生命保険
終身保険の「減額」・「払済保険」活用術:保険料負担を減らす方法

「解約するのはもったいないけど、何か保険料を減らす方法はないのかな?」
終身保険は、一生涯の保障と貯蓄性を兼ね備えた便利な保険ですが、長期にわたる保険料の支払いが家計の負担になることもあります。しかし、安易に解約してしまうと、元本割れで大きな損失を被ったり、せっかくの保障がなくなったりするリスクがあります。
この記事では、終身保険の解約以外の選択肢として、保険料の負担を減らす「減額」や「払済(はらいずみ)保険」という活用術を解説します。減額と払済保険の仕組み、メリット・デメリットを詳しく掘り下げ、それぞれの選択が保障内容や解約返戻金に与える影響まで。後悔しないための賢い保険料削減方法を提案します。
終身保険の「減額」と「払済保険」の仕組み
保険料の支払いが難しくなった際に検討すべき主な選択肢は、以下の2つです。
減額:保障額を減らして保険料を安くする方法
仕組み:
契約している終身保険の保障額を減らすことで、その分の保険料の支払いが不要になる方法です。
メリット:
・保険料負担が軽く: 保障額が減る分、毎月の保険料が安くなります。
・保障は継続: 保険契約自体はそのまま継続されるため、保障は維持されます。
デメリット:
・保障額が減る: 減額した分、万が一の際に支払われる保険金額が減ってしまいます。
・元に戻せない: 一度減額すると、元の保障額に戻せない場合が多いです。また、減額には最低保険金額の制限がある点にも注意が必要です。
払済保険:保険料の支払いを止める方法
仕組み:
これまでの責任準備金(保険数理に基づき、将来の保険金支払いに備えて積み立てられた準備金)を使って、保険料の払い込みを中止し、保障額を減らす代わりに保障期間を維持する方法です。
メリット:
・保険料負担がゼロに: 以降の保険料の支払いが一切不要になります。
・保障は継続: 保障額は減りますが、保障期間は一生涯継続されます。
デメリット:
・保障額が減る: 減額よりも大きく保障額が減る可能性がありますが、これは契約時期や経過年数によって異なります。
・特約が消滅: 払済保険に変更すると、医療特約や介護特約など、主契約に付加していた特約は消滅します。
・配当金の扱い: 配当金を受け取っている保険の場合、払済保険に変更すると配当金の扱いが変わる場合がある点にも注意が必要です。
保険料の支払いが厳しくなった時の選択肢

保険料の支払いが厳しくなった場合、安易な解約を避けるために、以下の3つの選択肢を検討しましょう。
減額
毎月の保険料負担を少しでも軽くしたい場合に適しています。
・例: 月々の保険料を5,000円から3,000円に減額。保障額が減る分、家計の負担を軽くできます。
・向いている人: 保険契約を維持しつつ、毎月のキャッシュフローを改善したい人。
払済保険
今後の保険料の支払いを完全に止めたい場合に適しています。
例: 終身保険の保険料払込が厳しくなり、払済保険に変更。以降の保険料支払いは不要になり、保障額は減額されますが、保障は継続されます。
向いている人: 保険料の支払いを完全に止めたい人。
解約返戻金を利用した「契約者貸付」
保険料の滞納を防ぎたい場合や、一時的な資金不足に陥った場合に適しています。契約者貸付は様々な用途に使える資金調達手段です。
仕組み: 解約返戻金の範囲内でお金を借り、一時的な資金需要に対応できます。
向いている人: 保険料の支払いが一時的に困難になった人。
注意点: 借り入れであるため、年2-6%程度(保険会社により異なる)の金利がかかります。放置すると保険が失効するリスクもあります。
保障内容や解約返戻金への影響

「減額」や「払済保険」への変更は、保険契約の内容に影響を与えます。
減額した場合の影響
・保障内容: 死亡保険金や高度障害保険金といった保障額が減ります。
・解約返戻金: 解約返戻金の金額も、減額された保障額に応じて減ります。
払済保険に変更した場合の影響
・保障内容: 保障額が減りますが、保障期間はそのまま維持されます。
例: 終身保険から払済終身保険に変更した場合、保障額は減っても、保障期間は一生涯続きます。
・解約返戻金: 保険料の払い込みが止まるため、解約返戻金の増加率は保険料を継続した場合より低くなりますが、責任準備金の運用により解約返戻金は増加し続けます。
まとめ:保険料削減は「解約」だけが選択肢ではない
保険料の負担が重くなっても、「解約」だけが唯一の選択肢ではありません。
・減額: 毎月の保険料を安くし、家計の負担を軽くできます。
・払済保険: 以降の保険料の支払いをゼロにできます。
・契約者貸付: 滞納を防ぐための緊急避難的な手段として活用できます。
この記事を参考に、ご自身のライフプランや家計の状況に合わせて最適な方法を選び、賢く保険料を削減しましょう。
※実際の契約変更手続きは、必ず加入している保険会社にご相談ください。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。