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粉瘤の手術は医療保険の給付対象になる?手術給付金の2つのタイプと請求前の確認ポイント

粉瘤(アテローム)は皮膚の下にできる良性の腫瘍で、手術による切除が根本的な治療法です。粉瘤の手術は公的医療保険(健康保険)の適用対象であり、自己負担は比較的少額に抑えられます。しかし、民間の医療保険から手術給付金を受け取れるかどうかは、加入している保険の契約内容によって異なります。特に「約款所定の88種(89種)の手術」を対象とするタイプと「公的医療保険対象の約1,000種の手術」を対象とするタイプの違いを理解しておかないと、請求できるのに請求していない、あるいは請求したのに対象外だったという事態になりかねません。この記事では、実際に粉瘤の手術を経験し手術給付金を受け取った体験も踏まえ、請求前に確認すべきポイントを整理します。
粉瘤とは|良性でも手術が必要になるケース

粉瘤は「表皮嚢腫」とも呼ばれ、皮膚の内部に角質や皮脂が溜まった袋状の腫瘍です。自然に治ることはなく、放置すると徐々に大きくなり、細菌感染を起こすと炎症や痛み、臭いを伴うこともあります。手術で袋ごと摘出しないと根本的には治らないため、大きくなる前に切除を検討するのが一般的です。
筆者自身も後頭部に粉瘤ができた経験があります。当初は悪性腫瘍ではないかと不安になりましたが、医師から良性のアテロームと診断されました。大きくなるにつれて頭全体に不快感が出てきたため、切除手術を受けることにしました。
粉瘤の切除費用と手術給付金の体験

粉瘤の切除手術は健康保険が適用されるため、自己負担額は比較的少額で済みます。筆者の場合は手術代を含めて3割負担で約30,000円でした。粉瘤の大きさや部位によって費用は異なりますが、露出部(顔・首・肘から下・膝から下など)の2cm未満の粉瘤であれば、3割負担で5,000円〜10,000円程度が目安です。
筆者はこの手術後、加入していた民間の医療保険に給付金を請求し、手術給付金5万円を受け取ることができました。粉瘤の手術は日帰りで行われることが多いため、入院給付金ではなく外来手術給付金として支払われるのが一般的です。
手術給付金の2つのタイプ|粉瘤が対象になるかの分かれ目

医療保険の手術給付金には、対象となる手術の範囲が異なる2つのタイプがあります。粉瘤の手術が給付対象になるかどうかは、このタイプの違いによって決まります。
出典:生命保険文化センター「手術したのに手術給付金が受け取れないのはなぜ?」
タイプ1:公的医療保険対象の約1,000種の手術を対象とするもの
現在の医療保険で主流のタイプです。公的医療保険(健康保険)が適用される手術であれば、原則として給付対象になります。粉瘤の切除手術は健康保険の適用対象であるため、このタイプの保険であれば手術給付金を受け取れる可能性が高いといえるでしょう。筆者が加入していたのもこのタイプでした。
ただし、公的医療保険の対象であっても、以下のような術式は多くの保険会社で手術給付金の対象外とされています。粉瘤の処置がこれらに該当する場合は給付されません。
・創傷処理(切り傷等の傷口を縫合した場合など)
・皮膚切開術(膿瘍を切開して排膿した場合など)
・デブリードマン(損傷組織や異物を除去した場合など)
・骨・軟骨・関節の非観血的整復術等
粉瘤の手術を受ける際は、医療機関に正確な術式名を確認し、保険会社に給付対象かどうかを事前に問い合わせることが重要です。「皮膚、皮下腫瘍摘出術」であれば給付対象となるケースが多いですが、「皮膚切開術」と記載された場合は対象外となる可能性があります。
タイプ2:約款所定の88種(89種)の手術を対象とするもの
以前から販売されている保険に多いタイプで、保険会社が約款で定めた手術のみが給付対象です。88種は大まかな分類であり、実際には約600種類の手術がカバーされていますが、粉瘤の手術がこのリストに含まれていない場合は給付金を受け取れません。
日帰り手術が給付対象かどうかも確認する
保険会社や商品によっては、入院を伴う手術のみが給付対象となっている場合があります。粉瘤の手術は日帰りで行われることが多いため、入院を伴わない外来手術でも給付される契約かどうかを確認しましょう。
粉瘤の手術経験があっても生命保険に加入できるか

粉瘤は良性の腫瘍であるため、手術で完治していれば、生命保険(医療保険)への加入に影響が出る可能性は低いと考えられます。ただし、審査基準は保険会社ごとに異なるため、以下の点に留意しましょう。
・完治していることが前提。治療中や経過観察中の場合は加入が難しいケースがある
・手術の時期や現在の健康状態によっては、「部位不担保」(特定の部位を一定期間保障対象外とする条件)が付く場合がある
・告知書で問われている「過去5年以内の手術歴」等に該当する場合は正確に告知する(告知義務違反は契約解除や保険金不払いの原因になる)
まとめ|粉瘤の手術前に保険の契約内容を確認する
粉瘤の手術は公的医療保険の適用対象であり、自己負担は比較的少額です。しかし、民間の医療保険から手術給付金を受け取れるかどうかは契約内容によって異なります。
・粉瘤の切除手術は健康保険適用。3割負担で数千円〜30,000円程度
・手術給付金には「公的医療保険対象の約1,000種」と「約款所定の88種」の2タイプがある
・公的医療保険対象タイプでも、創傷処理・皮膚切開術・デブリードマン等は対象外とされることが多い
・術式名によって給付の可否が分かれるため、手術前に医療機関で正確な術式名を確認し、保険会社に問い合わせる
・日帰り手術でも給付されるかを確認する。入院を伴う手術のみが対象の契約もある
・粉瘤の手術経験があっても、完治していれば生命保険への加入に影響が出る可能性は低い
せっかく加入している医療保険を活用するためにも、手術を受ける前に契約内容を確認し、不明な点は保険会社に問い合わせましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しました。執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。



