税金(一般的な内容)
確定申告のやり方をわかりやすく解説|e-Tax・スマホ申告・還付申告の5年ルールまで

確定申告は、所得税の申告期間(毎年2月16日〜3月15日)だけでなく、還付申告であれば翌年1月1日から5年間いつでも提出できます。
令和7年分の確定申告(2026年提出分)では、iPhoneでも「スマートフォンのマイナンバーカード」が利用可能になり、マイナポータル連携で源泉徴収票やふるさと納税のデータが自動入力されるなど、手続きの負担が以前より軽くなったのが特徴です。
この記事では、e-Taxの2つの方式の違い、スマホ申告の最新対応状況、還付申告の5年ルール、間違えたときの修正手続きまで、確定申告の実務を整理して解説します。
確定申告の基本|申告期間と提出方法の全体像

確定申告の方法は大きく3つに分かれます。ここでは、それぞれの特徴と提出期限の基本を確認しておきましょう。
令和7年分の申告期間と提出先
令和7年分(2025年分)の所得税の確定申告期間は、令和8年(2026年)2月16日(月)から3月16日(月)までです。
贈与税の申告は2月2日から、個人事業者の消費税の申告は3月31日が期限となっています。提出先は、住所地を管轄する税務署長で、e-Taxによるオンライン送信、郵送、税務署窓口への持参のいずれかの方法で提出可能です。
なお、令和7年1月以降、確定申告書の控えに収受日付印が押されなくなりました。
書面で提出する場合は、控えの作成・保管や提出日の記録を自分で行う必要がある点に注意が求められます。
確定申告が必要な人・不要な人の判断基準
給与所得者の多くは年末調整で所得税の精算が完了するため、通常は確定申告の必要がありません。ただし、以下のようなケースでは確定申告が必要です。
・給与の年間収入が2,000万円を超える場合
・給与以外の所得(副業など)が年間20万円を超える場合
・2か所以上から給与を受けている場合
・年の途中で退職し、年末調整を受けていない場合
・住宅ローン控除を初めて受ける場合(2年目以降は年末調整で可能)
・医療費控除やふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合)の適用を受ける場合
一方で、確定申告の「義務」がないことと、確定申告を「しなくていい」ことは意味が異なります。
義務がなくても、医療費控除や寄附金控除で税金が戻る場合は還付申告として提出できるため、「義務がないから放置」では損をしている可能性があります。
e-Taxの仕組みと2つの方式の違い

e-Tax(国税電子申告・納税システム)を使えば、自宅からパソコンやスマートフォンで確定申告書の作成・送信が完結します。
現在、個人の利用方式は主に2つあり、それぞれ事前準備や使い勝手が異なります。
マイナンバーカード方式(推奨)
マイナンバーカードを使ってe-Taxにログインする方法で、国税庁が推奨している方式です。
初回はマイナンバーカードを読み取るだけで利用者識別番号の取得から送信までが完了し、次回以降もカードだけでログインできます。
必要なものは、マイナンバーカード、マイナンバーカード読取対応のスマートフォン(またはICカードリーダライタ)、利用者証明用電子証明書のパスワード(数字4桁)、署名用電子証明書のパスワード(英数字6〜16文字)の4点です。
ID・パスワード方式(暫定措置)
ID・パスワード方式は、2025年10月1日をもってID・パスワードの新規発行が停止されました。
すでに届出済みの方は引き続き利用可能ですが、これからe-Taxを始める場合はマイナンバーカード方式の一択です。
この方式では確定申告書等作成コーナーのみで利用可能で、民間の確定申告ソフトからの送信はできないという制約もあります。
スマホ申告の最新対応状況と注意点

スマートフォンでの確定申告は年々対応範囲が拡大しており、令和6年分(2025年提出分)からは所得税のすべての画面がスマホに対応しました。
さらに令和7年分では、iPhoneのマイナンバーカード機能への対応が主な変更点となっています。
「スマートフォンのマイナンバーカード」とは
マイナンバーカードの電子証明書機能をスマートフォン端末に搭載するサービスで、設定後は物理的なマイナンバーカードを読み取る手間が不要になります。
Android端末では先行して利用可能でしたが、2025年6月24日からはiPhoneでも対応しており、令和7年分の確定申告から実際に活用できるようになりました。
利用にはマイナポータルアプリでの設定が必要で、パスワード入力にスマホの生体認証機能を使えるため、操作がスムーズになる点もメリットといえるでしょう。
マイナポータル連携による自動入力
マイナポータル連携とは、マイナポータル経由で各種控除証明書等のデータを一括取得し、確定申告書に自動入力する機能です。対応する主なデータは以下の通りとなっています。
・給与所得の源泉徴収票(勤務先がe-Taxで提出している場合)
・医療費通知データ
・ふるさと納税の寄附金受領証明書
・生命保険料控除証明書
・iDeCo・国民年金基金の掛金データ
・公的年金等の源泉徴収票
連携を利用するには、事前にマイナポータルアプリで保険会社やふるさと納税ポータルサイトとの連携設定を済ませておくことが必要です。
確定申告シーズン直前に設定すると反映に時間がかかることがあるため、早めの準備が欠かせません。
スマホ申告の向き・不向き
給与所得と医療費控除やふるさと納税の組み合わせであれば、スマホ申告との相性は良好です。
一方、不動産所得の損益通算や株式の繰越損失の計算など、入力項目が多い場合はパソコンのほうが効率的でしょう。
青色申告決算書や収支内訳書もスマホで作成可能ですが、経費の仕訳が多い場合は画面の広いパソコンが適しています。
還付申告の5年ルール|知らないと損する仕組み

確定申告の義務がない給与所得者でも、源泉徴収で納めすぎた税金を取り戻せるのが還付申告の仕組みです。
還付申告は確定申告期間(2月16日〜3月15日)とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出可能で、この期間を過ぎると権利が消滅します。
還付申告の主なケース
国税庁のタックスアンサー(No.2030)では、給与所得者が還付申告できるケースとして以下を挙げています。
・年の途中で退職し、年末調整を受けていない場合
・住宅ローン控除の初年度
・災害や盗難で資産に損害を受けた場合(雑損控除)
・医療費が多額になった場合(医療費控除)
・ふるさと納税などの寄附金控除を受ける場合
・上場株式等の譲渡損失と配当所得の損益通算を行う場合
たとえば、2021年に支払った医療費が多額であったものの、当時は確定申告をしなかったケースでも、2026年12月31日までであれば還付申告が可能です。
過去5年分の源泉徴収票と医療費の領収書が手元にあれば、まとめて申告することもできます。
還付申告と確定申告の混同に注意
確定申告義務のある人が期限後に申告する場合は「期限後申告」にあたり、無申告加算税や延滞税の対象となります。
一方、還付申告はそもそも義務のない人が行う手続きであるため、期限後のペナルティはなく、5年以内であれば不利益なく提出できます。
この違いを混同して「3月15日を過ぎたからもう申告できない」と思い込んでいる方は少なくないでしょう。
確定申告を間違えたときの修正手続き

確定申告は提出後でも訂正が可能で、税額を多く申告した場合と少なく申告した場合で手続きが異なります。
期限内に間違いに気づいた場合
確定申告期限(原則3月15日)までに誤りに気づいた場合は、正しい内容で申告書を再提出すれば問題ありません。
後から提出したほうが有効な申告書として扱われます。
税額を多く申告していた場合(更正の請求)
納めるべき税額を実際より多く申告していた場合は、「更正の請求書」を所轄税務署長に提出することで、払いすぎた税金の還付を受けられます。
更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から5年以内です。
たとえば、医療費控除の対象となる費用を申告し忘れていた場合や、扶養控除の適用漏れがあった場合に利用できます。
税額を少なく申告していた場合(修正申告)
納めるべき税額が不足していた場合は、修正申告書を提出して差額を納付する必要があります。
修正申告には期限の定めはないものの、税務署の調査を受けた後に修正申告をした場合は、新たに納める税額に対して10%の過少申告加算税(悪質な場合は35%の重加算税)が課される点に注意が必要です。
自主的に修正申告をすれば、原則として過少申告加算税はかかりません。
e-Taxの実務上のメリットと注意点

e-Taxを利用する実務上の利点は、単に「税務署に行かなくて済む」だけではありません。
ここでは、控除額や添付書類の面から具体的なメリットと見落としやすい注意点を整理します。
青色申告特別控除65万円の要件
青色申告者が最大65万円の特別控除を受けるためには、複式簿記で記帳するだけでなく、e-Taxで申告データを送信するか、電子帳簿保存法に基づく帳簿を電子保存していることが要件です。
これらの要件を満たさない場合、控除額は55万円にとどまります。
年間10万円の控除差額は、所得税率20%の方であれば約2万円、住民税と合わせると約3万円の節税額の違いにつながるため、青色申告者にとってe-Taxの利用は実益のある選択といえるでしょう。
添付書類の省略と保管義務
e-Taxで送信する場合、源泉徴収票や各種控除証明書(生命保険料控除証明書など)の原本添付が省略できます。
ただし、省略された書類は5年間の保管義務があり、税務署から求められた場合には提示・提出しなければなりません。
「添付省略=捨ててよい」ではない点に注意が必要です。
電子証明書の有効期限に注意
マイナンバーカードに格納されている電子証明書の有効期限は、カードの発行日から5回目の誕生日に設定されています。
有効期限が切れているとe-Taxでの送信ができなくなるため、確定申告シーズン前に市区町村の窓口で更新手続きを済ませておくことが重要です。
引っ越し後に更新手続きをしていない場合も電子証明書が失効していることがあります。
公的保障を踏まえた確定申告の優先順位

確定申告の手続き自体に目が向きがちですが、「何の控除を申告するか」を考える前に、まず公的保障の全体像を把握しておくことが重要です。
控除申告の前に確認したい公的保障
たとえば、医療費控除を検討する前に、高額療養費制度(年収約370万〜約770万円の区分で月額約8〜9万円が自己負担の上限)をすでに利用しているかを確認しておきましょう。
高額療養費で払い戻された金額は医療費控除の対象となる医療費から差し引く必要があるため、実際に控除できる金額が想定より少なくなることがあります。
同様に、傷病手当金(給与の約2/3、最長1年6か月)や遺族基礎年金(令和8年度:847,300円+子の加算243,800円)など、公的保障で受け取った給付が非課税であることも確定申告の前に確認しておきたいポイントです。
非課税の給付を申告書の収入欄に記載してしまうと、本来不要な税金を納めてしまう恐れがあります。
「確定申告で取り戻せるお金」の全体像を意識する
還付申告で取り戻せる可能性のある金額は、適用する控除の種類と税率によって変わります。
たとえば、所得税率20%の方が医療費控除15万円を申告した場合、所得税の還付は約3万円、住民税(税率10%)の軽減は約1.5万円で、合計約4.5万円の負担軽減です。
ふるさと納税のワンストップ特例を利用していた方が、後から医療費控除の確定申告をする場合、ワンストップ特例は無効になります。
確定申告書にふるさと納税の寄附金控除もあわせて記載しないと、ふるさと納税分の控除が受けられなくなる点は、実務上の落とし穴として押さえておきたいところです。
まとめ
確定申告は、e-Taxやスマートフォンの活用により、以前に比べて手続きの負担が軽減されました。
特に還付申告は5年間という提出期間が認められており、「義務がないから申告しない」のではなく、医療費控除や寄附金控除で税金が戻る可能性がないかを一度確認してみることをおすすめします。
確定申告は税額の計算だけで完結するものではなく、公的保障で受けられる給付を把握したうえで、控除の優先順位を判断することが大切です。
高額療養費や傷病手当金といった公的保障と税制上の控除を組み合わせることで、家計全体の負担軽減につなげることができるでしょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。



