医療保険
うつ病・精神疾患の医療保険:保障の範囲と加入の難しさ

近年、うつ病や適応障害、パニック障害といった精神疾患は、決して珍しい病気ではなくなっています。しかし、これらの精神疾患を抱えている場合、「医療保険への加入は難しいのではないか」と不安に感じる方も多いでしょう。
この記事では、うつ病・精神疾患の治療費と、公的医療保険の対象について解説します。そして、精神疾患がある場合の医療保険の加入について、告知義務と加入の難しさを詳しく掘り下げます。持病があっても、安心して生活を送るための賢い保険戦略を提案します。
精神疾患の治療費と、公的医療保険の対象

精神疾患の治療には、通院でのカウンセリングや投薬が中心となります。これらの治療費は、公的医療保険の対象となります。
公的医療保険の適用と注意点
治療費の自己負担:
精神科での診察費や薬代、心理療法など、公的医療保険の対象となる治療の費用は、原則3割の自己負担となります。
自立支援医療制度:
精神疾患の治療を継続的に行う必要がある場合、この制度を利用することで、医療費の自己負担を1割に軽減できます。所得に応じて自己負担の上限月額が設定されており、高所得者の場合は対象外となることがあります。
入院期間の長期化:
精神病床の平均入院日数は、他の疾病と比べて約270日と長期化する傾向があります。
厚生労働省 令和4(2022)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況「病院報告」より
公的医療保険の対象外の費用
公的医療保険は、入院や通院の費用をカバーしてくれますが、以下の費用は対象外です。
差額ベッド代:
個室や少人数の病室に入った場合の費用です。
カウンセリング費用:
医師の診療ではない、心理カウンセラーによるカウンセリング費用は、公的医療保険の対象外です。
入院中の雑費:
日用品やテレビカード代など、入院生活でかかる雑費も自己負担です。
精神疾患の医療保険の加入

うつ病や精神疾患がある場合、医療保険に加入することは難しくなります。
通常の医療保険への加入
告知義務:
医療保険に加入する際は、健康状態や病歴、治療歴などを告知する義務があります。
加入の難しさ:
精神疾患がある場合、保険会社は、将来の入院や手術のリスクが高いと判断し、加入を断ることが一般的です。
引受基準緩和型保険の活用
精神疾患など持病がある方でも加入しやすいのが「引受基準緩和型保険」です。
加入しやすい:
通常の医療保険に比べて、告知項目が少なく、健康状態に不安がある方でも加入しやすいのが特徴です。
告知項目:
過去の入院・手術歴、最近3ヶ月以内の治療歴など、簡単な3〜5項目程度の質問に「いいえ」と答えられれば、基本的に加入できます。
告知義務と、加入の難しさ

医療保険に加入する際は、告知義務を正しく履行することが非常に重要です。
告知義務違反のリスク
告知義務違反:
告知書に事実と異なることを記載した場合、告知義務違反となります。
契約解除:
告知義務違反が判明した場合、保険会社は契約を解除し、給付金が支払われないことがあります。
精神疾患の告知のポイント
治療歴を正直に伝える:
過去に精神科に通院していた場合や、現在投薬治療を受けている場合は、その事実を正直に告知しましょう。
症状が安定していることをアピール:
症状が安定している場合、医師の診断書などを提出することで、保険会社が加入を検討してくれる可能性があります。
複数社への相談:
保険会社によって、告知の審査基準は異なります。複数の保険会社に相談することで、加入できる保険を見つけられる可能性が高まります。
まとめ:うつ病・精神疾患があっても保険加入を諦めない
うつ病・精神疾患と診断された場合、医療保険の加入は正直厳しいですが、最初からあきらめる必要はありません。
・引受基準緩和型保険など、持病がある方向けの保険を検討しましょう。
・加入時には、告知義務を正しく履行し、保険会社としっかり相談しましょう。
・専門家への相談:ご自身の健康状態や家計の状況に合わせて、保険の専門家に相談することで、最適な保険を選べます。
この記事を参考に、あなたに最適な医療保険を選び、安心して日々の生活を送りましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。