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iDeCoのシミュレーターを活用する|公的年金の不足額から掛金を逆算する方法

iDeCo(個人型確定拠出年金)で「毎月いくら積み立てれば老後資金が足りるのか」を具体的に把握するには、シミュレーターの活用が有効です。ただし、シミュレーターに掛金や利回りを入力する前に、まず公的年金の見込額を確認し、老後の不足額を把握することが出発点になります。不足額がわかれば、iDeCoで毎月いくら積み立てるべきかを逆算できます。この記事では、公的年金の見込額の確認方法からシミュレーターの使い方、結果の正しい解釈方法までを整理しました。
シミュレーターを使う前に|公的年金の見込額を確認する

iDeCoのシミュレーターで掛金を設定するには、「iDeCoでいくら準備すべきか」という目標額が必要です。この目標額は、公的年金でカバーできない老後の不足額から導き出します。
ねんきん定期便・ねんきんネットで年金見込額を把握する
50歳以上の方に届く「ねんきん定期便」には、60歳まで現在の加入条件が続いた場合の年金見込額が記載されています。50歳未満の方はねんきんネットでシミュレーションが可能です。老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計で月にいくら受け取れるかを確認しましょう。
出典:日本年金機構「ねんきんネット」
老後の不足額を概算する
公的年金の見込額と希望する老後の生活費との差額が「不足額」です。たとえば月の生活費が25万円で年金見込額が月16万円であれば、月9万円の不足。65歳から90歳までの25年間で計算すると、不足額の総額は約2,700万円になります。退職金がある場合はここから差し引き、残りの不足額がiDeCoで準備すべき目標額です。
シミュレーターの使い方|目標額から掛金を逆算する

不足額がわかったら、シミュレーターを使って「毎月いくら積み立てれば目標額に届くか」を逆算しましょう。
シミュレーターに入力する3つの項目
・運用期間:現在の年齢から60歳(または65歳)までの年数
・毎月の掛金:月5,000円〜上限額の範囲で設定
・想定利回り:年率3%(保守的)・5%(標準的)・7%(積極的)の複数パターンで試す
iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)の「かんたん税制優遇シミュレーション」では、将来の運用資産額に加えて所得控除による節税効果も同時に確認できます。
出典:iDeCo公式サイト「かんたん税制優遇シミュレーション」
目標額からの逆算例
たとえば「60歳までにiDeCoで1,000万円を準備したい」という目標がある場合、35歳から25年間積み立てるとして、想定利回り別に必要な月額掛金は以下のようになります。
・年率3%の場合:月約2.2万円
・年率5%の場合:月約1.7万円
・年率7%の場合:月約1.2万円
※上記は積立投資の複利計算式による概算であり、将来の運用成果を保証するものではありません。
このように想定利回りによって必要な掛金が変わるため、保守的な利回り(3%程度)で計画を立てておくと、実際の運用成果が下振れした場合にも対応しやすくなります。
シミュレーション結果の正しい解釈

シミュレーション結果はあくまで「予測」であり、確定した金額ではありません。結果を正しく解釈するために、以下の点を意識しましょう。
想定利回りの幅を理解する
年率5%や7%のシミュレーション結果は「理想的なケース」です。市場環境によっては利回りが想定を下回る年もあるため、複数の利回りでシミュレーションし、最も保守的な結果を基準にするのが堅実でしょう。特に年率7%以上の結果は、長期にわたって維持するのが難しい水準であることを理解しておく必要があります。
節税効果も「リターン」として計算に含める
iDeCoの掛金は全額所得控除の対象です。たとえば年収500万円(所得税率10%・住民税率10%)の会社員が月2.3万円を拠出すれば、年間約5.5万円の節税効果があります。この節税効果は運用成果にかかわらず確実に受けられるため、シミュレーターで表示される運用資産額+節税効果の合計でiDeCoのリターンを評価しましょう。
定期的にシミュレーションを見直す
収入の変化・転職・家計状況の変化に応じて、iDeCoの掛金は年に1回変更できます。1年に1回程度はシミュレーターで現状を確認し、目標額との乖離がないかを点検しましょう。2026年12月からは会社員(企業年金なし)の掛金上限が月6.2万円に引き上げられるため、増額を検討する際にもシミュレーターでの試算が役立ちます。
まとめ|公的年金の不足額を把握してからシミュレーターで逆算する
iDeCoのシミュレーター活用のポイントを整理すると、以下のようになります。
・シミュレーターを使う前にねんきん定期便やねんきんネットで公的年金の見込額を確認し、老後の不足額を把握する
・不足額から退職金を差し引いた金額がiDeCoで準備すべき目標額
・シミュレーターで目標額から毎月の掛金を逆算する。想定利回りは3%・5%・7%の複数パターンで試す
・保守的な利回り(3%程度)を基準に計画を立てると、下振れリスクに対応しやすい
・節税効果も「リターン」として合算して評価する。年に1回はシミュレーションを見直す
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しました。執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。



