がん保険
がん保険の見直し時期|治療の変化で保障が古くなるサインと乗り換えの注意点

がん保険を見直すべきかどうかの出発点は、加入後にがん治療の中身が大きく変わっている点にあります。
厚生労働省の令和5年患者調査では、悪性新生物(がん)の外来患者数は推計186.4千人で、入院患者数の106.1千人を上回る水準です。
古いがん保険は入院給付金を中心に設計されているケースが多く、通院治療が主流となった現在の医療実態と合わなくなっている可能性があります。
一方で、保障が古いからといって安易に解約して新しい保険に乗り換えると、免責期間の空白や健康状態による加入制限といったリスクが生じる点にも注意が必要です。
本記事では、がん治療の変化によって保障が古くなるサインと、見直しを検討するタイミング、そして乗り換え時に見落としやすい注意点を、商品提供者が書きにくい視点から解説します。
がん治療の変化で保障が古くなる

がん保険の見直しを考える前提として、加入した時期と現在とで、がん治療の形がどう変わったかを把握することが出発点となります。厚生労働省の統計データで確認します。
通院治療が入院を上回っている
厚生労働省の令和5年患者調査によると、悪性新生物(がん)の推計患者数は、入院が106.1千人であるのに対し、外来(通院)は186.4千人と、通院が入院を上回っています。
抗がん剤治療や放射線治療を通院で受けるケースが増え、入院せずに治療を続ける形が広がっている実態がうかがえます。
入院日数は短期化している
同じ患者調査では、悪性新生物の退院患者の平均在院日数は14.4日と公表されています。
かつての長期入院を前提とした治療から、短期入院と通院を組み合わせる治療へと変化しているため、入院日数に応じた給付だけでは治療の実態をカバーしきれない場合があります。
古いがん保険は入院給付金が中心
数十年前に加入したがん保険は、入院日額と手術給付金を保障の柱とした設計が一般的でした。
通院での抗がん剤治療や放射線治療への保障が手薄なケースがあり、現在のがん治療と保障内容にずれが生じている可能性があります。
見直しを検討するサイン

がん保険を見直すかどうかは、保障内容に次のようなサインがあるかで判断できます。自分の契約内容と照らし合わせてみることが役立ちます。
診断給付金がない・上皮内新生物が対象外
診断給付金(一時金)は、がんと診断された時点でまとまった金額を受け取れる保障で、治療法を問わず使えるのが特徴です。
古い契約では診断給付金が付いていない場合や、上皮内新生物(早期がん)が給付の対象外となっている場合があるため、約款で確認する余地があります。
通院・抗がん剤治療の保障が手薄
通院治療が主流となった現在、通院給付金や抗がん剤治療給付金の有無は保障の要となります。
入院給付金中心の古い契約では、通院での治療費をカバーしきれない可能性があるため、保障範囲を点検しておくことが大切です。
ライフステージや保険料払込の節目
結婚・出産・子の独立・定年といったライフステージの変化は、必要な保障を見直す自然なきっかけとなります。
また、保険料の払込期間が満了に近づくタイミングや、家計で保険料の負担を感じ始めたときも、保障内容を確認する節目です。
安易な乗り換えのリスク

保障が古いと感じても、すぐに解約して乗り換えるのは避けたい順序です。商品提供者は新商品への乗り換えを勧める立場にあるため、乗り換えの注意点は独立した視点で確認しておく必要があります。
解約と新規加入の間の免責期間
がん保険の多くには、契約後90日程度の免責期間(待機期間)が設けられており、この期間にがんと診断されても給付金は支払われません。
旧契約を解約してから新契約の免責期間が明けるまでの間に、保障が空白となる期間が生じる点に注意が必要です。
健康状態によっては新規加入できない
新しいがん保険に加入するには、健康状態の告知が求められます。
持病や健康診断の数値によっては、新規加入を断られたり、保険料が割増しになったりするケースがあるため、新契約の加入が確定してから旧契約を解約する順序が肝心です。
旧契約の条件が有利なケースもある
古いがん保険でも、診断給付金が複数回受け取れる設計や、保険料が割安な条件で契約できている場合があります。
単に「古いから」という理由で解約せず、現契約の保障内容と保険料を新契約と比較したうえで判断する視点が役立ちます。
公的保障とがん保険の役割分担

がん保険の保障額を考える際は、公的医療保険でどこまで賄えるかを把握しておくと、過不足のない見直しにつながります。民間保険で備えるべき範囲が明確になります。
高額療養費制度で自己負担は頭打ち
公的医療保険には高額療養費制度があり、年収約370〜770万円の方であれば1か月の医療費自己負担は80,100円+(医療費−267,000円)×1%で頭打ちとなります。
がんの入院・手術費も対象となるため、治療費の自己負担は一定額に抑えられる仕組みです。
診断一時金が通院治療時代に合う理由
高額療養費でカバーしきれないのは、差額ベッド代や通院の交通費、収入が減った分の生活費です。
使い道を問わない診断一時金は、通院治療で長期化する費用や収入減を幅広く補えるため、通院中心となった現在のがん治療と相性のよい保障といえます。
がんの既往がある場合の見直し

すでにがんの既往がある方は、見直しの選択肢が限られるため、現契約の継続も含めて慎重に検討する必要があります。
一般的ながん保険への加入は難しい
がんの既往がある場合、通常のがん保険への新規加入は難しいのが実情です。
そのため、現在加入している契約を安易に解約すると、新たな保障を確保できなくなる恐れがあるため、解約前に代替手段の有無を確認する順序が前提となります。
引受基準緩和型は条件と割高度合いを確認する
引受基準緩和型のがん保険は、一定の告知項目を満たせば加入できる場合がありますが、加入条件は保険会社や商品によって異なります。
治療終了からの経過年数などの条件があり、保険料も通常型より割高となるため、加入できる範囲と費用対効果を確認したうえで判断することが大切です。
まとめ:治療の変化を踏まえつつ乗り換えは慎重に
がん治療は通院中心へと移り、悪性新生物の外来患者数が入院患者数を上回るなど、古い入院給付金中心のがん保険は現在の治療と合わなくなっている可能性があります。
診断給付金の有無、上皮内新生物の扱い、通院保障の有無が、見直しを検討するサインとなります。
一方で、解約して乗り換える際は、免責期間の空白や健康状態による加入制限、旧契約の有利な条件といった点を確認し、新契約の加入が確定してから旧契約を解約する順序が肝心です。
がん治療の変化に保障が合っているかを点検しつつ、乗り換えは免責期間と健康状態のリスクを確認し、公的保障で足りない部分を診断一時金などで補う形に整えることが、過不足のないがん保険の見直しにつながります。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆した内容です。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。



