生命保険
生命保険を解約する前に確かめること|解約返戻金と税金、入り直せないリスク

生命保険を解約すると、その時点で保障はなくなります。
早い時期に解約した場合の解約返戻金は払い込んだ保険料の総額を下回ることが多く、税金の面では、保険料を負担した人と受け取る人の関係によって所得税か贈与税の対象になります。
健康状態によっては、同じような保険に入り直せない場合もあるのが実情です。
この記事では、解約する前に確かめることを、返戻金・税金・入り直しの3つの面から解説します。
早い時期の解約では、払込保険料を下回ることが多い

解約すれば払った保険料が戻る、とは限りません。
払った保険料をそのまま返すものではない
解約返戻金は、払い込んだ保険料をそのまま返すものではなく、保険会社が保険金の支払いに備えて積み立てているお金の一部から支払われる仕組みが一般的です。
そのため、早い時期に解約すると払込保険料の総額を下回ることが多く、解約返戻金がない場合もあります。
掛け捨て型はほとんど戻らない
定期保険や一般的な医療保険のような掛け捨て型の保険では、解約返戻金がないか、あってもわずかなのが一般的です。
解約返戻金があるのは、主に終身保険や養老保険、学資保険のような貯蓄性のある保険になります。
契約者貸付があれば差し引かれる
契約者貸付を受けている状態で解約すると、受け取れる解約返戻金は、貸し付けを受けた金額と利息を差し引いた額になるのが一般的です。
解約する前に、保険会社に解約返戻金の額と、差し引かれるものがないかを確かめます。
解約返戻金に税金がかかる場合

解約返戻金には、受け取る人によって所得税か贈与税がかかることがあります。
誰が保険料を払い、誰が受け取るかで税金が変わる
国税庁によると、生命保険契約の満期や解約により保険金を受け取った場合は、保険料の負担者と保険金の受取人が誰であるかにより、所得税か贈与税のいずれかの対象になります。
保険料を負担した人が自分で受け取る場合は所得税、負担した人と受け取る人が異なる場合は贈与税の対象です。
一時金で受け取れば一時所得
保険料の負担者と受取人が同じで、一時金で受け取った場合は一時所得になります。
その年にほかの一時所得がなければ、一時所得の金額は受け取った額から払い込んだ保険料を差し引き、さらに特別控除額(最高50万円)を差し引いた額で、課税の対象になるのはその2分の1です。
5年以内の解約は別の扱いになる場合がある
一時払養老保険などで保険期間が5年以下のもの、または保険期間が5年を超えていても5年以内に解約されたものは、源泉分離課税が適用され、源泉徴収だけで課税関係が終わります。
一時払いの保険を早めに解約するときは、この扱いにあたるかを保険会社に確かめます。
出典:国税庁「No.1755 生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき」
給与所得者の確定申告
1か所から給与を受けていて給与の収入金額が2,000万円以下の人は、原則として年末調整で税額が精算されるため、確定申告は不要です。
ただし一時所得だけがある場合は、2分の1にした課税の対象となる金額が20万円を超えるかどうかで、確定申告が必要かを判断します。
出典:国税庁「No.1903 給与所得者に生命保険の満期返戻金などの一時所得があった場合」
解約すると失うもの

解約で手放すのは、お金だけではありません。
保障と契約者貸付がなくなる
解約するとその時点で保障はなくなり、解約返戻金の範囲内でお金を借りられる契約者貸付も使えなくなります。
家族のために残しておきたい保障がないかを、解約する前に確かめます。
同じ条件で入り直せるとは限らない
解約した後で保障が必要になって入り直そうとしても、健康状態によっては同じような保険に入れるとは限りません。
年齢が上がれば、保険料も高くなるのが一般的です。
相談の場で見かけること
相談の場でも、保険料の負担を軽くしたい一心で、家族に必要な保障まで解約しようとしていた例に出会います。
解約するかどうかは、保障の必要性と、解約で戻るお金の両方を並べて決めるものです。
解約の前に確かめる順番
解約は、ほかの方法と比べてからでも遅くありません。
本当に不要かを確かめる
まず、その保障がなくなったときに家族の暮らしがどうなるかを考え、本当に不要かを確かめます。
公的な遺族年金などで足りるかも、あわせて見ておきます。
解約以外の方法も比べる
保険料の負担を軽くしたいだけであれば、保険金額を減らす減額や、保険料の払い込みをやめて保障を小さくする払済保険といった方法もあります。
それぞれ条件があるため、保険会社に取り扱いを確かめます。
返戻金と税金を確かめてから決める
解約返戻金の額、差し引かれるもの、税金がかかるかを確かめたうえで、最後に解約を決めます。
新しい保険に入り直す場合は、新しい契約が決まってから古い契約を解約する順番で進めます。
まとめ:何が戻るかより、何を失うかを先に確かめる
生命保険の解約は、お金が戻るかより、何を失うかを先に確かめることになります。
要点は次のとおりです。
・早い時期の解約では、解約返戻金は払込保険料の総額を下回ることが多い
・掛け捨て型の保険は、解約返戻金がないか、わずかなのが一般的
・保険料の負担者と受取人が同じなら所得税(一時金で受け取れば一時所得)、異なれば贈与税の対象になる
・一時払養老保険などを5年以内に解約した場合などは、源泉分離課税になる場合がある
・解約すると保障はなくなり、健康状態によっては同じような保険に入り直せないこともある
解約する前に、その保障が本当に不要か、減額や払済保険で足りないか、解約返戻金と税金はどうなるかを確かめ、入り直す場合は新しい契約が決まってから古い契約を解約することが、必要な保障まで手放さない進め方になります。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆した内容です。
当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。
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