「収入」の両方に備える
自営業者にとって、医療保険は、会社員に比べて公的保障が薄いことを理解した上で、手厚い保障を確保することが重要です。
・傷病手当金がないことを理解し、医療保険だけでなく就業不能保険も活用し、万が一の際の収入減に備えましょう。
・医療保険で入院・手術費用に備え、就業不能保険で収入減に備えるという、2つの保険を組み合わせることで、万全の備えができます。
自営業者として働く上で避けられないリスクに対し、この記事の内容を参考に医療保険と就業不能保険の組み合わせを検討し、あなたの事業と生活を守る保障体制を構築しましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。