生命保険
保険を3社に分けているときの請求もれ|診断書代より大きい損失を防ぐ確認手順

生命保険文化センターは、複数の契約がある場合はすべての保険証券を確認するよう促し、請求もれが生じやすい7つの事例を挙げています。
複数社に分けて加入していると、請求のたびに診断書代がかかる点は気になるところでしょう。
ただし、複数契約がある場合に気にすべき金額は、それだけではありません。
本記事では生命保険文化センターの公開資料をもとに、請求もれを防ぐ確認の順序を説明します。
診断書代と請求もれ、どちらの金額が大きいか

3社に加入していて入院した場合、診断書を何通も取る必要があるのかは気になるでしょう。
ただし、その前に金額の規模を比べておきたいところです。
診断書代には決まった料金がない
診断書の発行手数料は医療機関が定めており、公的な統一料金があるわけではありません。
仮に1通7,000円として3通取れば2万1,000円という計算です。
一方、受け取れる給付金の額は、日額や給付倍率など契約の内容によって決まります。
請求を1つ見落とせば、その契約から受け取れたはずの給付金がまるごと手元に残りません。
診断書代を惜しんだ結果としては、割に合わない話でしょう。
費用を抑える工夫はもちろん有効
診断書代を抑えたいという発想自体は合理的なものでしょう。
提出書類の取扱いは生命保険会社ごとに定められているため、コピーで代用できるか、診断書なしで請求できる場合があるかは、各社に確認する形になります。
ただし公開資料で確認できるのは、生命保険会社から必要書類が案内され、所定の請求書に必要事項を記入して診断書などの必要書類を揃えて提出する、という流れまででした。
具体的な取扱いは公表されていないため、病院に診断書を依頼する前に各社へ問い合わせる順序になります。
請求もれが生じやすい7つの事例

生命保険文化センターは、請求もれが生じやすい場合を事例で示しています。
複数契約に関するものと、入院・手術・通院に関するものに分かれていました。
複数の契約・特約がある場合の3事例
同センターが挙げているのは、次の3つです。
・1つの契約に複数の特約を付加している場合:特定(三大)疾病保障特約と疾病入院特約を付加していて、がん治療のために入院したときは、両方の特約から保険金・給付金を受け取れる可能性がある
・被保険者は同一で、契約者が異なる複数の契約がある場合:医療保険A(契約者・被保険者=自分)と医療保険B(契約者=家族、被保険者=自分)があり、入院したときは、両方の契約から給付金を受け取れる可能性がある
・複数の生命保険会社と契約している場合:A社で医療保険を、B社でがん保険を契約していて、がん治療のため入院したときは、両社の契約から給付金を受け取れる可能性がある
3社に分けて加入している場合、3つ目の事例にそのまま当てはまります。
2つ目の事例は、家族が契約者になっている契約が別にあるケースで、本人が把握していないこともある点に注意が必要でした。
入院・手術・通院に関する4事例
残り4つは、請求のタイミングや治療の経過に関するものです。
・緊急入院で手術をしたが死亡し、死亡保険金のみを請求した場合:入院給付金・手術給付金を受け取れる可能性がある
・入院中に入院給付金を請求した場合:診断書に記載された入院期間よりも後の入院期間分に対する入院給付金を受け取れる可能性がある
・転院して手術を受けた場合:A病院の入院期間分に対する入院給付金と、B病院の入院期間分に対する入院給付金・手術給付金を受け取れる可能性がある
・退院後に通院した場合:契約内容によっては、その後の通院に対する通院給付金を受け取れる可能性がある
入院中の請求については、入院中に医師へ診断書の記入を依頼すると、提出した診断書に退院までの入院日数が記載されていない場合があると説明されています。
早く請求したい気持ちが、かえって受取額を減らす形になりえます。
出典:生命保険文化センター「保険金・給付金の請求から受取りまでの手引 ポイント3」
3社に分けている人ほど確認が要る理由

事例を見ると、複数契約がもれの温床になっていることがわかります。
ここには構造的な理由がありました。
他社の契約は誰も教えてくれない
生命保険会社が把握しているのは、自社との契約内容だけです。
A社に請求しても、B社やC社の契約について案内が来るわけではありません。
そのため複数社に分散させた場合、契約全体を見渡せるのは契約者本人だけという状態になります。
生命保険文化センターがすべての保険証券を確認するよう促しているのは、この構造があるためでした。
主契約と特約の内訳まで確認する
もう一段細かい話として、1つの契約の中身もあります。
同センターは、1つの契約に複数の特約が付加されている場合などは、保険証券などで主契約・特約の内容をよく確認するよう促していました。
3社に加入していれば、契約は3つでも、給付の対象になりうる保障はそれ以上ある場合も考えられるでしょう。
「3社に連絡した」で終わらせず、各契約の主契約と特約を一つずつ確認するところまでが確認作業になるでしょう。
請求もれを防ぐ確認の順序

ここまでを、実際の手順にまとめます。
診断書を病院に依頼する前の段階から始めるのが要点です。
入院や手術が決まったらすること
次の順で進めると、費用と請求もれの両方に対応できます。
・すべての保険証券を集め、主契約と特約の内容を確認する
・家族が契約者になっている契約がないか、家族にも確認する
・各社に連絡し、支払対象になりうるかを伝えたうえで、必要書類を確認する
・その際、他社の診断書のコピーで代用できるか、診断書なしで請求できる場合があるかもあわせて聞く
・どの会社の書式で診断書を取るのが無駄が少ないかを確かめてから、病院に依頼する
この順序であれば、診断書代を抑えつつ、請求先の取りこぼしも防げます。
生命保険文化センターの案内も、保険証券や契約のしおり・約款で契約内容を確認したうえで、すみやかに生命保険会社の担当者やコールセンターなどへ連絡するという流れでした。
退院後にもう一度確認する
手続きは、給付金を受け取った時点では終わりません。
先ほどの事例のとおり、入院中に請求した場合や、退院後に通院が続く場合には、追加で受け取れる可能性が残ります。
受け取った後に届く明細書で内容と金額を確認し、想定と違う点があれば問い合わせるという流れにしておくと安心でしょう。
同センターは、保険金・給付金を受け取ったら明細書が送付されるため、受取内容や金額などを確認するよう促していました。
思い当たったら早めに連絡する
請求の手続きや期限に関する定めは、契約ごとの約款に置かれています。
過去の入院や手術で請求していないものに思い当たったら、契約している生命保険会社に問い合わせて確認する形になるでしょう。
出典:生命保険文化センター「保険金・給付金の請求から受取りまでの手引 ポイント1」
まとめ
複数の保険に加入している場合の請求について、公開資料から言えることは次のとおりです。
・生命保険文化センターは、請求もれが生じやすい場合として7つの事例を挙げている
・複数の生命保険会社と契約している場合は、両社の契約から給付金を受け取れる可能性がある
・家族が契約者になっている契約からも受け取れる可能性がある
・入院中の請求では、診断書に記載された期間より後の入院分がもれることがある
・転院した場合や退院後に通院した場合も、追加で受け取れる可能性がある
・診断書の取扱いは生命保険会社ごとの定めで、公表されていない
診断書代を気にする感覚そのものは正しいと言えます。
ただ、同じ手間をかけるなら、請求もれのほうに目を向けたほうが金額の効果は大きくなるでしょう。
先にすべての保険証券を集めて内容を確認し、そのうえで各社に連絡して必要書類を確かめる。
この順序にしておけば、診断書を何通取るべきかも同時にはっきりします。
分散して加入している以上、契約全体を把握できるのは本人だけという前提で動くのが確実でしょう。
本記事の執筆者は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司です。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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