資産運用
投資信託とは?仕組みと手数料の見方、選ぶ前に確かめること

投資信託は、多くの投資家から集めたお金をさまざまな資産で運用する仕組みの商品です。
金融庁がNISAのつみたて投資枠の対象として要件を満たすと認めた投資信託は、2026年8月18日時点で363本あります。
その対象商品のうち、投資先を国内とする指定インデックス投信の信託報酬率は平均0.27%、内外・海外とするものは平均0.34%です(税抜き)。
この記事では、投資信託の仕組みとコストの見方、選ぶ前に確かめたい点を解説します。
投資信託とはどんな商品か

投資信託は、預貯金や株式とは性質の異なる金融商品です。
まず位置づけを確かめます。
多くの投資家から集めたお金を運用する仕組み
金融庁は、投資信託を「多くの投資家から集めたお金を様々な資産で運用する仕組みの商品」と説明しています。
1本の投資信託を買うことで複数の資産に分けて投資できる点が、個別の株式を買う場合との違いになります。
安全性・収益性・流動性の3つは同時に満たせない
金融庁は主な金融商品を、次の3つの観点で比べています。
・安全性:元本および利子の支払いが確実かの度合い
・収益性:どのくらいの収益が期待できるかの度合い
・流動性:必要になったときにすぐ換金できるかの度合い
この比較では、預貯金は安全性と流動性が高い一方で収益性は低く、投資信託は収益性が見込める代わりに安全性は預貯金に劣るとされています。
3つとも満たす金融商品はないため、目的に応じて使い分けることが前提です。
元本割れのおそれがある
株式や投資信託などの運用商品に投資することで預貯金よりも高いリターンを期待できる一方、元本割れのおそれもあります。
値上がりが約束された商品ではないという点は、買う前に押さえておきたいところです。
コストの見方

運用の成果は事前に読めませんが、コストは確実に差し引かれます。
金融庁が示している水準から確かめます。
つみたて投資枠の要件がコストの目安になる
金融庁は、つみたて投資枠の対象となる公募株式投資信託について、次の要件を示しています。
・売買手数料がノーロードであること(解約手数料、口座管理料もゼロ)
・対象指数に連動するものは、信託報酬が国内資産を対象とするもので0.5%以下、海外資産を対象とするもので0.75%以下であること(税抜き)
・信託報酬等の実額を通知すること
・金融庁への届出があること
対象指数に連動しない商品では、信託報酬の上限が国内1%以下・海外1.5%以下と高くなる代わりに、純資産額50億円以上、信託開始以降5年経過、信託期間の3分の2で資金流入超という要件が加わります。
実際の平均は0.27%と0.34%
金融庁の資料によると、2026年8月18日時点で、投資先を国内とする指定インデックス投信の信託報酬率は平均0.27%、内外・海外とするものは平均0.34%です(いずれも税抜き)。
法令上の上限である0.5%・0.75%よりも低い水準に集まっているため、対象商品の中で選ぶ場合も、上限に近い商品をあえて選ぶ理由は乏しくなります。
信託報酬は保有している間かかり続ける
売買手数料が買うときの一度きりであるのに対し、信託報酬は年率で示される費用で、保有している間かかり続けます。
運用の成果は事前にわからない一方、コストは確実に差し引かれるため、同じ対象に投資する商品どうしなら、コストの低いほうが有利に働きます。
出典:金融庁「つみたて投資枠対象商品の概要について」(2026年8月18日)
インデックス投信とアクティブ運用投信

投資信託は、運用の方針によっても分かれます。
金融庁が示している考え方を確かめます。
インデックス投信は値動きがわかりやすくコストが低い
金融庁の資料では、インデックス投信はマーケット全体の値動きに忠実に連動することを基本とする商品であり、値動きのわかりやすさやコストの低さといったメリットがあることから、投資初心者の利用に適しているとされています。
つみたて投資枠が指数に連動する商品を基本に位置づけているのも、この考え方によるものです。
アクティブ運用投信はリスクとコストが高くなりがち
一方、アクティブ運用投信については、マーケット全体の値動き以上の超過リターンを狙うという性質上、一般的にはリスクとコスト(手数料等)が高くなりがちであるとされています。
20年間という長期にわたってマーケット全体のリターンを上回るアクティブ運用投信を事前に見分けることは、少なくとも投資初心者には困難であるとも示されています。
テーマ型は売買のタイミングの見極めが必要になる
その時々の経済環境やマーケットの関心に焦点を当てたテーマ型のアクティブ運用投信は、中長期で保有し続けるというより、基準価額の上昇後に売却して利益を得る投資スタイルに馴染むものとされています。
売買のタイミングを見極めることが鍵になるものの、個人投資家がこれを適切に判断するのは一般的には困難であり、目新しいテーマの投信への乗り換えを繰り返せば短期の回転売買にほかならないという指摘です。
アクティブ運用投信の多くが、組成されて数年で半分以下の資産規模まで資金が流出しているという実態も、あわせて示されています。
出典:金融庁「説明資料」(NISAの対象商品に関する有識者会議・令和7年4月22日)
長期・積立・分散という考え方

金融庁は、元本割れの不安と付き合いながら資産形成に取り組む工夫として3つの考え方を挙げています。
順に確かめます。
長期投資
長い期間投資を続けると複利の効果が大きくなり、長期投資をうまく活用することで安定した収益の確保が期待できるとされています。
複利とは、投資や預金などで得た収益を当初の元本にプラスして運用することで得られる利益のことです。
積立投資
積立投資は、一括で投資するのではなく、あらかじめ決まった金額を続けて投資する方法です。
少ない金額からコツコツ始められ、安いときに買わなかったり高いときにだけ買ってしまうことを避けられます。
分散投資
1つの資産だけに投資するより、値動きが異なる複数の資産(国内と海外、株式・債券・不動産など)に分散して投資することで、価格の変動をある程度抑えられます。
投資信託は1本で複数の資産に分けて投資できるため、分散という考え方と相性のよい器といえます。
買う前に確かめたいこと

商品を選ぶ前に、家計の側で整えておきたいことがあります。
2点を挙げます。
すぐに使うお金は預貯金で確保する
投資信託には元本割れのおそれがあるため、値下がりしている時期に生活費のために売らざるを得なくなると、そこで損失が確定します。
近い将来に使う予定のあるお金や、収入が途絶えたときに備える資金は預貯金で確保し、当面使う予定のない資金の範囲で始めることが前提です。
相談の場でも、手元の資金をほとんど投資に回してしまい、想定外の出費で取り崩すことになった例が見られます。
公的保障を確かめてから投資に回す額を決める
病気やけがで働けなくなったときや医療費が高額になったときには、公的な保障の仕組みがあります。
どこまで公的保障で賄えるのかを先に確かめると、民間保険にかけている金額を見直せることもあり、その分を投資に回すという考え方もできます。
投資に回す額は、余った分を充てるのではなく、公的保障と手元に残す資金を確かめたうえで決める順番が現実的です。
まとめ:コストと家計の土台から確かめる
投資信託は1本で複数の資産に分けて投資できる商品ですが、運用の成果が約束されているわけではありません。
確かめる点は次のとおりです。
・投資信託は多くの投資家から集めたお金をさまざまな資産で運用する商品で、元本割れのおそれがある
・安全性・収益性・流動性の3つを同時に満たす金融商品はない
・つみたて投資枠の対象は2026年8月18日時点で363本で、ノーロードと信託報酬の上限という要件がある
・対象商品の信託報酬率の平均は、国内0.27%・内外海外0.34%(税抜き)
・アクティブ運用投信はリスクとコストが高くなりがちで、長期で市場を上回るものを事前に見分けるのは初心者には困難とされる
運用の成果は事前にわからない一方でコストは確実に差し引かれるため、まず手元に残す資金と公的保障を確かめ、そのうえで同じ対象に投資する商品どうしをコストで比べることが、投資信託を選ぶうえでの土台になります。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆した内容です。
当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。
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