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iDeCoの運用商品は変更できる?「スイッチング」の具体的な手順

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後資金を準備するための長期積立投資が基本です。しかし、一度決めた運用商品を、市場の変動やご自身のライフプランに合わせて見直したいと考える方もいるでしょう。iDeCoは、このようなニーズに対応できるよう、運用商品を途中で変更する「スイッチング」という機能が備わっています。
この記事では、iDeCoの運用商品をいつでも変更できること(スイッチング)を明確にします。オンラインでの具体的なスイッチング手続き方法から、スイッチングの際の注意点や手数料まで。あなたのiDeCo運用をより柔軟に、そして賢く続けていくためのヒントを提案します。
iDeCoの運用商品は変更できる?「スイッチング」の仕組み

iDeCoでは、運用中の商品を見直したい場合、「スイッチング」という手続きを行うことで、運用商品を変更することができます。
スイッチングとは?
スイッチングとは、あなたが現在保有している運用商品(投資信託など)を売却し、その資金で別の運用商品を買い付けることです。これは、iDeCo口座内で行われる取引であり、外部に資金を引き出すわけではありません。
スイッチングの主な目的
・ポートフォリオのリバランス: 市場の変動によって、当初設定した資産配分(例:株式と債券の比率)が崩れてしまった場合に、そのバランスを元に戻すために行います。
・運用方針の見直し: 年齢を重ねてリスク許容度が変わったり、老後までの期間が短くなったりした場合に、よりリスクの低い商品にシフトするために行います。
・商品の改善: 現在保有しているファンドよりも、さらに信託報酬(運用コスト)の低い、または運用成績が良いファンドが新たに登場した場合に、そちらに乗り換えることで、長期的なリターンを改善できます。
オンラインでのスイッチング手続き方法

iDeCoのスイッチング手続きは、多くの場合、iDeCo口座を開設している運営管理機関(金融機関)のウェブサイトやアプリのマイページから、オンラインで手軽に行うことができます。
ステップ1:マイページにログイン
iDeCo口座を開設している金融機関のウェブサイトやアプリにログインします。
ステップ2:「スイッチング」メニューを選択
マイページ内の「運用商品の変更」「スイッチング」といったメニューを選択します。
ステップ3:売却する商品と口数を指定
・現在保有している運用商品の一覧から、売却したい商品と、その口数(どれくらいの割合を売却するか)を指定します。
・全額スイッチングする場合は、保有している商品すべてを指定します。
ステップ4:買い付ける商品と金額を指定
・買い付けたい運用商品の一覧から、新しい商品と、それに充てる金額(売却で得た資金の全額または一部)を指定します。
・複数の商品に分けて買い付けることも可能です。
ステップ5:最終確認と注文の確定
・売却と買い付けの注文内容に誤りがないか確認し、注文を確定します。
・注文を出してから実際に売買が完了し、新しい運用商品が反映されるまでには、数日から1週間程度かかることがあります。
スイッチングの際の注意点や手数料

スイッチングは便利な機能ですが、その際に注意すべき点や手数料も存在します。
スイッチングの手数料
信託財産留保額:
一部の投資信託では、換金する際に「信託財産留保額」という手数料がかかる場合があります。これは売却代金から差し引かれる費用です。
運営管理機関による手数料:
・スイッチング手数料は無料です。
・事前にiDeCo口座を開設している金融機関のルールを確認しておきましょう。
スイッチングのタイミング
・頻繁なスイッチングは避ける: 短期的な市場の変動に一喜一憂して頻繁にスイッチングを行うと、手数料負担が増えるだけでなく、かえって運用成績を悪化させる可能性があります。
・「タイミング」を予測することは困難: 市場の先行きを正確に予測することはプロでも難しいです。感情に流されてタイミングを計るのではなく、ポートフォリオのリバランスやライフプランの見直しといった、明確な目的を持って行うことが重要です。
運用商品の種類によるスイッチングの制限

投資信託:
投資信託型iDeCoであれば、提供されている他の投資信託へ自由にスイッチングが可能です。ただし、商品によっては信託財産留保額という手数料がかかる場合があります。
元本確保型商品(定期預金など):
・定期預金を満期前にスイッチングする場合、予定していた利率が適用されず、普通預金並みの利率になる場合があります。
・保険型の場合、スイッチングのタイミング次第で元本割れをする可能性があります。
まとめ:iDeCoのスイッチングで、柔軟な資産運用を
iDeCoのスイッチング機能は、長期にわたる運用の中で、市場環境やあなたのライフステージの変化に合わせて、ポートフォリオを柔軟に見直すための重要なツールです。
・運用商品の変更はいつでも可能です。
・スイッチングは、リバランスや運用方針の見直しといった、明確な目的を持って行いましょう。
・手数料負担やタイミングの見極めの難しさといった注意点を理解し、頻繁なスイッチングは避けることが賢い運用につながります。
賢くスイッチングを活用し、あなたのiDeCo資産を最適な状態で運用し続けることで、安心できる老後資金の準備を着実に進めていきましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。