公的年金制度
公的年金はいくらもらえる?ねんきんネット活用で受給額を予測しよう

老後資金計画の土台となるのが公的年金ですが、「自分が将来いくら年金をもらえるのか」を正確に把握している人は意外と少ないものです。漠然とした不安を抱えたまま老後を迎えるよりも、具体的な金額を把握したうえで計画を立てることが重要といえます。この記事では、日本年金機構が提供する「ねんきんネット」を活用した年金受給額の確認・予測方法について、具体的な手順とともに解説していきます。
年金受給額の「見える化」が老後資金計画の鍵

老後の生活設計を考えるうえで、公的年金がどの程度の収入源になるかを把握することは欠かせません。年金受給額を正確に把握できていなければ、老後に必要な貯蓄額やその他の収入源についても曖昧なままになってしまいます。
日本年金機構が提供する「ねんきんネット」を活用すれば、これまでの年金加入記録を確認できるだけでなく、将来の年金見込額を具体的に試算することが可能になります。年金見込額を「見える化」することで、老後資金の過不足を把握し、必要に応じてiDeCoやNISAなど他の資産形成手段を検討する判断材料にもなるでしょう。
「ねんきんネット」とは?登録方法とできること

ねんきんネットは、日本年金機構が運営するインターネットサービスで、パソコンやスマートフォンから24時間いつでも年金情報を確認できる仕組みとなっています。毎年届く「ねんきん定期便」と同様の情報をオンラインで閲覧できるほか、さまざまな条件での年金見込額試算など、紙面では得られない機能も備わっている点が特徴といえます。
現在の年金記録の確認
ねんきんネットでは、国民年金・厚生年金保険・船員保険・共済年金といった公的年金制度への加入履歴が一覧で表示されます。加入していた制度とその期間、標準報酬月額、保険料納付額なども確認可能となっており、記録の「もれ」や「誤り」が疑われる箇所についてはアイコン表示で分かりやすく示されます。
年金記録は毎月更新されるため、ねんきん定期便よりもリアルタイムに近い情報を把握できることもメリットの一つといえるでしょう。
出典:政府広報オンライン「『ねんきんネット』でいつでも最新の年金記録が確認できます!」
将来の年金見込額の試算
ねんきんネットの大きな特徴が、将来の年金見込額を試算できる機能です。「かんたん試算」と「詳細な条件で試算」の2種類が用意されており、現在の働き方を続けた場合の概算から、退職時期や繰上げ・繰下げ受給を想定した試算まで幅広く対応しています。
50歳未満の方でも、この機能を活用すれば将来の年金見込額をシミュレーションできるため、早い段階から老後資金計画を立てる際の参考にすることが可能となります。
電子版「ねんきん定期便」の閲覧
毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」を、ねんきんネット上で電子版として閲覧・ダウンロードすることができます。紙で届くねんきん定期便を紛失してしまった場合でも、ねんきんネットに登録していれば過去の分を確認できるため安心といえるでしょう。
また、年金振込通知書や年金額改定通知書といった各種通知書の閲覧、社会保険料控除証明書や源泉徴収票の再交付申請もねんきんネット上で行うことが可能となっています。
ねんきんネットの登録方法
ねんきんネットを利用するには、事前に登録が必要となります。登録方法は主に2つあり、状況に応じて選択できます。
【マイナポータルからの連携】
・マイナンバーカードを持っている場合、マイナポータルにログインすることで「ねんきんネット」に即日アクセス可能
・マイナポータルのトップページから「年金記録・見込額を見る(ねんきんネット)」ボタンを選択
・初回連携の受付時間は平日8時から23時まで
【ユーザIDの取得】
・基礎年金番号、氏名、生年月日、メールアドレスなどを入力して登録申請
・ねんきん定期便に記載された「アクセスキー」がある場合は即時にユーザIDが発行される
・アクセスキーがない場合は、5営業日程度でユーザIDがハガキで届く
アクセスキーの有効期限はねんきん定期便の到着後3ヶ月間となっているため、届いたら早めに登録手続きを行うことをおすすめします。
ねんきんネットで年金見込額を試算する手順

ねんきんネットにログイン後、年金見込額の試算機能を活用することで、将来受け取れる年金額の目安を把握できます。試算方法には「かんたん試算」と「詳細な条件で試算」の2種類が用意されており、目的に応じて使い分けることが可能となっています。
現在の働き方を継続した場合の試算
「かんたん試算」は、現在の加入条件が60歳まで継続すると仮定して年金見込額を自動的に算出する機能となります。複雑な条件設定は不要で、ボタン一つで試算結果を確認できるため、まずは概算を知りたい場合に適しています。
試算結果は一覧表およびグラフで表示されるため、視覚的にも分かりやすい形で把握することが可能です。65歳から受け取る老齢基礎年金と老齢厚生年金それぞれの金額も内訳として確認できます。
退職時期や繰り下げ・繰り上げ受給を想定した試算
「詳細な条件で試算」では、今後の職業や想定収入、就業期間などを自由に設定したシミュレーションが可能です。具体的には以下のような条件を入力して試算できます。
・今後の働き方(会社員継続、転職、独立など)
・退職予定時期
・想定年収
・年金受給開始年齢(繰上げ・繰下げ)
繰下げ受給を選択した場合、1ヶ月繰り下げるごとに年金額が0.7%増額されます。例えば70歳まで5年間繰り下げた場合は42%の増額、75歳まで10年間繰り下げた場合は84%の増額となります。一方、繰上げ受給の場合は1ヶ月につき0.4%減額される仕組みになっています。
複数の条件で試算した結果を保存し、比較検討することもできるため、さまざまなライフプランに応じたシミュレーションが行えます。
ねんきんネットの試算結果をどう読み解くか

試算結果が表示されたら、その金額が老後の生活費として十分かどうかを検討することになります。試算結果の読み解き方と、注意すべきポイントを確認しておきましょう。
見込額が思ったより少ない場合の対処法
試算結果を見て「思ったより少ない」と感じる方も少なくありません。その場合、以下のような対処法を検討することが考えられます。
【年金額を増やす方法】
・60歳以降も厚生年金に加入して働き続ける(70歳まで加入可能)
・繰下げ受給を選択して年金額を増額させる
・国民年金の任意加入制度を活用する(60歳以上65歳未満で加入期間が40年に満たない場合)
【公的年金以外の備え】
・iDeCo(個人型確定拠出年金)への加入
・つみたてNISAなど税制優遇制度を活用した資産形成
・個人年金保険への加入
公的年金だけで老後の生活費をすべて賄うことが難しい場合は、私的年金や資産運用など複数の手段を組み合わせて備えることが重要となるでしょう。
加給年金などの加算額は反映されているか
ねんきんネットの試算結果を見る際に注意が必要なのが、加給年金や振替加算は試算結果に反映されていないという点です。これはねんきん定期便に記載される見込額でも同様となっています。
加給年金とは、厚生年金に20年以上加入した方が65歳に達した時点で、生計を維持している65歳未満の配偶者がいる場合などに支給される加算額です。2024年度の加給年金額は配偶者について年額約23万円から約40万円程度(生年月日による特別加算含む)となっています。
振替加算は、配偶者が65歳になり加給年金が打ち切られた後、一定の要件を満たす場合に配偶者の老齢基礎年金に加算されるものです。ただし、昭和41年4月2日以降生まれの方は対象外となります。
これらの加算額が発生する可能性がある場合は、ねんきんネットの試算結果に自分で加算して把握する必要があるといえるでしょう。
出典:厚生労働省「【Q&A】Ⅵ.公的年金シミュレーターで試算できる機能」
ねんきんネット以外での年金見込額確認方法(ねんきん定期便)

ねんきんネットを利用しなくても、毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」で年金に関する情報を確認することが可能です。ねんきん定期便の見方についても押さえておきましょう。
【ねんきん定期便の形式】
・通常はハガキ形式で届く
・35歳、45歳、59歳の節目年齢には封書で届き、全期間の加入履歴が記載される
【50歳未満の方と50歳以上の方の違い】
ねんきん定期便に記載される年金額の内容は、年齢によって異なる点に注意が必要となります。
50歳未満の方:「これまでの加入実績に応じた年金額」が記載されています。これは現時点までの納付実績をもとに計算した金額であり、将来もらえる年金額そのものではありません。今後の加入状況によって実際の受給額は変わってきます。
50歳以上の方:現在の条件で60歳まで加入し続けたと仮定した「老齢年金の見込額」が記載されています。65歳から受け取れる年金額の目安として、より実態に近い金額を確認できるといえるでしょう。
また、厚生労働省が提供する「公的年金シミュレーター」を利用すれば、ねんきん定期便に記載された二次元コードを読み取るだけで、ユーザID登録不要で年金見込額を試算することもできます。
まとめ:年金受給額を正確に把握し、老後資金の「土台」を固める
老後資金計画を立てるうえで、公的年金がいくら受け取れるかを把握することは欠かせないステップとなります。ねんきんネットを活用すれば、24時間いつでも年金記録を確認でき、さまざまな条件での年金見込額試算も可能です。
試算結果を確認する際は、加給年金や振替加算が反映されていない点に注意しつつ、公的年金だけで足りない部分については私的年金や資産運用で補う計画を立てることが重要といえます。まずはねんきんネットに登録し、年金受給額を「見える化」することから始めてみてはいかがでしょうか。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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