住宅ローン
住宅ローン控除とは?控除額の決まり方と使い切れない場合

住宅ローン控除は、年末の住宅ローン残高等の0.7%を所得税額から直接差し引く税額控除です。
国税庁によると、令和4年1月1日から令和12年12月31日までの間に居住した場合に、住宅等の区分と居住年に応じた控除期間・控除限度額で適用されます。
ただし差し引けるのは納めた所得税額までで、控除額が所得税額を上回れば使い切れないという構造です。
この記事では、控除額の決まり方と、使い切れない場合に何が起きるのかを解説します。
住宅ローン控除の仕組み

同じ「控除」でも、所得から引くものと税額から引くものでは効き方が違います。
税額から直接差し引く
住宅ローン控除は、計算された所得税額から直接差し引く税額控除です。
生命保険料控除や医療費控除のように課税所得を減らす所得控除とは、税負担の減り方が異なります。
控除額は年末残高等の0.7%
国税庁によると、控除額は住宅ローン等の年末残高の合計額をもとに計算し、100円未満の端数は切り捨てます。
住宅の取得等の対価の額が年末残高より少ないときは、その取得等の対価の額が基準になります。
補助金等の交付を受けた場合や住宅取得等資金の贈与の特例を適用した場合は、その額を差し引いて計算する定めです。
対象は令和12年末までの入居
対象となるのは、令和4年1月1日から令和12年12月31日までの間に居住の用に供した場合です。
住宅等の区分と居住年によって、控除期間と控除限度額が変わります。
控除限度額は住宅の性能と居住年で決まる

国税庁の表は「借入限度額」ではなく「控除限度額」で示されています。
新築等をして令和8年に居住した場合
新築または建築後使用されたことのないものを取得し、令和8年に居住した場合の控除期間と控除限度額は次のとおりです。
・認定長期優良住宅・認定低炭素住宅:13年、年末残高等×0.7%(31.5万円)
・ZEH水準省エネ住宅:13年、年末残高等×0.7%(24.5万円)
・省エネ基準適合住宅:13年、年末残高等×0.7%(14万円)
・その他の住宅:令和6年から令和12年は控除期間0年
控除限度額を0.7%で割り戻すと、順に4,500万円・3,500万円・2,000万円という借入限度額にあたります。
中古住宅を取得して令和8年に居住した場合
中古住宅の場合の控除期間と控除限度額は次のとおりです。
・認定長期優良住宅・認定低炭素住宅:13年、年末残高等×0.7%(24.5万円)
・ZEH水準省エネ住宅:13年、年末残高等×0.7%(24.5万円)
・省エネ基準適合住宅:13年、年末残高等×0.7%(14万円)
・その他の住宅:10年、年末残高等×0.7%(14万円)
令和7年までに居住した中古住宅の認定住宅等は控除期間10年・控除限度額21万円でしたが、令和8年からは控除期間が13年になりました。
特例対象個人には上乗せがある
特例対象個人とは、年齢40歳未満で配偶者を有する者、年齢40歳以上で40歳未満の配偶者を有する者、または年齢19歳未満の扶養親族を有する者をいいます。
判定は居住年の12月31日の現状によります。
新築等の認定住宅では35万円、ZEH水準省エネ住宅では31.5万円というように、控除限度額が上乗せされる仕組みです。
出典:国税庁「No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」
出典:国税庁「No.1211-3 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」
控除限度額まで借りても使い切れないことがある

控除限度額まで借りれば満額戻る、とは限りません。
差し引けるのは納めた所得税額まで
住宅ローン控除は所得税額から差し引く仕組みのため、その年の所得税額を超える分は所得税からは引けません。
控除額が31.5万円でも、その年の所得税額が20万円であれば、所得税から引けるのは20万円までです。
残りは住民税から引かれるが上限がある
所得税から控除しきれない額は、翌年度の住民税から控除される仕組みがあります。
ただし住民税からの控除にも上限があり、控除限度額の全額を受け取れるとは限らない仕組みです。
上限の具体的な額は地方税の定めによるため、住んでいる市区町村で確かめます。
借入額を増やしても戻る額は増えない場合がある
所得税額と住民税からの控除の合計が、その年に実際に受けられる控除の上限です。
借入額を増やして年末残高を大きくしても、納めている税額が変わらなければ、戻る額は増えません。
相談の場でも、控除限度額を満額もらえる前提で資金計画を立てている例を見かけます。
適用を受けるための主な要件

要件を一つでも満たさなければ、控除そのものが受けられません。
床面積と合計所得金額
国税庁が示す共通の要件では、床面積と合計所得金額について、次のいずれかに該当することが求められます。
・床面積が50平方メートル以上で、合計所得金額が2,000万円以下であること
・床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満で、合計所得金額が1,000万円以下であること
原則は50平方メートル以上で、40平方メートル台の住宅は所得の要件が1,000万円以下に厳しくなります。
床面積は登記事項証明書に表示されている面積で判断し、マンションは専有部分の床面積で見る決まりです。
返済期間は10年以上
10年以上にわたり分割して返済する方法になっている借入金であることも要件です。
繰上返済によって当初からの返済期間が10年未満になると、その年以降は控除を受けられなくなります。
そのほかの要件
取得の日から6か月以内に居住し、その年の12月31日まで引き続き住んでいることも必要です。
生計を一にする親族や特別な関係のある者からの取得でないこと、贈与による取得でないことも求められます。
勤務先からの借入金のうち、無利子または0.2%に満たない利率によるものは対象になりません。
手続きは初年度と2年目以降で違う

給与所得者でも、最初の年は自分で確定申告する必要があります。
初年度は確定申告
控除を受ける最初の年分は、確定申告書に住宅借入金等特別控除額の計算明細書や年末残高等証明書などを添えて、所轄の税務署に提出します。
登記事項証明書については、計算明細書への不動産番号の記載か写しの添付に代えることができます。
2年目以降は年末調整
給与所得者の場合、2年目以後は年末調整で控除を受けられます。
税務署から送付される住宅借入金等特別控除証明書兼申告書と、年末残高等証明書を勤務先に提出する流れです。
まとめ:借入額ではなく自分の税額から逆算する
住宅ローン控除で実際に戻る額は、借入額ではなく年末残高と自分の税額で決まります。
要点は次のとおりです。
・控除額は年末残高等×0.7%(100円未満切り捨て)で、所得税額から直接差し引く税額控除
・対象は令和4年1月1日から令和12年12月31日までの間に居住した場合
・令和8年に居住した新築等の控除限度額は、認定住宅31.5万円・ZEH水準24.5万円・省エネ基準適合14万円
・中古住宅は令和8年から、認定住宅等の控除期間が10年から13年になった
・床面積は原則50平方メートル以上で、40平方メートル台は合計所得金額1,000万円以下
控除限度額まで借りれば満額戻るわけではなく、実際に戻るのは納めた所得税額と住民税からの控除の範囲までのため、借入額を決める前に自分の税額から逆算することが、資金計画を誤らない進め方になります。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆した内容です。
当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。
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