iDeCo
iDeCoの「申出書」の書き方:各種手続きのポイント

「記入ミスで手続きが遅れたらどうしよう?」
iDeCo(個人型確定拠出年金)の運用を始める際や、途中で掛金の変更、転職時の手続きなど、さまざまな場面で「申出書」と呼ばれる書類を提出する必要があります。これらの申出書は、手続きをスムーズに進めるために正確に記入することが非常に重要です。記入ミスがあると、手続きが遅れたり、最悪の場合は再提出が必要になったりする可能性があります。
この記事では、iDeCoの手続きで必要となる代表的な「申出書」の種類を解説します。また、それぞれの記入例と注意点を具体的に示し、記入ミスによる手続きの遅延を回避するためのポイントを網羅的にご紹介します。
iDeCoの主な「申出書」の種類と役割

iDeCoの手続きには、目的ごとにさまざまな申出書があります。ここでは、特に利用頻度が高い申出書を3つご紹介します。
個人型年金加入申出書
役割:
・iDeCoの運用を始める際に、国民年金基金連合会に提出する最も基本的な書類です。
・加入者区分(会社員、公務員、自営業者など)や基礎年金番号、掛金の引き落とし口座情報などを記入します。
注意点:
・基礎年金番号や生年月日など、個人情報に誤りがないよう、年金手帳やマイナンバーカードなどを手元に置いて記入しましょう。
・掛金の金額は、最低5,000円から、ご自身の加入者区分の上限額内で設定します。
事業主の証明書
役割:会社員や公務員(第2号被保険者)がiDeCoに加入する際に、事業主(勤務先)に記入してもらう書類でした。
最新情報:2024年12月の制度改正により、この事業主証明書は原則廃止されました。これにより、iDeCoの加入手続きがよりスムーズになっています。
掛金変更申出書
役割:
・毎月の掛金額を変更したい場合に提出する書類です。
・掛金額の変更は、年に1回だけしかできないため、慎重に検討して記入する必要があります。
注意点:
・変更する掛金額は、最低5,000円から、上限額までの範囲で設定します。
・変更手続きが完了するまでは、変更前の掛金額が引き落とされます。
各種申出書の記入例と記入ミスの回避策

申出書を正確に書くためには、いくつかの共通したポイントを押さえることが重要です。
記入の際の共通のポイント
1.黒のボールペンで記入する:
鉛筆や消せるボールペンは使用できません。
2.訂正は二重線と訂正印:
記入を間違えた場合、修正液や修正テープは使えません。二重線で消し、その上に訂正印を押して修正します。
3.添付書類を忘れずに:
申出書の種類によっては、本人確認書類のコピーなど、添付書類が必要です。
4.見本を参考に:
多くの金融機関のウェブサイトには、申出書の記入例(見本)が掲載されています。それを参考にすることで、記入ミスを防げます。
iDeCoの掛金上限額(2024年12月改正後)
iDeCoの掛金は、最低5,000円から拠出できますが、上限額はご自身の働き方や企業年金の加入状況によって異なります。
・会社員(企業年金なし): 月額23,000円
・会社員(企業年金あり)・公務員: 月額20,000円
※企業年金がある場合、企業年金の掛金とiDeCoの掛金の合計が月額5.5万円を超えることはできません。詳細は運営管理機関にご確認ください。
・自営業者: 月額68,000円
・専業主婦(夫): 月額23,000円
よくある記入ミスの事例と回避策
・基礎年金番号の誤記:
回避策: 年金手帳や国民年金基金連合会から送付された書類などで、正確な番号を確認しましょう。
フリガナの書き間違い:
回避策: 氏名や住所のフリガナは、戸籍謄本などに記載されている正確な情報を確認しましょう。
押印の漏れ:
回避策: 捺印が必要な箇所には、忘れずに押印しましょう。印鑑はシャチハタではなく、朱肉を使うタイプの印鑑が必要です。
まとめ:iDeCoの手続きは「正確な記入」が鍵
iDeCoの「申出書」は、あなたの老後資金に関わる重要な書類です。
・提出する申出書の役割を理解する:
それぞれの申出書がどのような目的で使われるのかを理解することで、記入すべき内容が明確になります。
・記入ルールを遵守する:
黒のボールペンを使用し、訂正印を押すなど、基本的なルールを守ることが、手続き遅延を回避する第一歩です。
・最新の制度変更を把握:
2024年12月の改正で事業主証明書が廃止されるなど、手続きがより簡素化されています。最新の情報を確認してスムーズな手続きを心がけましょう。
これらのポイントを押さえて、iDeCoの手続きをスムーズに完了させ、安心して資産形成を続けていきましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。