住宅ローン
フラット35の融資限度額は1億2,000万円に|2026年4月の引き上げ内容と借入額の考え方

フラット35の融資限度額は、2026年4月の資金実行分から8,000万円が1億2,000万円に引き上げられました。
2005年に5,000万円から8,000万円となって以来、約20年ぶりの見直しです。
ただし、限度額まで借りられるわけではありません。借入額の上限は年収に対する総返済負担率(年収400万円未満は30%以下・400万円以上は35%以下)で決まり、「借りられる額」と「返せる額」も別の話です。
この記事では、引き上げの内容と同時に変わった点、借入額の考え方を住宅金融支援機構の情報をもとに解説します。
2026年4月から何が変わったか|限度額1.5倍と床面積の緩和

今回の見直しは、2025年11月に閣議決定された総合経済対策を受け、令和7年度補正予算に伴う制度拡充として住宅金融支援機構が2025年12月23日に発表しました。
柱は次の4つです。
・融資限度額の引き上げ:8,000万円 → 1億2,000万円(2026年4月〜)
・一戸建て住宅等の床面積要件の緩和:70㎡以上 → 50㎡以上(2026年4月〜)
・借換融資の拡充:子育てプラスが借換でも利用可能に、借入期間の基準を40年に延長(2026年3月〜)
・特定残価設定ローン保険の創設(2026年3月〜)
背景には、住宅価格の上昇と「金利のある世界」の定着があります。
8,000万円を超える住宅ローンを使う人にも全期間固定の安心を届けることが、引き上げの目的とされています。
出典:住宅金融支援機構「令和7年度補正予算に伴う制度拡充のお知らせ」(令和7年12月23日)
限度額は「1億2,000万円以下・購入価額の範囲内」
引き上げ後の借入額は、100万円以上1億2,000万円以下で、建設費または購入価額の範囲内です。
公式サイトの利用条件も現在はこの金額に更新されています。なお、借入額が購入価額等の9割を超えると、9割以下の場合より高い金利が適用される点は従来どおりです。
床面積は一戸建て50㎡以上に|対象が広がった
一戸建て住宅等の床面積の下限は、70㎡以上から50㎡以上に緩和されました。
2026年3月31日以前に物件検査の手続きをした住宅は70㎡以上のままのため、時期によって扱いが分かれます。コンパクトな戸建てや平屋も対象に入りやすくなり、限度額の引き上げとあわせて利用の間口が広がったといえるでしょう。
フラット35の基本と利用条件(2026年8月時点)

制度拡充を活かす前提として、仕組みと利用条件を確認します。
2026年8月時点の内容です。
機構と民間金融機関が連携する全期間固定ローン
フラット35は、民間金融機関の住宅ローンを住宅金融支援機構が買い取り、証券化する仕組みで長期の全期間固定金利を実現しています。
保証料は不要、繰上返済手数料も無料で、団体信用生命保険への加入は任意です。金利や融資手数料は取扱金融機関ごとに異なり、実際に適用されるのは申込時ではなく融資実行時の金利になります。
申込者・借入の主な条件
主な条件は次のとおりです。
・申込時の年齢が満70歳未満(完済時80歳未満)で、借入期間は原則15年以上35年以下
・年収に占めるすべての借入の年間返済額の割合(総返済負担率)が、年収400万円未満は30%以下・400万円以上は35%以下
・住宅金融支援機構の技術基準に適合し、物件検査で適合証明書を取得すること
総返済負担率には、住宅ローンだけでなく自動車ローンやカードローンなどすべての借入の返済額が含まれます。
ここが次の「借りられる額」の計算に直結します。
出典:住宅金融支援機構「年収による借入額などの制限はありますか」
限度額1億2,000万円と「借りられる額」は別

限度額が上がっても、誰もがその金額まで借りられるわけではない点が本題です。
実際の上限は総返済負担率から逆算されます。
年収500万円なら年間返済175万円が上限
年収500万円の場合、総返済負担率35%の基準から、年間の返済額はすべての借入を合わせて175万円(月約14.6万円)が上限です。
たとえば自動車ローンを月3万円返していれば、住宅ローンに充てられるのは月約11.6万円までになります。年収400万円未満では基準が30%に下がるため、年収350万円なら年間105万円(月約8.7万円)が上限です。
基準は「上限」であって「適正」ではない
この基準はあくまで審査の上限であり、家計にとっての適正額ではありません。
負担率は額面年収に対する割合のため、税金や社会保険料を引いた手取りで見ると、実際の重さは数字以上になります。教育費や老後資金と並走できるかという視点まで、審査は見てくれないのです。
「返せる額」から逆算する
順序を逆にするのが実務的な考え方になります。
毎月の家計から住居費に回せる額を先に決め、その範囲で借入額を設定します。フラット35は返済額が完済まで確定するため、この「先に決める」やり方と相性がよい住宅ローンです。
金利引下げメニューと2026年の拡充点

一定の条件を満たすと、当初期間の金利引下げを受けられる制度があります。
省エネルギー性や耐震性の高い住宅を対象とするフラット35Sと、子育て世帯・若年夫婦世帯向けのフラット35子育てプラスが代表例です。引下げ幅や対象条件は年度ごとに見直されるため、検討時点の内容を機構のサイトで確かめる必要があります。
2026年3月からは、これまで対象外だった借換融資でも子育てプラスを使えるようになりました。
変動金利からの借り換えを考える子育て世帯には、選択肢が広がる変更です。
まとめ|限度額より先に「返せる額」を決める
フラット35の融資限度額まわりの要点をまとめます。
・融資限度額は2026年4月の資金実行分から1億2,000万円(8,000万円から約20年ぶりの引き上げ)
・一戸建て等の床面積要件は70㎡以上から50㎡以上に緩和。コンパクトな住宅も対象に
・借入額の実際の上限は総返済負担率(年収400万円未満30%・400万円以上35%)で決まり、すべての借入が含まれる
・年収500万円なら年間返済175万円(月約14.6万円)が上限。基準は上限であって適正額ではない
・借入額が購入価額等の9割を超えると金利が高くなる
・借換融資でも子育てプラスが利用可能に(2026年3月〜)
限度額の引き上げは選択肢を広げますが、借りてよい額を決めるのは制度ではなく家計です。
「いくらまで借りられるか」より先に「毎月いくらなら返せるか」から逆算してみてはいかがでしょうか。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司による執筆です。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムでご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズにお調べいただけるでしょう。
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