iDeCo
iDeCoの「運用商品見直し」で失敗しない!ポートフォリオの再構築

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後資金を準備するための長期積立投資が基本です。しかし、一度設定した運用商品をそのまま放置していては、市場の変化やご自身のライフステージの変化に対応できず、かえって運用効率を下げてしまう可能性があります。そこで重要になるのが、定期的な「運用商品見直し」です。
この記事では、iDeCoの運用商品見直しで失敗しないためのポイントを解説します。運用商品の変更(スイッチング)の考え方を深く掘り下げ、銘柄選びの再検討、リスク許容度との再調整、そして定期的な見直しの重要性まで。iDeCoを「ほったらかし」にするのではなく、賢く管理するためのヒントを提案します。
運用商品の変更(スイッチング)の考え方を深掘り

iDeCoの運用商品見直しは、主に「スイッチング」という手続きで行います。
スイッチングの仕組み
スイッチングとは、現在保有している運用商品(投資信託など)を売却し、その資金で別の運用商品を買い付けることです。これはiDeCo口座内で行われる取引であり、外部に資金を引き出すわけではありません。
なぜスイッチングが必要なのか?
1.市場環境の変化への対応: 当初選んだ商品が、市場環境の変化によって魅力を失ったり、より低コストで優れた商品が登場したりすることがあります。
2.ライフプランの見直し: 結婚や出産、子どもの独立など、ライフステージの変化によって、あなたのリスク許容度や資産配分も変わります。
3.ポートフォリオのバランス調整: 株式が大きく値上がりし、当初設定した株式と債券の比率が崩れた場合など、ポートフォリオのバランスを元に戻すために行います。
頻繁なスイッチングは避ける
スイッチングは有効な手段ですが、市場の短期的な変動に一喜一憂して頻繁に行うと、かえって運用成績を悪化させる可能性があります。明確な目的とルールを持って行うことが重要です。
銘柄選びの再検討とリスク許容度との再調整

運用商品を見直す際は、改めて「なぜその商品を選んだのか」という原点に立ち返り、ご自身のリスク許容度と照らし合わせることが大切です。
銘柄選びの再検討
以下の点をチェックして、現在保有している運用商品を再検討しましょう。
1.運用コスト(信託報酬):
現在保有している投資信託が、同じ指数に連動する他のファンドと比較して、信託報酬が高すぎないかを確認しましょう。iDeCoは長期運用なので、わずかなコストの差が大きな影響を与えます。
2.運用成績:
過去の運用成績が、ベンチマーク(市場平均)を大きく下回っていないかを確認しましょう。ただし、一時的なマイナスはよくあることなので、長期的な視点で判断することが重要です。
3.ファンドの方針:
運用しているファンドが、当初の投資方針を維持しているか、あるいは方針変更がないかを確認しましょう。
リスク許容度との再調整
運用商品の見直しは、あなたのリスク許容度を再調整する機会でもあります。
1.年齢に応じた見直し:一般的に、年齢が上がるにつれてリスク許容度は下がる傾向にあります。老後まで期間が短くなればなるほど、株式の比率を減らし、債券や元本確保型商品の比率を増やす「ライフサイクル型」の考え方も有効です。
2.ライフステージの変化に応じた見直し:結婚、出産、子どもの独立など、大きなライフイベントで家計の状況や将来の計画が変わった場合は、それに合わせてリスク許容度を見直しましょう。
定期的な見直しの重要性

運用商品を見直す「スイッチング」は、感情に流されず、定期的に行うことが大切です。
見直しのタイミングを決める
・年に1回、または半年に1回:
毎年決まった月(例えば年末)に、運用状況をチェックし、ポートフォリオのバランス(資産配分)が崩れていないかを確認しましょう。
・特定の「乖離率」を基準にする:
当初設定した資産配分から、例えば株式の比率が±5%〜±10%以上ずれた場合にリバランスを行う、といったルールを決めておくことも有効です。
見直しの際の注意点
・スイッチングに手数料はかからないが…:
スイッチング自体に手数料はかかりません。ただし、一部の投資信託では、換金(売却)時に「信託財産留保額」という費用が発生する場合があります。
・新しい掛金分の配分変更:
スイッチングは、すでに積み立てた資産の見直しですが、今後積み立てる掛金については「配分変更」という手続きで、購入する商品の比率を調整できます。この配分変更には、手数料も回数制限もありません。見直しの際は、今後の掛金についても忘れずに見直しましょう。
まとめ:iDeCoの運用商品は「見直し」で育てる
iDeCoの運用商品は、一度選んだら終わりではありません。
・運用商品の見直し(スイッチング)は、市場やライフプランの変化に対応するために不可欠なプロセスです。
・運用コスト、運用成績、そしてあなた自身の現在のリスク許容度を改めて確認し、運用商品を再検討しましょう。
・定期的な見直しを習慣化することで、感情に流されず、常に最適な状態で運用を続けることができます。
iDeCoの運用商品は、「ほったらかし」ではなく、「見直し」で育てるもの。賢く管理し、あなたの老後資金を確実に増やしていきましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。