医療保険
子どもに医療保険は必要?自治体の助成を確かめてから考える

こども家庭庁の調査によると、令和7年4月1日時点で全ての都道府県と市区町村がこどもに係る医療費の助成を実施しています。
市区町村では通院・入院ともに18歳年度末(高校生まで)を対象とするところが最も多く、1,741市区町村のうち通院で1,576、入院で1,600にのぼります。
民間の保険を比べる前に確かめたいのは、住んでいる自治体でどこまで助成されるのかという点です。
この記事では、子どもの医療費に関する公的な助成の実情と、保険を考えるときの順番を解説します。
子どもの医療費はどこまで公的に賄われるのか

子どもの医療費は、国の制度と自治体の助成が二段構えになっています。
国の制度で就学前は2割
こども家庭庁によると、国として医療保険制度において就学前児童の医療費の自己負担を3割から2割に軽減しています。
これに加えて、地方自治体独自の助成制度により自己負担の更なる軽減が図られているという構造です。
すべての市区町村が助成を実施している
令和7年4月1日時点で、全ての都道府県および市区町村がこどもに係る医療費の助成を実施していました。
助成があるかないかではなく、どこまで助成されるかが地域による違いになります。
最も多いのは18歳年度末まで
市区町村における対象年齢は、通院・入院ともに18歳年度末(高校生まで)が最も多くなっています。
1,741市区町村のうち、通院で1,576、入院で1,600がこの区分です。
所得制限を設けていない市区町村は通院で1,692、一部自己負担のない市区町村は通院で1,319にのぼり、多くの地域では子どもの医療費の負担が小さく抑えられています。
出典:こども家庭庁「令和7年度『こどもに係る医療費の助成についての調査』について」(令和7年12月24日)
それでも地域による差は小さくない

最も多い区分に当てはまらない地域もあり、条件の付き方も一様ではありません。
対象年齢・所得制限・自己負担の3つが自治体ごとに違う
同じ調査では、対象年齢のほかに所得制限の有無と一部自己負担の有無も調べられています。
通院では、所得制限ありが49市区町村、一部自己負担ありが422市区町村ありました。
対象年齢が18歳年度末までであっても、所得や窓口負担の条件が付く地域はあるということです。
同じ都道府県内でも異なる
北海道を例にとると、札幌市は通院・入院とも18歳年度末までを対象としながら、所得制限と一部自己負担の両方があります。
一方、旭川市は対象年齢が15歳年度末までで、所得制限と自己負担はどちらもない形です。
どちらが有利かは家庭の状況によって変わるため、住んでいる市区町村の条件を実際に確かめる以外にありません。
転居すると前提が変わる
転勤や引っ越しで市区町村が変われば、助成の条件もそのまま変わります。
保険を長く持ち続ける前提で考えるときは、この点も見込んでおきます。
助成されない費用は何か
助成の対象になるのは、公的医療保険が適用される医療費の自己負担分です。
保険が使えない費用は対象にならない
差額ベッド代や文書料、入院中の食事代、通院にかかる交通費などは、公的医療保険の対象外のため助成もされません。
入院が長引けば、こうした費用が積み上がります。
親が仕事を休む影響
子どもの入院に付き添うために親が仕事を休めば、その分の収入が減ることもあります。
子どもの医療保険が埋められるのは医療費の部分だけで、収入が減る分は別の備えになります。
保険を考えるときの順番

商品を比べる前に、埋めるべき金額が見えていなければ判断のしようがありません。
まず自治体の条件を調べる
住んでいる市区町村の窓口や公式サイトで、対象年齢・所得制限・一部自己負担の3つを確かめます。
こども家庭庁の調査には全市区町村の一覧が載っているため、ほかの地域と比べたい場合にも使えます。
次に埋めたい金額を出す
助成されない費用と、親が仕事を休んだ場合の影響を書き出し、預貯金で賄える範囲かどうかを見ます。
賄えるのであれば、保険で備える必要性は下がります。
学資保険に保障を足すと貯蓄の効率は下がる
学資保険に医療の特約を付けると、その分の保険料は掛け捨てになるため、払い込んだ総額に対して受け取る学資金の割合は下がります。
教育資金を貯めるという学資保険の目的から見れば、保障を足すほど本来の役割はぼやけた形になります。
保障が必要なら保障の商品で、貯めるなら貯める手段で、と分けたほうが、それぞれの中身を比べやすい形です。
相談の場で見かけること
住んでいる自治体の助成内容を知らないまま、子どもの保険に加入している例に出会います。
加入してはいけないという話ではなく、埋めるべき差額を知らないまま契約すると、必要な額との過不足が分からなくなるという話です。
まとめ:まず自治体の3つの条件を確かめる
子どもの医療費は、公的な助成が広く行き渡っている分野になります。
要点は次のとおりです。
・令和7年4月1日時点で、全ての都道府県と市区町村がこどもに係る医療費の助成を実施している
・市区町村では通院・入院ともに18歳年度末までが最も多い(通院1,576・入院1,600/1,741市区町村)
・所得制限なしは通院で1,692市区町村、一部自己負担なしは通院で1,319市区町村
・差額ベッド代や文書料、食事代、通院の交通費は助成の対象外
・学資保険に医療の特約を足すと、その分の保険料は掛け捨てになる
共済か学資保険の特約かを比べる前に、住んでいる市区町村の対象年齢・所得制限・一部自己負担の3つを確かめ、助成で賄えない部分がいくらあるのかを先に出すことが、過不足のない備えにつながります。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆した内容です。
当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。
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