火災保険
地震保険の加入率はどれくらい?都道府県別ランキング・付帯率と世帯加入率の違いを解説

「自宅の火災保険に地震補償は付いているか」確認したことはありますか。
2024年度、地震保険の付帯率は70.4%と初めて70%を突破しました。
ただし都道府県別では最高89.3%から最低56.2%まで33.1ポイントもの差があり、地域によって備えの水準は異なります。
2024年1月の能登半島地震では、石川県の付帯率が66.4%と全国平均を下回る水準でした。
被災地へ支払われた地震保険金は約1,047億円(2025年3月末時点)に達し、地震保険が生活再建にどれほど重要な役割を果たすかが改めて示されました。
本記事では、最新の全国・都道府県別の加入率ランキング、過去の推移、そして未加入リスクと今すぐ確認すべきポイントを、公的データに基づいて解説します。
【3分でできる】今すぐ確認すべき3つのポイント

記事を読む前に、まず以下を確認してみましょう。
・火災保険証券に「地震保険」または「地震危険補償特約」の記載があるか
・記載がある場合、補償額は火災保険金額の何%か(標準は30〜50%)
・お住まいの都道府県の付帯率は全国平均70.4%より高いか低いか
これらが不明な場合、保険会社や代理店への確認をおすすめします。
2024年度の全国平均|付帯率70%突破の背景

2024年度の地震保険付帯率は70.4%となり、初めて70%を超えました。
前年度の69.7%から0.7ポイント上昇し、2003年度以降22年連続で増加を続けています。
付帯率とは、その年度に契約された火災保険(住宅物件)のうち、地震保険を付帯した契約の割合のことです。
一方、全世帯を分母とした世帯加入率は2024年で35.4%でした。これは「火災保険には加入しているが地震保険は未加入」という世帯が依然として多いことを示しています。
保有契約件数も増加傾向にあり、2024年度末時点で2,179万件と過去最高を更新しました。
この件数は1992年度以降、33年連続の増加です。
【都道府県別ランキング】最高89.3%と最低56.2%の実態

付帯率上位の都道府県|震災経験が防災意識を高める
過去に震災を経験した地域では付帯率が高く、宮城県89.3%、熊本県87.8%、高知県87.6%が上位3位を占めています(いずれも2024年度)。
東日本大震災や熊本地震の経験が、地域全体の防災意識を高めた結果といえるでしょう。
続く4位は鹿児島県85.8%、5位は宮崎県85.4%で、南海トラフ地震が想定される太平洋側の地域でも付帯率が高い傾向です。
付帯率下位の都道府県|「自分は大丈夫」という意識
一方で、付帯率が低いのは長崎県56.2%、沖縄県58.5%、東京都62.2%、北海道63.5%、神奈川県64.0%などです(いずれも2024年度)。
比較的地震の少ない地域や都市部では、「自分は大丈夫」という意識が影響している可能性があります。
ただし、最も低い長崎県でも56.2%が付帯しており、火災保険を契約する世帯の半数以上が地震保険を選んでいる状況です。
能登半島地震が示した教訓|想定外の地域でも起きる
石川県は2023年度末時点で付帯率66.4%と全国平均をやや下回る水準でした。
そうしたなか2024年1月の能登半島地震では、死者515名(災害関連死を含む)、住家被害は全壊6,461棟・半壊23,336棟という大規模な被害が発生しました(内閣府2025年1月28日時点)。
珠洲市や輪島市の一部は「全損地域」と認定され、現地調査を省略して迅速に保険金が支払われました。
能登半島地震に係る地震保険金の支払総額は約1,047億円(2025年3月末時点)に達し、地震保険の支払額としては過去6番目の規模となりました。
出典:日本損害保険協会「令和6年能登半島地震および2024年度に発生した風水災等に係る各種損害保険の支払件数・支払保険金等について(2025年3月31日現在)」
この経験を受け、北陸地方の付帯率は今後上昇する可能性があります。
マンションの地震保険|専有部分と共用部分

マンションの場合、地震保険は「専有部分(各戸の住戸)」と「共用部分(建物全体)」で加入の考え方が分かれます。
専有部分は各区分所有者が自分の火災保険に付帯して加入し、共用部分は管理組合が一括して加入する形が一般的です。
財務省の資料によると、マンション共用部分の付帯率は伸びてきているものの、専有部分に比べると依然として低い水準にとどまっています。
分譲マンションにお住まいの場合、専有部分の地震保険に加入しているか、管理組合が共用部分に加入しているかの両方を確認することが重要です。
賃貸の場合は建物自体は対象外で、家財に対して地震保険を付帯する形となります。
過去の推移|震災が付帯率を押し上げてきた

付帯率は過去20年あまりで着実に上昇を続けています。
2010年度は48.1%にとどまっていましたが、2023年度に69.7%、2024年度には70.4%へと拡大しました。なお、これらは共済を含まない地震保険のみの統計です。
大震災が変えた防災意識
付帯率上昇の要因は大震災の発生です。
1995年の阪神・淡路大震災を契機に制度の見直しが進み、2011年の東日本大震災では東北地方で付帯率が急増しました。2016年の熊本地震でも九州地方で付帯率が上がり、2024年の能登半島地震をきっかけに北陸地方でも同様の動きが予想されています。
火災保険では地震被害は補償されない|地震保険の仕組み

火災保険では地震を原因とする損害は補償されません。
地震による火災、津波、液状化、建物倒壊などは、すべて火災保険の補償対象外となります。
地震保険は、国と民間が共同で運営する制度です。
目的は住宅の完全復旧ではなく被災直後の生活の安定にあり、補償額は火災保険金額の30〜50%の範囲で設定し、建物5,000万円・家財1,000万円が上限となります。損害の程度(全損・大半損・小半損・一部損)に応じて、定額が支払われる仕組みです。
地震保険は単独では加入できず、必ず火災保険とセットで契約します。
検索でよく見られる「地震保険はいくらか」という疑問については、火災保険金額の半分までという上限の範囲で、建物の構造や所在地によって保険料が決まります。
地震保険料控除で税負担も軽減
税制面では地震保険料控除が利用できます。
たとえば年間保険料が5万円、所得税率が20%の場合、所得控除5万円×20%=1万円の節税につながります。住民税にも控除が及ぶため、合計の軽減額はさらに増える計算です。なお、5年契約の一括払いでは「一括保険料÷5年」で1年あたりの額に換算して申告する形となります。
最近の制度・運用の動向|知っておくべき変更点

地震保険の仕組みは、社会情勢や震災の教訓を踏まえて変化を続けてきました。
2017年から2021年にかけて3度の料率改定が行われ、2022年10月の改定では全国平均で0.7%の引き下げです。
自宅の耐震性能に応じた保険料の割引制度もあります。
この耐震性能割引は「免震建築物」「耐震等級」「耐震診断」「建築年数」の4区分で運用され、条件に応じた割引率は10〜50%です。
実務面では、2022年10月以降の契約から長期契約の自動継続の取り扱いが変更となり、更新手続きが必要になりました。
さらに、大規模地震の警戒宣言が出された地域では、新規契約や増額契約が制限される点にも注意が必要です。
2025年は阪神・淡路大震災から30年の節目にあたり、損害保険料率算出機構も特設ページを公開しています。
制度の見直しや防災意識の定着に向けた議論が続いています。
地震保険は「いらない」のか|未加入リスクを考える

検索では「地震保険はいらない」という声も見られます。
しかし能登半島地震では、付帯率が全国平均をやや下回る地域で、生活再建資金の不足が課題となりました。
地震保険は住宅の完全な再建を保証するものではないものの、被災直後の当面の生活費や、住宅ローンが残る建物への備えとして役割を持つ保険です。
持ち家か賃貸か、住宅ローンの残高、貯蓄で当面の生活を賄えるかなどを踏まえ、要否を判断する考え方が現実的でしょう。
未加入リスクと今すぐ実践すべき3ステップ

全国平均の付帯率は70.4%まで上昇しましたが、地域差は依然として残されています。
能登半島地震が示したように「自分の地域は大丈夫」とは言えないことが明らかになりました。
ステップ1:火災保険証券を確認する
まずはお手元の火災保険証券を確認しましょう。
そこに「地震保険」や「地震危険補償特約」の記載がなければ、未加入の可能性があります。不明点があれば保険会社や代理店に問い合わせてください。
ステップ2:補償内容と金額を見直す
地震保険に加入している場合でも、補償額が火災保険の30%など低い設定になっていないか確認しましょう。
必要に応じて、上限の50%まで引き上げることを検討する余地があります。
ステップ3:複数の商品・共済を比較する
必要なら複数の商品や共済を比較し、築年数や建物の構造を考慮して補償を調整することが望ましいでしょう。
地震保険は生活再建の初動資金として役割を持つため、共済とあわせて比較する価値があります。
保険以外の備えも忘れずに
加えて、耐震診断や耐震補強、防災用品の備蓄、避難計画などのハード・ソフト両面の備えを組み合わせることで、家族の安全と生活の安定を守る力は一層高まります。
データを理解するだけでなく、確認→相談→実行の流れを実践することが、防災では重要です。
※各統計の数値は定期的に更新されます。
詳しくは最新の統計をご確認ください。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司による執筆です。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムでご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズにお調べいただけるでしょう。



