自動車保険
EVの自動車保険料は高い?高くなる理由・ガソリン車比較・安くするコツを解説

電気自動車(EV)の自動車保険料について、結論から申し上げると、EVだから一律に高くなるわけではなく、保険料は車種(型式)ごとの「型式別料率クラス」で決まります。
ただし車両本体価格の高さや修理費の影響で、車両保険を中心に割高になりやすい構造があるのも事実です。
一方で、衝突被害軽減ブレーキによるASV割引(9%)や走行距離に応じた割引で保険料を抑えられる余地もあります。
さらに近年は、EVに限らず自動車保険全体が修理費の高騰で値上がり傾向にある点も押さえておきたいところです。
本記事では、EVの保険料が決まる公的な仕組み(型式別料率クラス)、高くなりやすい理由、ガソリン車との比較、保険料を抑えるコツまで、損害保険料率算出機構の公開情報をもとに解説します。
EVの自動車保険料は「型式別料率クラス」で決まる

日本の自動車保険料は、EVかガソリン車かという区別ではなく、損害保険料率算出機構の「型式別料率クラス」という公的な仕組みに基づいて車種(型式)ごとに決まります。
型式別料率クラスの仕組み
型式別料率クラスは、車の型式ごとの事故・保険金支払いの実績をもとに、損害保険料率算出機構が毎年1月1日に見直しを行う制度です。
クラスの数字が小さいほど保険金の支払い実績が少なく、保険料は安くなる構造となっています。
・対象車種:自家用乗用車(普通・小型)はクラス1〜17、自家用軽四輪乗用車は7クラス
・設定区分:対人賠償・対物賠償・人身傷害(搭乗者傷害)・車両保険の4つごとに設定
・見直し:毎年1月1日に最新の事故実績を反映して更新
出典:損害保険料率算出機構「自動車保険 型式別料率クラスの仕組み」
新型EVは「新車価格」などでクラスが決まる
ここがEVの保険料を考えるうえでの要点です。
損害保険料率算出機構の資料によると、新しく発売された型式は保険データの蓄積がないため、自家用乗用車の場合、排気量や新車価格、発売年月などに基づいてクラスが決定されます。
車両本体価格が高いEVは、発売直後の車両保険のクラスが高めに設定されやすく、これが「EVの保険料は高い」と感じる構造的な背景です。
発売から年数が経過し事故実績が蓄積されると、実態に応じたクラスへ毎年見直されるため、車種によってはガソリン車と同水準に収まる場合もあります。
EVの保険料が高くなりやすい3つの理由

型式別料率クラスの仕組みを踏まえると、EVの保険料が割高になりやすい理由は次の3つに整理できます。
理由1:車両本体価格が高い
EVは同クラスのガソリン車より車両本体価格が高い傾向があり、車両保険の保険金額(補償の上限)も高く設定されます。
保険金額が高いほど車両保険の保険料は上がるため、保険料全体を押し上げる要因となります。
理由2:駆動用バッテリーの修理・交換費用
事故で駆動用バッテリーが損傷した場合、交換費用が高額になる場合があります。
修理費が高い型式は保険金の支払い実績も増えやすく、料率クラスの見直しを通じて保険料に反映されていく構造です。
理由3:専用部品・修理対応の特殊性
EVはモーターやインバーターなど専用部品が多く、修理に対応できる工場も限られる場合があります。
部品代や工賃が高くなれば、その分が保険金支払いを通じて保険料に織り込まれていきます。
ガソリン車との比較|保険料の決まり方は同じ仕組み

検索ニーズの高い「電気自動車とガソリン車の保険料比較」について整理すると、保険料の決まり方そのものは両者とも型式別料率クラスで共通です。
「EVだから高い」のではなく「車両価格が高く修理費もかさみやすい型式だから高くなりやすい」というのが正確な理解となります。
・保険料の仕組み:EVもガソリン車も型式別料率クラスで決定(同じ土俵)
・EVが不利になりやすい点:車両価格の高さ、バッテリー・専用部品の修理費
・EVが有利になりうる点:先進安全装備によるASV割引、走行距離が短い使い方なら距離割引
なお、維持費全体で見ると、EVは燃料費(電気代)がガソリン代より安く済みやすく、エコカー減税などの税制優遇もあります。
保険料単体ではなく、総保有コストで比較する視点が家計管理では現実的です。
EVに限らず自動車保険全体が値上がり傾向

「自動車保険がなぜ上がるのか」という疑問への回答として、近年はEVに限らず自動車保険全体が値上がり傾向にあります。
損害保険料率算出機構は2024年6月、自動車保険の参考純率(保険料のベースとなる料率)を平均5.7%引き上げました。
背景にあるのは修理費の高騰です。
カメラやセンサーを使った先進装備の普及で部品が高性能化・高額化したことに加え、物価上昇で部品代や塗料代も上がり、1事故あたりの保険金支払額が増えています。
参考純率の引き上げを受けて、各保険会社の保険料改定が順次行われているため、EVオーナーに限らず更新時に保険料が上がるケースが増えている状況です。
EV特有の補償選び|重要な3つのポイント

EVはガソリン車と異なるリスクを持つため、補償選びでは次の3点の確認が重要です。
ポイント1:高価なバッテリーへの備え
車両保険で駆動用バッテリーの損傷・交換費用が補償対象かを確認し、車両価格に見合った保険金額を設定しましょう。
保険金額を低く抑えすぎると、万一の際に修理費を賄えない可能性があります。
ポイント2:自宅充電設備の損害補償
自宅に設置した充電設備が火災や事故で損害を受けた場合に、火災保険や自動車保険のどちらで補償されるかは契約内容によって異なります。
充電設備を設置している場合は、加入中の保険の補償範囲を確認しておくと安心です。
ポイント3:ロードサービスのEV対応
電欠(バッテリー切れ)や充電トラブルに備え、契約のロードサービスがEVのレッカー移動や応急対応に対応しているかの確認も欠かせません。
ガソリン車の「ガス欠時の燃料補給」に相当するサービスが、EVでどう扱われるかは契約によって差があります。
EVの保険料を抑える3つのコツ

EVの保険料は、割引制度の活用で抑えられる余地があります。
コツ1:ASV割引(先進安全自動車割引)の活用
衝突被害軽減ブレーキ(AEB)を装着した車は、保険料が9%割引されるASV割引の対象です。
ただし適用されるのは保険始期日の属する年から3年前の4月以降に発売された型式に限られます。発売から約3年経過すると、安全装備の効果は割引ではなく型式別料率クラス自体に反映される仕組みへ移行するため、適用条件は契約時に確認しましょう。
コツ2:走行距離に応じた割引の活用
年間走行距離が短いほど保険料が安くなる料金体系を採用する保険会社があります。
EVを近距離の買い物や通勤中心で使う場合、距離区分の小さい契約を選ぶことで保険料を抑えられる可能性があります。
コツ3:契約方法・補償内容の見直し
インターネット経由の契約で割引が適用される場合があるほか、運転者の範囲限定や免責金額(自己負担額)の設定でも保険料を調整できます。
ただし補償を削りすぎると、高額になりがちなEVの修理費を賄えなくなるため、保険料と補償のバランスを確認しながら見直すことが大切です。
まとめ|EVの保険料は仕組みを理解して総コストで判断
電気自動車の自動車保険について、本記事のポイントを整理します。
・保険料の決まり方:EVもガソリン車も型式別料率クラス(乗用車1〜17、軽は7クラス)で決定
・新型EVが高くなりやすい構造:発売直後はデータがなく、新車価格などでクラスが決まるため車両価格の高いEVは車両保険が高めになりやすい
・業界全体の値上がり:参考純率が2024年6月に平均5.7%引き上げ、修理費高騰が背景
・EV特有の補償確認:バッテリー補償・充電設備・ロードサービスのEV対応
・保険料を抑えるコツ:ASV割引(9%)・走行距離割引・契約方法の見直し
EVの保険料は「高いか安いか」を単体で判断するのではなく、料率クラスの仕組みを理解したうえで、燃料費や税制優遇を含めた総保有コストで比較することが家計管理の鍵です。
保険料は毎年の料率クラス見直しや各社の改定で変わるため、更新のたびに補償内容と保険料のバランスを確認する習慣が、EVライフの安心と節約の両立につながるでしょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司による執筆です。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムでご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズにお調べいただけるでしょう。



