生命保険
生命保険の「契約転換制度」:メリットとデメリット、注意点

「『契約転換』って聞くけど、これって本当にメリットがあるの?」
生命保険の契約を見直したいと考えた際、保険会社から「契約転換制度(けいやくてんかんせいど)」を勧められることがあります。これは、今加入している保険を「下取り」のような形で新しい保険に切り替える制度です。一見するとお得な制度のように思えますが、安易に転換してしまうと、かえって損をしてしまうリスクもあります。
この記事では、生命保険の契約転換制度の仕組みを解説します。保険料の再計算と告知義務がどうなるのかを詳しく掘り下げ、転換によって損をする可能性があるケースまで。契約転換を後悔しないためのメリット・デメリットと注意点を提案します。
契約転換制度の仕組みと目的

契約転換制度とは、現在加入している生命保険の積立部分(解約返戻金)を、新しい生命保険の保険料の一部に充てることで、現在の保険から新しい保険に切り替える制度です。
契約転換の仕組み
1.旧契約の「下取り」:
現在加入している古い保険契約の解約返戻金が、新しい保険契約に充当されます。
2.新契約の成立:
充当された金額と、新しい契約で必要な保険料を基に、新しい保険契約が成立します。
契約転換の主な目的
保障内容の充実:
時代遅れになった古い保険契約を、新しい医療技術や生活習慣病に対応した保障を持つ新しい保険に切り替えることができます。
保険料の節約:
契約転換時に解約返戻金を充当するため、新しい保険の保険料を安く抑え、家計の負担を軽くできる可能性があります。
契約転換のメリットとデメリット

契約転換制度は、一見便利な制度ですが、メリットだけでなくデメリットも理解しておくことが重要です。
メリット
1.保障内容をアップグレードできる:
古い保険から、最新の保障(先進医療特約など)が付いた保険に切り替えられます。
2.保険料が安くなる可能性がある:
解約返戻金を新しい保険の保険料に充当するため、月々の保険料が安くなる可能性があります。
3.審査が通りやすい:
新規で保険に加入するよりも、審査が通りやすい場合があります。
デメリット
1.保険料が再計算される:
新しい保険の保険料は、契約転換時の年齢と健康状態で再計算されます。そのため、契約当初よりも年齢が上がっている分、保険料が高くなる可能性が高いです。
2.解約返戻金が減る:
新しい保険に充当された解約返戻金は、その後の契約期間が短いと、解約返戻金が増えにくくなります。また、契約転換によって保険料総額が増え、返戻率が悪くなるケースもあります。
3.告知義務が必要:
契約転換時にも、現在の健康状態について告知義務があります。健康状態が悪くなっている場合、契約ができなかったり、保険料が割高になったりする可能性があります。
転換によって損をする可能性があるケース

契約転換は、以下のようなケースで損をしてしまう可能性があります。
1.保険料の総額が増えるケース:
一見、新しい保険の月々の保険料が安くなっても、保険期間が延びたり、保険料総額が増えたりする場合があります。
例: 月々の保険料が5,000円から4,000円に安くなっても、保険期間が10年だったものが20年になると、総支払額はかえって増えることがあります。
2.解約返戻金が減少するケース:
終身保険を契約転換した場合、新しい保険の解約返戻金が、元の契約をそのまま続けた場合よりも減少してしまうことがあります。
3.保障内容が限定されるケース:
一部の契約転換では、保障内容が限定されたり、見直し前の保険に付加されていた特約が消滅したりする場合があります。
まとめ:契約転換は「本当に必要か」を慎重に判断
生命保険の契約転換制度は、保障の見直しをスムーズに行うための便利な制度です。しかし、「安くなる」「保障が新しくなる」といったメリットだけでなく、保険料の総額、解約返戻金の推移、告知義務など、デメリットも理解しておくことが重要です。
・契約転換を検討する際は、必ず保険会社に、新しい保険の保険料総額や、解約返戻金の推移などを確認しましょう。
・保険会社の担当者のアドバイスだけでなく、ご自身の判断で、本当に契約転換が最適な選択肢かを見極めましょう。
この記事を参考に、契約転換を後悔しないための賢い選択をしてください。
※実際の契約変更手続きは、必ず加入している保険会社にご相談ください。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。