火災保険
火災保険料はどう決まる?構造級別・補償範囲と保険料を抑える考え方

火災保険の保険料は、同じ建物でも建物の構造・所在地・補償範囲・保険金額などの条件によって変わります。
損害保険料率算出機構が算出する「参考純率」は2023年6月の改定で住宅総合保険が全国平均13.0%引き上げられ、各保険会社の火災保険料も上昇傾向にあるのが実情です。
保険料が上がり続ける局面では、商品提供者が積極的には書きにくい「補償の絞り込みで保険料を抑える」という視点も欠かせません。
代理店は補償を手厚く提案する立場にあるため、必要な補償と不要な補償を見極める判断は、商品を売らない立場から確認しておく価値があるテーマです。
本記事では、火災保険料が決まる仕組みを押さえたうえで、保険料を抑えるための補償の取捨選択や免責金額の考え方を解説します。
火災保険料が決まる主な要素

火災保険料は複数の要素を組み合わせて算出されます。どの要素が保険料を左右するかを把握しておくと、見積りを比較する際の手がかりになります。
建物の構造級別(M・T・H構造)
火災保険では、建物の耐火性能に応じて構造が3つの級別に分かれ、保険料に反映されます。
コンクリート造のマンションなどがM構造、鉄骨造や耐火・準耐火の建物がT構造、木造などそれ以外がH構造で、耐火性の高いM構造ほど保険料は低く、H構造ほど高くなる傾向です。
所在地と水災等地
所在地によって、台風・洪水・土砂災害などの自然災害リスクが異なるため、保険料に差が生じます。
2023年の改定で水災に関する料率が5区分(1等地〜5等地)に細分化され、水災リスクの低い地域は保険料が抑えられ、リスクの高い地域は上がる仕組みに変わりました。
出典:損害保険料率算出機構「火災保険参考純率 改定のご案内」(2023年6月28日)
築年数・保険金額・保険期間
築年数が古い建物は設備の劣化などからリスクが高いと評価され、保険料が上がる傾向があります。
また、建物・家財の保険金額が大きいほど保険料は高くなり、保険期間や払込方法(一括・年払い・月払い)によっても総額が変わります。
建物・家財の評価額の考え方

火災保険の保険金額は、建物や家財の評価額をもとに設定します。評価額の決め方が保険料と、いざというときの受取額の両方に影響します。
新価(再調達価額)と時価
評価額には、同等のものを建て直す・買い直すのに必要な金額である新価(再調達価額)と、新価から経過年数分の価値減少を差し引いた時価があります。
新価は被災時に建て直しに足りる金額を受け取れる一方、時価は受取額が抑えられる分だけ保険料も低くなる関係です。
家財の保険金額は過大になりやすい
家財の保険金額は、保険会社が提示する世帯人数別の目安をそのまま使うと、実態より高く設定されやすい部分です。
手持ちの家財の量に見合った金額に調整すると、補償の不足を避けつつ保険料を抑えられるため、目安を鵜呑みにせず確認する余地があります。
参考純率と保険料改定の背景

火災保険料が近年上昇している背景には、参考純率の改定があります。仕組みを知っておくと、改定のニュースを冷静に受け止められます。
参考純率とは
参考純率とは、損害保険料率算出機構が大量の契約・支払いデータをもとに算出する純保険料率の参考値です。
各保険会社はこれを基礎に、自社の経費にあたる付加保険料率を加えて、実際の火災保険料を決めています。
2023年6月に全国平均13.0%の引き上げ
損害保険料率算出機構は2023年6月、住宅総合保険の参考純率を全国平均で13.0%引き上げる改定を届け出ました。
これは自然災害による保険金支払いの増加などが背景で、各保険会社はこの参考純率を踏まえて、その後に保険料を改定しています。
保険期間は最長5年に短縮
火災保険の最長契約期間は、かつての35年から段階的に短縮され、2022年10月以降は最長5年となっています。
長期契約による割引の幅が縮小したため、契約期間の選び方も保険料の総額に影響する要素となりました。
保険料を抑えるための見直しの視点

保険料が上昇傾向にあるなかで、補償を必要な範囲に絞り込むことが負担軽減につながります。商品提供者が積極的に勧めにくい、補償を減らす方向の判断を確認しておきます。
水災補償の要否をハザードマップで判断する
水災補償は火災保険料のなかで相応の割合を占めるため、付けるかどうかが保険料に影響します。
自治体のハザードマップや水災等地を確認し、高台でマンションの上層階など浸水リスクが低い住まいであれば、水災補償を外す判断も選択肢となります。
免責金額(自己負担額)を設定する
免責金額とは、損害が発生したときに契約者が自己負担する金額で、これを設定すると保険料を抑えられます。
少額の損害は自己負担し、高額な損害に備えるという考え方に立てば、免責金額を高めに設定することで保険料負担を軽くできます。
補償範囲を住まいに合わせて取捨選択する
火災保険は、火災・風災・水災・盗難・破損など複数の補償を組み合わせる構造です。
マンションの上層階で盗難リスクが低い、近隣に河川がなく水災リスクが低いなど、住まいの実態に合わない補償を外すことで、必要な備えを残しつつ保険料を調整できます。
地震保険は火災保険とセット

火災保険を考える際に見落とせないのが、地震による損害の扱いです。地震保険は火災保険とは別の仕組みで運営されています。
地震・噴火・津波は火災保険では補償されない
地震や噴火、これらによる津波が原因の損害は、火災保険では補償されません。
これらに備えるには、火災保険に付帯する形で地震保険を契約する必要があり、地震保険を単独で契約することはできない仕組みです。
地震保険は国と保険会社が共同運営
地震保険は「地震保険に関する法律」に基づき、政府と民間保険会社が共同で運営する公的性格の強い保険です。
そのため、どの保険会社で契約しても補償内容と保険料は同一で、保険金額は火災保険の30〜50%の範囲、建物5,000万円・家財1,000万円が上限と定められています。
まとめ:仕組みを理解し、補償を住まいに合わせる
火災保険料は、建物の構造級別・所在地・水災等地・築年数・保険金額・保険期間など多様な要素で決まり、参考純率の改定(2023年6月に全国平均13.0%引き上げ)を背景に上昇傾向にあります。
保険料を抑えるには、新価と時価の選択や家財保険金額の適正化に加え、水災補償の要否や免責金額の設定を住まいの実態に合わせて見直すことが有効です。
補償を手厚くするほど安心感は増しますが、住まいに合わない補償まで付けると保険料の負担だけが重くなります。
ハザードマップで自宅のリスクを確認し、必要な補償を見極めることが、過不足のない火災保険につながる進め方です。
火災保険は「補償を手厚くする」のではなく「住まいのリスクに合わせて必要な補償を選ぶ」視点で見直し、地震に備える場合は火災保険とセットで地震保険を検討することが、保険料と備えのバランスを取る進め方となります。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆した内容です。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。



