資産運用
金ETFと金投資信託の違い|取引方法・コスト・税金の3点で選び方を解説

金ETFと金投資信託は、どちらも証券口座を通じて金(ゴールド)に投資できる商品ですが、取引方法・コスト・税金の扱いに違いがあります。
売却益はどちらも上場株式等の譲渡所得として申告分離課税20.315%の対象となり、株式などとの損益通算ができます。一方、金地金の現物を売った利益は総合課税の譲渡所得で、年50万円の特別控除が使える別の体系です。
この記事では、両者の取引方法とコストの違い、金地金との税制の差、NISAで買えるかどうかの確認先までを、国税庁・金融庁・日本取引所グループの情報をもとに解説します。
金ETFと金投資信託の基本的な違い

両者に共通するのは、金価格に連動する運用成果を目指す点です。
違いが出るのは取引方法・購入単位・コストの3点になります。
取引方法の違い
金ETFは証券取引所に上場しているため、株式と同じように取引時間中であればリアルタイムで売買できます。
指値注文で価格を指定することも可能です。一方、金投資信託は1日1回算出される基準価額での取引となるため、注文の時点では約定する価格がわかりません。
購入単位と積立のしやすさ
購入単位は、金ETFが銘柄ごとに決まった口数単位であるのに対し、金投資信託は100円や1,000円といった少額から購入できる商品が多くなっています。
毎月一定額を自動で買い付ける積立設定は、金投資信託のほうが対応している金融機関が多く、手間をかけずに続けやすい方法です。
コスト構造の違い
保有中のコストは、どちらも信託報酬として日々の資産から差し引かれます。
金ETFは金投資信託より低めに設定されている傾向がありますが、金ETFには売買のたびに手数料がかかる場合もあるため、購入頻度によって有利不利が入れ替わります。
たとえば100万円を20年間保有した場合、信託報酬が年0.2ポイント違うと、累計のコスト差は4万円になる計算です(運用益を考慮しない単純計算)。
金額そのものは目立たなくても、保有額が増えるほど差は開いていきます。
金ETFを選ぶときに確認したい3つの欄

金ETFは日本取引所グループが銘柄一覧を公開しており、投資家が自分で比べられる形になっています。
2026年7月時点で金に連動するETFは8銘柄が上場しており、見ておきたい欄は次の3つです。
出典:日本取引所グループ「銘柄一覧(ETF)商品・商品指数」
①現物型か先物型か
金ETFには、実際の金地金を裏付け資産として保有する現物型と、金の先物取引で価格に連動させる先物型があります。
先物型は先物を乗り換えるコストがかかるため、長期で保有すると金価格との差が開きやすい構造です。東証が個人向けの参考情報として選定している「長期投資に向いている銘柄」にも、先物型は含まれていません。
②信託報酬の水準
信託報酬は銘柄によって年0.16%以内から0.4%まで幅があり、一覧表で横並びに比べられます。
ここで注意したいのは、最も低い水準の銘柄が先物型である点です。数字の低さだけで選ぶと、長期保有に向かない構造の商品を選んでしまうおそれがあります。
③為替ヘッジの有無
金の国際価格は米ドル建てで決まるため、円で投資すると為替の影響を受けます。
金ETFには為替ヘッジのあり・なしが別々の銘柄として用意されているため、投資家自身で選ぶ形です。ヘッジを付けると円安による値上がりは取り込めなくなる一方、円高局面の目減りは抑えられます。ヘッジには日米の金利差に応じたコストがかかる点も、見落とせないところでしょう。
金投資信託で見落としやすい「実質的なコスト」

金投資信託のなかには、金ETFを主な投資対象とする仕組みの商品があります。
この場合、投資信託そのものの信託報酬に加えて、投資先のETFにかかる費用も間接的に負担する形になるため、表示されている信託報酬より実際の負担が重くなることがあります。目論見書に記載された「実質的な負担」の欄を見ると、二重にかかる部分を含めた水準がわかるはずです。
税金の仕組み|金地金とは課税方式が違う

金への投資は、どの形で持つかによって税金の計算方法が変わります。
金ETF・金投資信託と、金地金の現物とを分けて確認します。
金ETF・金投資信託は申告分離課税20.315%
国税庁によると、上場株式等には金融商品取引所に上場されているETFが含まれ、その譲渡による所得は他の所得と分けて計算する申告分離課税の対象です。
税率は所得税15%・住民税5%に復興特別所得税を加えた20.315%で、所得の多い少ないにかかわらず一律で適用されます。上場株式等どうしの損益通算や、損失を翌年以降3年間繰り越す繰越控除といった特例も使えます。
出典:国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」、国税庁「No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」
金地金の現物は総合課税の譲渡所得
一方、金地金を売ったときの所得は、原則として給与所得などと合算する総合課税の譲渡所得になります。
所有期間が5年以内なら短期譲渡所得、5年を超えていれば長期譲渡所得として課税される金額が2分の1になり、いずれも年50万円の特別控除が使えるのが特徴です。なお、金投資口座や金貯蓄口座から得た利益は現物の譲渡とは別に扱われ、20.315%の源泉分離課税で課税関係が終わります。
利益の水準で有利不利が入れ替わる
税制の違いは、利益の水準によって効き方が変わります。
たとえば利益が50万円で他に総合課税の譲渡益がない場合、金地金なら特別控除で課税される所得はゼロになる一方、金ETFでは101,575円の税金がかかる計算です。
利益が200万円になると景色が変わります。
金ETFは一律20.315%で406,300円ですが、5年超保有した金地金は(200万円−50万円)÷2の75万円が総合課税の対象となり、他の所得と合算した累進税率で税額が決まります。所得の水準しだいで結果が変わるため、利益が膨らむほど分離課税の読みやすさが効いてくる関係です。
NISAで金に投資できるかの確認先

NISAの成長投資枠では金に連動するETFや投資信託を買えるものがありますが、対象になるかは銘柄ごとに決まっています。
成長投資枠の対象銘柄は、商品の作りに応じて日本取引所グループと資産運用業協会が分担して公表しており、金に連動するETFはどちらの一覧に載るかが分かれます。つみたて投資枠の対象商品は金融庁が一覧を公開しており、こちらは長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託に限られる点に注意が必要です。
また、NISA口座で出た損失は税務上ないものとされ、課税口座の利益との損益通算や繰越控除は使えません。
金は利息や配当を生まない資産のため、非課税の恩恵を受けられるのは売却益が出た場合に限られます。
出典:金融庁「つみたて投資枠対象商品」、日本取引所グループ「銘柄一覧(ETF)」
金ETF・金投資信託・金地金の使い分け

ここまでの違いを並べると、向いている場面が見えてきます。
重視する点ごとに、選び方をまとめます。
金ETFが向いている場合
売買のタイミングを自分で決めたい人、保有コストを抑えたい人に向く形です。
・取引時間中にリアルタイムで売買したい
・信託報酬の水準を銘柄ごとに比べて選びたい
・株式やREITと合わせて損益通算を使いたい
金投資信託が向いている場合
毎月コツコツ積み立てたい人や、少額から始めたい人には金投資信託が合います。
・100円や1,000円といった少額から始めたい
・自動積立で買い付けを続けたい
・売買のタイミングを考えたくない
金地金(現物)が向いている場合
手元に実物として持ちたい場合や、利益が年50万円の特別控除に収まる見込みの場合は、現物にも合理性があります。
ただし保管場所の確保や盗難への備えが必要になり、NISAの対象外である点も確認しておきたいところです。
まとめ|違いは「取引方法」「コスト」「税金」の3点
金ETFと金投資信託の違いをまとめます。
・金ETFはリアルタイムで売買でき、指値注文も可能。金投資信託は1日1回の基準価額で取引する
・少額からの自動積立は金投資信託が対応しやすく、保有コストは金ETFが低めの傾向
・金ETFは現物型と先物型があり、先物型は長期投資に向いている銘柄に選ばれていない
・金投資信託はETFを組み入れる商品もあり、目論見書の「実質的な負担」で二重の費用を確認する
・売却益は金ETF・金投資信託とも申告分離課税20.315%で、損益通算・3年間の繰越控除が使える
・金地金の現物は総合課税の譲渡所得(年50万円の特別控除・5年超で課税額が2分の1)
・NISAの対象かどうかは銘柄ごとに公表リストで確認する。NISA内の損失は損益通算できない
金ETFと金投資信託の差は取引方法とコストにとどまりますが、金地金との差は課税方式そのものです。
どの形で金を持つかを決める前に、税金の仕組みの違いから確認してみてはいかがでしょうか。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司による執筆です。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムでご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズにお調べいただけるでしょう。



