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結婚費用の平均はいくら?挙式・新生活の資金準備と公的支援制度・家計から見た適正額をわかりやすく解説

リクルートブライダル総研の「ゼクシィ結婚トレンド調査2024」によると、結納・婚約から挙式・新婚旅行にかけた費用の総額は全国平均で454.3万円に達しています。
一方、厚生労働省の令和6年人口動態統計では婚姻件数が約48万5,000組で、平均初婚年齢は夫31.1歳・妻29.8歳と晩婚化が進んでいる状況です。結婚にかかる費用は決して小さくありませんが、ご祝儀や親族からの援助で一部をまかなえるほか、こども家庭庁の「結婚新生活支援事業」により新居の住宅費や引越費用について夫婦ともに29歳以下であれば最大60万円、39歳以下であれば最大30万円の補助を受けられる自治体が全国に894か所あります。
この記事で取り上げるのは、結婚にかかる費用の内訳と平均額、公的支援制度の活用法、そして住宅購入や教育費など将来のライフイベントを見据えた資金準備のポイントです。
結婚にかかる費用の内訳と全国平均

結婚にかかる費用は「挙式・披露宴の費用」だけでなく、結納や婚約指輪、新婚旅行、新生活の準備費用など複数の項目にわたります。ここでは、ゼクシィ結婚トレンド調査2024の全国推計値をもとに主要な費目ごとの平均額を確認しましょう。
挙式・披露宴の費用
ゼクシィ結婚トレンド調査2024によると、挙式・披露宴・ウエディングパーティーの費用総額は全国平均で343.9万円、招待客人数の平均は52.0人でした。前年調査と比べると総額で16.8万円増加しており、コロナ禍からの回復傾向が続いています。地域別では首都圏が374.8万円と最も高く、北海道は会費制が主流であるため221.5万円と全国で最も低い水準となっています。
ただし、この平均額はあくまで「挙式・披露宴を実施した人」の平均であり、フォトウェディングや家族のみの少人数婚など費用を抑えたスタイルを選ぶケースは含まれていない点に注意が必要です。
結納・婚約から新婚旅行までの総額
同調査によると、結納・婚約から新婚旅行までにかかった費用の総額は全国平均で454.3万円でした。内訳としては挙式・披露宴が343.9万円、新婚旅行が61.6万円、結納式の費用が43.9万円となっています。ただし、各項目の金額は費用が発生した人の平均であり、すべての費目が必ず発生するとは限らない点に留意が必要です。結納を省略するケースや新婚旅行に行かないケースも増えているため、実際に必要な金額は結婚のスタイル次第で大きく変わってきます。
ご祝儀と親族からの援助
結婚費用の全額を新郎新婦だけで負担するケースは少数派です。同調査では81.9%の新婚カップルが親・親族から資金援助を受けており、その平均額は183.5万円でした。また、招待客からのご祝儀も費用の一部をまかなう原資になります。ご祝儀の1人あたり平均額は親族が約7万7,000円、友人が約3万円、上司が約4万4,000円とされており、招待客の構成によってご祝儀の総額は変動するでしょう。
挙式・披露宴の費用総額からご祝儀の総額を差し引いた自己負担額は全国平均で161.3万円となっています。つまり、343.9万円という費用総額の半分以下が実際の持ち出し額であり、「結婚式には300万円以上の貯金が必要」というイメージは必ずしも正確ではありません。
新生活にかかる費用の目安

結婚にかかる費用は挙式・披露宴だけにとどまらず、新居への引越しや家具・家電の購入といった新生活の準備にもまとまった支出が必要です。
新居の初期費用
賃貸住宅を契約する場合、敷金・礼金・仲介手数料・前家賃などの初期費用として家賃の4〜6か月分が目安となります。たとえば月額家賃が8万円の物件であれば32万〜48万円程度の初期費用が必要になります。地域によっては敷金・礼金がゼロの物件もありますが、その分保証会社の利用料が発生するケースが一般的でしょう。
家具・家電・引越し費用
新生活に必要な家具・家電を一通り揃えると、50万〜100万円程度の出費が見込まれます。冷蔵庫・洗濯機・エアコンといった大型家電に加えて、ベッド・テーブル・収納家具など、二人暮らしの家財を一式購入する場合の費用は意外にかさみがちです。引越し費用は繁忙期(2〜4月)か閑散期かで大きく変わり、2人分の荷物で5万〜15万円程度が一般的な相場といえます。
活用できる公的支援制度

結婚に伴う経済的負担を軽減するために、国や自治体が設けている支援制度を確認しておくことも重要です。結婚式の費用自体は補助の対象外ですが、新生活にかかる住居費や引越費用に対して補助が受けられる場合があるため、該当する方は活用を検討しましょう。
結婚新生活支援事業(こども家庭庁)
結婚新生活支援事業は、こども家庭庁の「地域少子化対策重点推進交付金」を活用して各自治体が実施している補助制度です。夫婦ともに婚姻日時点で39歳以下かつ世帯所得500万円未満の新婚世帯が対象となり、新居の住宅取得費用・リフォーム費用・家賃・引越費用について補助を受けられます。
補助の上限額は夫婦の年齢によって異なり、夫婦ともに29歳以下の場合は1世帯あたり最大60万円、30歳〜39歳の場合は最大30万円です。ただし、すべての自治体がこの事業を実施しているわけではなく、対象となる自治体は全国で894か所にとどまっています。居住する市区町村が実施しているかどうかは、こども家庭庁のホームページまたは各自治体の窓口で確認する必要があるでしょう。
自治体独自の結婚支援制度
結婚新生活支援事業とは別に、自治体が独自の結婚祝い金や新婚世帯向けの家賃補助を設けているケースもあります。たとえば移住促進を目的として、他地域から転入してきた新婚世帯に上乗せ補助を行う市町村も存在します。制度の内容や条件は自治体ごとに異なるため、婚姻届を提出する前に居住先の自治体窓口で利用可能な支援制度を一通り確認しておくとよいでしょう。
結婚資金の準備方法と貯め方のポイント

結婚費用は数百万円規模の支出となるため、計画的な資金準備が欠かせないでしょう。ここでは、結婚資金を効率よく貯めるためのポイントを整理します。
目標額と期間を設定する
まず、どのような結婚式を挙げたいのか、新生活にいくらかけるのかを二人で話し合い、必要な総額の見込みを立てることが出発点です。前述のとおり自己負担額の全国平均は161.3万円ですが、招待客が少ない場合はご祝儀収入も減るため、規模と自己負担額の関係は一律ではありません。「挙式の規模」「新居の初期費用」「家具・家電の予算」「新婚旅行の有無」の4つの項目ごとに概算を出し、合計額から親族の援助見込みを差し引いた金額を貯蓄目標にするのが合理的でしょう。
先取り貯蓄で月額を確保する
「余ったら貯める」方式では、結婚費用の貯蓄はなかなか進みにくいものです。給与から天引きする財形貯蓄や、銀行の自動積立定期預金を活用して毎月一定額を先に確保する「先取り貯蓄」が有効な手段となります。たとえば2年後に200万円を貯める場合、毎月約8.3万円の積立が必要になります。ボーナスも活用すれば月々の負担を軽減できるため、年間の収支計画の中で結婚資金の積立額を組み込むとよいでしょう。
結婚費用のためだけに投資を始めるリスク
「NISAで結婚資金を増やしたい」と考える方もいますが、使う時期が2〜3年以内に決まっている資金を株式や投資信託で運用すると、必要な時期に元本割れしている可能性があります。金融庁の「資産形成の基本」でも示されているとおり、投資は20年以上の長期保有で元本割れリスクが大幅に低下する性質をもつため、結婚資金のように使用時期が近い資金には預貯金や個人向け国債など元本が確保される手段が適しているでしょう。NISAやiDeCoは結婚後の住宅購入資金や老後資金など、10年以上先の目標に活用するほうが合理的です。
ライフプラン全体から見た結婚費用の位置づけ

結婚は人生における重要な節目ですが、その後に控える住宅購入・出産・教育費・老後資金の準備を考えると、結婚費用だけに資金を集中させるのはリスクを伴うでしょう。ここでは、結婚費用をライフプラン全体の中でどう位置づけるべきかを考えます。
結婚後に控える主な支出
結婚後のライフイベントには、それぞれ数百万〜数千万円規模の支出が伴います。住宅購入の場合、住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査」によると物件取得価格の全国平均は3,000万〜4,000万円台であり、頭金や諸費用だけでも数百万円が必要です。出産費用は健康保険から出産育児一時金50万円が支給されますが、入院費用の自己負担分やベビー用品の購入費が別途発生するでしょう。教育費は文部科学省「子供の学習費調査」によると幼稚園から大学までの総額が公立中心でも約1,000万円に達するとされています。
こうした将来の支出を踏まえると、結婚式に貯蓄の大部分を費やしてしまい、結婚直後の生活防衛資金(生活費の3〜6か月分)がゼロになる状態は避けるべきです。結婚式の予算は「貯蓄総額−生活防衛資金−直近1年以内のまとまった支出予定」の範囲内で設定するのが、その後のライフプランを安定させるための基本的な考え方になります。
ブライダルローンの利用は慎重に
結婚資金が不足する場合にブライダルローンを検討する方もいますが、みずほ銀行によるとブライダルローンの適用金利は年3.0%〜7.0%程度が目安とされており、住宅ローンと比べて高く設定されています。信販系のローンやカードローンを利用する場合はさらに金利が上がる傾向があるため、注意が必要です。結婚式のために借入を行うと、その返済が結婚後の家計を圧迫し、住宅購入のための頭金の蓄積や資産形成のスタートが遅れるリスクがあるでしょう。
ブライダルローンは住宅ローン減税のような税制優遇もなく、「結婚式のために借金を抱えた状態」で新生活をスタートさせることになるため、借入前にローンの総返済額と返済期間を具体的にシミュレーションし、結婚後の家計収支に余裕があるかを確認することが重要です。借入額が大きくなるようであれば、結婚式の規模を縮小するか、時期をずらして貯蓄を増やすほうが、長期的な家計の安定につながるでしょう。
結婚費用を抑えるための具体的な方法

結婚の満足度は必ずしも費用に比例するわけではありません。ゼクシィ結婚トレンド調査2024では、結婚式を実施した人の満足度は97.4%と高い水準ですが、少人数婚やフォトウェディングなど多様なスタイルが選択肢として広がっています。
結婚式のスタイルを見直す
費用を抑えつつ満足度の高い結婚式を実現するには、招待客数と式場タイプの見直しが効果的です。招待客1人あたりの費用が約6万6,000円(全国平均)であることから、招待客を10人減らすだけで約66万円の費用削減が見込めます。家族や親しい友人だけの少人数婚、レストランウェディング、フォトウェディングなど、費用対効果の高いスタイルを検討する価値はあるでしょう。
北海道式の会費制を参考にする
北海道では結婚式を会費制で行う文化が根づいており、ゲスト1人あたりの会費は1万〜2万円程度が一般的です。この方式では金額が明確で、ゲスト側の負担も軽くなります。北海道以外でも「1.5次会」や「会費制パーティー」を選択する新郎新婦が増えており、従来のご祝儀制にこだわらない柔軟なスタイルが広がっています。
見積もりの「上がりやすい項目」を把握する
結婚式場の初回見積もりと最終的な請求額には差が生じやすく、衣装のグレードアップ、装花の追加、写真・映像のオプションなどが費用を押し上げる主な要因です。初回見積もりの段階で「含まれていない項目」を確認し、総額の上限を事前に決めておくことで、想定外の出費を防ぐことができます。
まとめ:結婚費用は「かけた額」より「残した額」で考える
ゼクシィ結婚トレンド調査2024によると結婚にかかる費用の総額は全国平均454.3万円ですが、ご祝儀や親族からの援助を活用すれば実際の自己負担額は161.3万円程度まで抑えられるケースもあるでしょう。こども家庭庁の結婚新生活支援事業では新居の住宅費や引越費用に対して最大60万円の補助が受けられるため、該当する方は居住する自治体の窓口で実施状況を確認しておきましょう。
結婚は人生の通過点であり、その後に住宅購入・出産・教育費・老後資金の準備といった長期にわたるライフイベントが控えています。結婚費用は「いくらかけるか」よりも「結婚後にいくら残せるか」で考えることが、その後の生活の安定と将来の選択肢を広げるうえで重要です。生活防衛資金を確保したうえで、二人の価値観に合った結婚のかたちを選ぶことが、家計面でも精神面でも安心できる新生活のスタートにつながるでしょう。
出典:リクルートブライダル総研「ゼクシィ結婚トレンド調査2024」
出典:厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計(確定数)の概況」
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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