iDeCo
夫婦でiDeCoに加入するメリット|世帯の節税効果を最大化する掛金の分担方法

iDeCo(個人型確定拠出年金)は個人単位の制度ですが、夫婦それぞれが加入することで、世帯全体の節税効果と老後の資産形成効果を大幅に高めることができます。特に「所得が高い方が掛金を多く拠出する」「受取タイミングを夫婦でずらす」といった設計は、世帯全体の税負担を最適化するうえで重要な考え方です。この記事では、夫婦でiDeCoに加入するメリット、掛金の分担方法、受取時の税制設計までを解説します。
夫婦の働き方とiDeCo掛金上限の関係

iDeCoの掛金上限は職業と企業年金の有無によって異なるため、夫婦それぞれの上限額を正確に把握することが出発点です。
働き方別の掛金上限(現行制度)
・会社員(企業年金なし):月2.3万円(年間27.6万円)
・会社員(企業型DC・DBあり):月2万円(年間24万円)
・公務員:月2万円(年間24万円)
・専業主婦(夫)・第3号被保険者:月2.3万円(年間27.6万円)
・自営業者・第1号被保険者:月6.8万円(年間81.6万円)
なお、年金制度改正法(2025年6月公布)により、会社員(企業年金なし)・専業主婦(夫)の掛金上限は2026年12月から月6.2万円に引き上げられる予定です。
出典:iDeCo公式サイト「iDeCoってなに?」
結婚後に確認すべきポイント
結婚後に働き方が変わる場合は、iDeCoの掛金上限も変動します。たとえば退職して専業主婦(夫)になった場合は第3号被保険者としてiDeCoに加入でき、掛金上限は月2.3万円です。育児休業で一時的に収入が減少した場合は、掛金を最低額の月5,000円に減額するか、一時的に拠出を停止する選択肢もあります。iDeCoの掛金変更は年に1回行えます。
夫婦でiDeCoに加入する3つのメリット

夫婦それぞれがiDeCoに加入することで、単身では得られない世帯全体のメリットが生まれます。
メリット1:世帯全体の所得控除が2倍になる
iDeCoの掛金は拠出者本人の所得から全額控除されるため、夫婦それぞれが拠出すれば所得控除枠が2人分になります。たとえば夫(年収600万円・所得税率20%・住民税率10%)が月2.3万円、妻(年収300万円・所得税率10%・住民税率10%)が月2.3万円を拠出した場合の節税効果は以下のとおりです。
・夫:27.6万円×30%=年間約8.3万円の節税
・妻:27.6万円×20%=年間約5.5万円の節税
・世帯合計:年間約13.8万円の節税
この節税効果は運用成果に関係なく確実に得られるため、夫婦で拠出する意義は大きいでしょう。なお、所得税率が高い方(所得が多い方)が多く拠出する方が、世帯全体の節税効果は大きくなります。
メリット2:非課税で運用できる資産が2倍になる
夫婦それぞれがiDeCo口座を持つことで、運用益が非課税になる資産が2人分になります。iDeCoに加えてNISA(年間投資枠360万円・生涯1,800万円)も夫婦それぞれが利用できるため、世帯全体の非課税運用枠は最大でiDeCo+NISA×2人分にまで拡大します。
メリット3:受取タイミングを夫婦でずらして税負担を最適化できる
iDeCoの受取時には退職所得控除(一時金の場合)や公的年金等控除(年金形式の場合)が適用されますが、退職金との兼ね合いで控除額が調整されるケースがあります。夫婦で受取タイミングをずらすことで、それぞれの控除枠を効率的に活用できます。
たとえば、夫が60歳で退職金を受け取った場合、iDeCoの一時金は10年以上間隔を空けて70歳以降に受け取れば退職所得控除の調整を回避できる可能性があります(2026年1月以降の受取分から10年ルール適用)。妻のiDeCoはまた別のタイミングで受け取ることで、世帯全体の税負担を分散できるでしょう。
夫婦で老後資金の目標を設定し、掛金を分担する

夫婦でiDeCoを活用するうえで、共通の老後資金目標を設定し、掛金の分担を話し合うことが重要です。
公的年金の見込額を夫婦それぞれ確認する
まずは夫婦それぞれの「ねんきん定期便」またはねんきんネットで、老齢基礎年金+老齢厚生年金の見込額を確認しましょう。夫婦合計の年金見込額と希望する老後の生活費の差額が、iDeCo+NISAなどで準備すべき不足額になります。
出典:日本年金機構「ねんきんネット」
掛金分担の考え方
・所得が高い方を優先的にiDeCoの上限まで拠出する。所得税率が高い方ほど、同じ掛金額でも節税効果が大きい
・上限まで拠出してもまだ余裕がある場合は、もう一方のiDeCoにも拠出する
・iDeCoの掛金上限を夫婦とも使い切った後は、NISAのつみたて投資枠で老後資金を上乗せする
・専業主婦(夫)でも所得がなければ所得控除のメリットはないが、運用益非課税のメリットは受けられるため、家計に余裕があれば拠出を検討する価値がある
定期的に見直す
出産・育児休業・転職・収入の変化など、ライフステージの変化に応じて掛金の分担を定期的に見直しましょう。iDeCoの掛金は年に1回変更できるため、家計の状況に合わせて柔軟に調整することが継続のポイントです。
まとめ|夫婦でiDeCoに加入し、世帯全体の節税と資産形成を最大化する
夫婦でのiDeCo活用について整理すると、以下のようになります。
・夫婦それぞれがiDeCoに加入すると所得控除枠が2人分に。所得が高い方が多く拠出すれば世帯全体の節税効果が大きくなる
・夫婦合計の節税効果は年間10万円以上になるケースもある(年収・掛金額による)
・受取タイミングを夫婦でずらすことで、退職所得控除や公的年金等控除を効率的に活用できる
・まず夫婦それぞれのねんきん定期便で年金見込額を確認し、不足額を把握してから掛金の分担を決める
・専業主婦(夫)でも運用益非課税のメリットは受けられる。2026年12月からは掛金上限が月6.2万円に拡大予定
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しました。執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。



