医療保険
医療保険の告知義務とは?違反した場合の扱いと、迷ったときの対応

医療保険の告知は、保険会社が告知を求めた事項に回答する形で行うものです。
故意または重大な過失で告知義務に違反すると保険会社は契約を解除できますが、募集人が告知を妨げた場合など、解除が認められない場合も保険法に定められています。
解除された場合でも、告知されなかった事実と支払事由の発生との間に因果関係がなければ、保険会社は保険金を支払う必要があります。
この記事で扱うのは、告知義務の内容と違反した場合の扱い、そして迷ったときの対応です。
告知義務とは何か

告知は、思い当たることをすべて自分から書き出す作業ではありません。
保険会社が告知を求めた事項に回答する
保険法では、告知義務の内容を、保険会社が告知を求めた事項に応答する義務として定めています。
生命保険文化センターによると、この告知は、支払事由の発生の可能性に関する重要な事項のうち保険会社が告知を求めた事項について、保険契約者等が回答する形で行うことになっています。
問われた事項には正確に答える
聞かれていないことを自分で探して申告する義務ではない一方、告知書で問われた事項には正確に答える必要があります。
判断に迷う項目があれば、自己流に解釈せず、保険会社や募集人に確かめながら記入するのが確実です。
違反した場合に何が起きるか

保険法は、解除できる場合と解除できない場合の両方を定めています。
故意または重大な過失があると解除できる
保険契約者等が故意または重大な過失により告知義務に違反した場合、保険会社は保険契約を解除することができます。
条文が要件としているのは故意または重大な過失であり、あらゆる記入の誤りが直ちに解除に結びつくという定めではありません。
保険会社が解除できない場合もある
一方で、保険法は保険会社が解除をできない場合も定めています。
・保険契約の締結時に、保険会社がその事実を知っていた、または過失によって知らなかったとき
・募集人などの保険媒介者が、保険契約者等の告知を妨害したとき
・募集人などの保険媒介者が、告知義務違反を勧めたとき
・保険会社が解除の原因があることを知ってから1か月間、解除をしなかったとき
・保険契約の締結の時から5年を経過したとき
募集人から「その通院は書かなくてよい」と言われて記入しなかった場合などは、この解除ができない場合にあたります。
ただし、そうした行為がなかったとしても告知義務違反があったと認められるときは、解除ができる扱いです。
解除されても因果関係がなければ支払われる
告知義務違反によって保険契約が解除された場合、その効力は将来に向かってのみ生じますが、それまでに発生した支払事由について保険会社は保険金を支払う必要はありません。
ただし、告知されなかった事実と支払事由の発生との間に因果関係がない場合には、保険会社は保険金を支払う必要があります。
出典:公益財団法人 生命保険文化センター「保険法の概要(各論)」
期間の定めと約款の関係
解除できる期間については、保険法と約款の関係を知っておくと読み違えずに済みます。
保険法では締結から5年で解除権が消滅する
保険法では、保険会社が解除の原因があることを知ってから1か月間解除をしなかったとき、または保険契約の締結の時から5年を経過したときは、解除をすることができないとされています。
これは解除権が消滅する期限を定めたものです。
解除できる期間は約款で確かめる
生命保険文化センターによると、告知制度に関する保険法の規定は片面的強行規定であり、保険法の規定よりも保険契約者等に不利な内容の約款の定めは無効となります。
ただし、保険会社が保険契約を解除できる期間についての規定は、この片面的強行規定の対象外です。
契約している保険で解除の期間がどう定められているかは、約款で確かめることになります。
迷ったとき、気づいたときの対応

告知について相談を受けるのは、契約の前と後という2つの時点です。
契約の前:迷う項目は確かめてから書く
診断や治療の時期があいまい、通院が健康診断の再検査だった、といった判断に迷う項目は珍しくありません。
自己判断で省かず、保険会社や募集人に確かめたうえで告知書に記入します。
相談の場でも、告知を心配して加入自体をためらう方がいますが、正確に告知したうえで引き受けるかどうかを決めるのは保険会社の側です。
契約の後:気づいたら保険会社に連絡する
契約の後に記入内容の誤りに気づいた場合は、そのままにせず保険会社へ連絡します。
どのような扱いになるかは告知の内容や契約の状況によって変わるため、契約している保険会社に確かめることになります。
「発覚するか」を軸にしない
告知の判断を「調査で分かるかどうか」で決めると、いざ請求するときに保険金や給付金を受け取れず、それまで払った保険料も戻らないという結果を招きかねません。
保険は請求の場面で機能してはじめて意味を持つため、契約の時点で正確に伝えておくことが、保障を確かなものにする方法です。
まとめ:告知は請求のときに効いてくる
告知義務は、内容と違反した場合の効果の両方が保険法に定められています。
要点は次のとおりです。
・告知義務は、保険会社が告知を求めた事項に回答する形で果たすもの
・故意または重大な過失による違反があると、保険会社は契約を解除できる
・保険会社が事実を知っていた場合や、募集人が告知を妨げた場合などは解除できない
・保険法では、解除の原因を知ってから1か月、契約の締結から5年で解除権は消滅する
・解除されても、告知されなかった事実と支払事由に因果関係がなければ保険金は支払われる
告知は「発覚するかどうか」ではなく、請求のときに保障が働くかどうかの問題であり、迷う項目は保険会社に確かめてから正確に記入することが、支払いを確かにする進め方になります。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆した内容です。
当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。
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